第3393回 オランダとドロー(2) 初めての主要大会となるロナルド・クーマン

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■鼻を骨折して先発メンバーから外れたキリアン・ムバッペ

 初戦を勝利したフランスとオランダ、決勝トーナメント進出をかけて6月21日にライプチヒで戦った。今大会の予選はフランスが連勝したものの、過去の欧州選手権の本大会ではオランダに分がある。また、本大会前のスパーリングマッチで両チームともカナダと対戦し、オランダは快勝したが、フランスはドローに終わっている。そして何よりも心配なのがオーストリア戦の終盤に顔面をぶつけて骨折したキリアン・ムバッペである。マウスガードを着用して出場するという選択肢もあったが、結局ディディエ・デシャン監督はムバッペを先発メンバーから外した。

■システムを変え、アントワン・グリエズマンが主将を務めるフランス

 フランスは上から白青白というカナダ戦から3試合同じ配色のユニフォームでライプチヒの中央競技場のピッチに立つ。試合前のラ・マルセイエーズを歌ったメンバーを紹介するとGKはマイク・メニャン、DFは右からジュール・クンデ、ダヨ・ウパメカノ、ウィリアン・サリバ、テオ・エルナンデス、MFは低い位置にエンゴロ・カンテとオーレリアン・チュアメニ、高い位置の右にはウスマン・デンベレ、左はアドリアン・ラビオ、中央にアントワン・グリエズマン、FWは1トップでマルクス・テュラムと4-2-3-1システムに変更してきた。また、先発メンバーについてはムバッペが外れ、チュアメニが入ったが、大幅にポジションが入れ替わった。
 そしてこのチームでキャプテンマークを腕につけたのはグリエズマンである。2012年のディディエ・デシャン監督の就任以来、最も信頼する選手としてトップ下を務め、攻撃に大きな貢献があった。しかし、今年に入って負傷により3月の連戦は欠場、今大会に入っても精彩を欠き、この試合で切り替えたいところである。

■ポーランド戦と1人だけメンバーを変えたオランダ

 一方のオランダ、こちらは上から下までオレンジ一色のユニフォームである。GKはバルト・フェルブルッヘン、DFは右からデンゼル・ダンフリース、ビルヒル・ファンダイク、ステファン・デフライ、ネイサン・アケ、MFは低い位置にイェルディ・シャウテン、テイジャニ・ラインデルス、高い位置に3人並び、右からジェレミー・フリンポン、シャビ・シモンズ、コーディー・ガクポ、FWは1トップでメンフィス・デパイである。こちらも初戦のオーストリア戦とは1人だけメンバーを入れ替え、中盤のジョーイ・フェールマンに変えてフリンポンを起用した。

■2度目の代表監督を務めるロナルド・クーマン

 オランダを率いるロナルド・クーマン監督は現役時代はPSVアイントホーフェンではチャンピオンズカップを制し、1988年のインターコンチネンタルカップで訪日し、PK戦ではファーストキッカーを務めたことから日本の皆様もよくご存じであろう。ただ、クーマンはアヤックス、フェイエノールトにも所属しオランダの三大クラブでのプレー経験がある。そしてキャリアの頂点は1989年から1995年まで所属したスペインのバルセロナの時代であろう。ポゼッションを重視した攻撃的なサッカーはバルセロナでの経験に基づくものであろう。現役引退後、指導者となるが、クーマンはオランダ国内の三大クラブで指揮を執り、古巣のバルセロナの監督にも就任している。ただ、バルセロナでは思ったような成績を残すことができず、1年強で職を辞している。
 オランダ代表監督となったのは今回が2回目である。最初はオランダが2018年ワールドカップ予選で敗退した直後の2018年2月に就任した。2022年のワールドカップまでの4年半の契約であったが、UEFAネーションズリーグでオランダを準優勝に導いたが2020年8月にバルセロナの監督に就任するために代表監督を辞した。2度目の監督就任は昨年1月、すなわち2022年12月に行われたワールドカップの後から現在に至っている。
 2020年の欧州選手権は新型コロナウイルスの感染拡大のため2021年に開催されたため、代表監督としてはこれが初めての主要大会となるのである。(続く)

このページのTOPへ