第3394回 オランダとドロー(3) オフサイドの判定に救われ、スコアレスドロー

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■代表チームの選手、監督して対戦歴のあるロナルド・クーマンとディディエ・デシャン

 この欧州選手権が初めての主要大会の本大会となるオランダのロナルド・クーマン監督に対し、フランスのディディエ・デシャン監督は6回目の本大会である。この2人は選手としても監督としても実績があるが、不思議なことに選手として所属クラブでは公式戦で対戦したことはない。
 他方、代表チームの選手、監督としては対戦したことがある。選手としては1992年欧州選手権直前にランス(Lens)で行われた親善試合、1-1のドローであった。監督としては2018年にUEFAネーションズリーグ、2023年に今回の欧州選手権予選でそれぞれ2試合ずつホームアンドアウエーで対戦しており、フランスの2勝1分1敗である。今回は選手、監督を通じて初めての中立地での対戦となる。

■東ドイツ時代は国内最大を誇ったライプチヒ中央競技場

 今回の会場の中でライプチヒはベルリンと並んで旧東ドイツのエリアにある(正確にはベルリンのオリンピックスタジアムは西ベルリンにある)。フランス代表は2006年ワールドカップのグループリーグの第2戦の韓国戦をこの中央競技場で戦っている。試合はティエリー・アンリが先制点を上げたが、終盤に韓国の朴智星に同点ゴールを決められて引き分けている。また、東ドイツ時代は国内最大の競技場であったため、東ドイツの代表チームの本拠地であり、フランス代表は1976年欧州選手権予選、1986年ワールドカップ予選、1988年欧州選手権予選で対戦しているが、ようやく3試合目にしてスコアレスドローに持ち込んだだけで通算成績は2分2敗とフランスは苦手としている。

■ゴール前の好機にミスが続くフランス

 オランダのキックオフで始まったこの試合、試合開始早々にドリブルで駆け抜けたのはフランス戦で先発メンバーに抜擢されたジェレミー・フリンポンであった。スピードのあるドリブルで攻め上がり、そのままシュート、これをフランスのGKマイク・メニャンが好セーブでしのぐ。一方、フランスもお返しとばかりに4分にアントワン・グリエズマンがミドルシュート、これはオランダのGKバルト・フェルブルッヘンがCKに逃れる。立ちあがりからシュートが飛び交い、オールドファンは両チーム合わせて5点が入った2000年欧州選手権のグループリーグ最終戦の再来を期待した。
 しかし、なかなかゴールの歓声が起こることはなかった。パスをつないでボールポゼッションに勝るフランスは14分にはオランダのペナルティエリア内に攻め込み、マルクス・テュラムがゴール前のアドリアン・ラビオにヒールパス、これを流し込めば簡単に先制点を上げることができたが、ラビオはグリエズマンにパス、このパスが乱れ、グリエズマンの体制を崩しながらのシュートはフランスのファンのため息を呼んだ。さらにグリエズマンはその直後にもカンテからのパスをシュートミスした。
 一方のオランダも16分にコーディー・ガクポが左サイドからシュートを放つが、フランスのGKマイク・メニャンがセーブする。
 結局、前半はフランスが圧倒的なボール支配率を誇るものの、シュートの本数はほぼ互角、そして両チームのGKの活躍もあり、スコアレスで折り返した。
 後半になり、フランスはパスをつないでボールを支配し、押し込む形になり、65分にはペナルティエリア内でパスをつなぎ、ウスマン・デンベレのシュートをネイサン・アケがブロック、さらにこのこぼれ球をエンゴロ・カンテがグリエズマンにパスするが、ここもグリエズマンのシュートはGKにCKに逃れられてしまう。

■オフサイドで取り消されたシャビ・シモンズのボレーシュート

 この試合唯一ゴールネットが揺れたのは69分であった。メンフィス・デパイがシュートしこれをメニャンがはじき返したボールをシャビ・シモンズがボレーシュートを決める。しかし、このシモンズのシュートの際にデンゼル・ダンフリースがオフサイドポジションでメニャンのプレーに影響していたということでVARの結果、オフサイドの判定となりゴールが取り消された。
 結局、0-0のまま試合は終了、今大会21試合目で初めてのスコアレスゲームとなったのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ