第3398回 ベルギーに勝利し準々決勝進出(1) 決勝トーナメント1回戦の相手はベルギー

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■不本意な内容で決勝トーナメントに臨むフランス

 グループDでオーストリアに次ぐ2位となり、決勝トーナメント進出を決めたフランスであるが、グループリーグで上げた得点はオウンゴールとPKの2点だけ、動きの中からの得点がなく、ここまでのフランス代表を支えてきたアントワン・グリエズマンが本調子ではなく、先発メンバーから外れ、エースのキリアン・ムバッペもオウンゴールの起点となるとともに、PKを決めているとは言うものの、ファンの期待には及ばないレベルであることは事実である。守備陣もストッパーのウィリアン・サリバ、テオ・エルナンデスは安定しているが、それ以外は不安である。また、驚異のカムバックを果たしたエンゴロ・カンテも試合を重ねるごとに運動量が落ちてきた。
 そして今回もまたグループリーグ最終戦で勝利をあげることができなかった。フランスが主要大会のグループリーグ最終戦で勝利したのは2006年ワールドカップまでさかのぼらなくてはならない。

■欧州選手権史上初めて4チームが同勝ち点で並んだグループE

 不安の残るフランスの決勝トーナメント1回戦の相手はグループEの2位である。グループEの最終戦はグループDの最終戦の翌日、ベルギー、ルーマニア、スロバキア、ウクライナの4か国が1勝1敗で並んで最終戦を迎える大混戦となった。最終日はスロバキア-ルーマニア戦と、ウクライナ-ベルギー戦が同時にキックオフされた。スロバキア-ルーマニア戦は前半24分にスロバキアが先制したが、ルーマニアは37分にPKで追いつきドローとなる。またウクライナ-ベルギーはベルギーが決定機に得点をあげることができず、スコアレスドローとなり、4チームが1勝1分1敗の勝ち点3で並んだ。
 欧州選手権のグループリーグで4チームが同勝ち点で並んだのは史上初めてのことである。ワールドカップに関しては1994年米国大会の同じグループEでメキシコ、アイルランド、イタリア、ノルウェーが同じく1勝1分1敗の勝ち点4で並んだことがある。
 勝ち点が同じ場合は、同勝ち点で並んだチーム間の直接対決の結果で順位を決めるが、4チームが同勝ち点であるため、得失点差等で順位を決定し、得失点差+1、総得点4のルーマニアが首位、2位は得失点差+1、総得点3のベルギーとなった。また3位は得失点差±0のスロバキア、ウクライナは得失点差-2で最下位となった。スロバキアは決勝トーナメントに進出した。グループCで勝ち点3のスロベニアが決勝トーナメントに進んだ一方、勝ち点4のウクライナは敗退となった。

■第1シード同士が決勝トーナメント1回戦で対戦するフランス-ベルギー戦

 このように史上まれにみる混戦となったグループEの2位は第1シードのベルギー、フランスの対戦相手が決まった。今大会の第1シード6チームのうち、グループリーグで首位通過できなかったのはフランスとベルギーだけであり、決勝トーナメント1回戦で第1シード同士の対戦が実現した。前回大会の決勝トーナメントではフランスは1回戦でスイスにPK負けしており、前回大会の成績を上回るという点では厳しい相手である。

■準々決勝以降も強敵との対戦が予想される組み合わせ

 また、決勝トーナメントの組み合わせが決まったが、フランスとベルギーの勝者は準々決勝ではポルトガルとスロベニアの勝者、準決勝で対戦する可能性のある相手はスペイン、ジョージア、ドイツ、デンマークとなっている。第1シード6チームのうちイングランド以外の5チームはフランスと同じブロックに集中している。もし、フランスとベルギーがいずれも首位通過していれば、第1シードの6チームはトーナメント表の左右に3つずつに分かれていたのである。
 このように準々決勝以降も見据えると厳しい対戦が続くことになるが、まずはベルギー戦に集中したい。会場はデュッセルドルフである。フランスは開幕戦のオーストリア戦で戦った会場であり、グループリーグ最終戦から中5日となる。ベルギーはデュッセルドルフでの試合は今大会初めて、さらにグループリーグ最終戦からの試合間隔がフランスより1日短いが、グループリーグ3試合はドイツの西部での試合であり、移動距離がフランスよりも短いのである。(続く)

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