第3400回 ベルギーに勝利し準々決勝進出(3) オウンゴールを誘ったランダル・コロムアニのシュート
第3400回の連載を迎えることになりました。連載開始以来23年で3400回もの連載を続けることができたのは読者の皆様のおかげです。読者の皆様に改めて感謝するとともに、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。
■ラ・ブラバンソンヌを歌ったベルギーの先発イレブン
近年実績を残し、FIFAランキングでも欧州勢上位を占めながらも、グループリーグではかろうじて2位に入ったフランスとベルギー、決勝トーナメント1回戦での対戦はもったいないが、本大会に入ってからのパフォーマンスを考えてみれば仕方がない。ただ、調子に乗れていない相手に勝利して決勝トーナメントを一気に勝ち上がりたいところである。
デュッセルドルフのメルクール・シュピール・アレーナのピッチで国歌を歌った両チームのメンバーを紹介しよう。まず先にベルギー、GKクーン・カステール、DFは右からティモチー・カスターニュ、ボウト・フォエス、ヤン・ベルドンゲン、アルトゥール・テアテ、MFは右からヤニック・カラスコ、アマドゥ・オナナ、ケビン・デブライネ、ジェレミー・ドク、FWは2トップで右にロメル・ルカク、左にロイス・オペンダが国歌ラ・ブラバンソンヌを歌った。なお、ブラバンソンヌというのはフランス語でブリュッセルのある中部地域の住民という意味であり、続くフランスのラ・マルセイエーズ(マルセイユの住民)と同じ構造である。また、かつてパリサンジェルマンで活躍したベテランのトーマス・ムニエは出場停止となっている。
■攻撃陣に腐心するフランス代表
そのフランス、GKはマイク・メニャン、DFは右からジュール・クンデ、ダヨ・ウパメカノ、ウィリアン・サリバ、テオ・エルナンデス、この守備陣はここまでPKで1失点しただけである。中盤は中央の低い位置にオーレリアン・チュアメニ、右にエンゴロ・カンテ、左にアドリアン・ラビオ、彼らも豊富な運動量で試合を作ってきた。問題はここまで動きの中での得点のない攻撃陣である。ディディエ・デシャン監督は右にアントワン・グリエズマン、左にキリアン・ムバッペ、中央にマルクス・テュラムという布陣でこの一戦に臨んだ。ムバッペを中央ではなくサイドに配することによってスピードを生かし、大会前まではトップ下として力を発揮してきたグリエズマンは、充実した中盤にトップ下を任せ、精度の高いクロスに若いテュラムのシュートに期待する、という狙いであろう。
■優位に試合を進め、攻め続けたフランス
調子の出ない両チームであるが、きっかけをつかんだのはフランスであった。グループリーグではボールを保持しながらも相手のブロックを崩すことができなかったが、この試合は選手が自由にポジションを移動する。そのような攻撃陣の変化はあったが、ベルギーの守備ブロックは強固で、フランスのラストパスを許さない。それでもフランスはミドルシュートに活路を見出し、シュートを放つが、なかなか枠をとらえることができない。前半のフランスの最大のチャンスは34分、中盤の低い位置からチュアメニが右サイドにロングフィード、クンデがクロスをゴール前にあげる。これをテュラムがヘディングであわせたが、シュートは力はあったが、枠の外であった。続く39分のチュアメニのミドルシュートは枠の上を通り過ぎ、前半はフランスは9本のシュートを放つが、枠内は1本だけで、得点をあげることができなかった。
■ランダル・コロムアニのシュートは記録上はオウンゴール
後半に入って48分のチュアメニのミドルシュート、今度は枠の中をとらえたが、カステールスはCKに逃れた。54分にはようやくムバッペが左サイドから切り込んでシュートするが得点には至らない。
守勢のベルギーのチャンスはまず61分、デブライネのパスを受けたカラスコがチャンスを得たが、テオ・エルナンデスがカバーする。71分にもデブライネが起点となって、ルカクが左足シュート、メニャンが好セーブを見せる。
そして85分、フランスはボールを動かし、最後は右サイドから交代出場したランダル・コロムアニがシュート、これがゴール前にいたベルドンゲンの足に当たり、ゴールインする。記録上はオウンゴールとなったが、試合終盤に決勝点を奪ったフランスは準々決勝に進んだのである。(この項、終わり)