第3402回 ポルトガルに雪辱、準決勝進出(2) 過去の欧州選手権では3回とも延長戦に

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■2016年大会決勝は延長戦でエデルが決勝点

 7月5日にハンブルクのフォルクスパルク競技場で行われる準々決勝、フランス-ポルトガル戦の見どころは尽きない。
 フランスにとっては自国開催の2016年大会の決勝の再現である。この模様は本連載第2043回から第2043回で紹介した通りであるが、フランス優勢という戦前の予想のとおり、フランスが優位に試合を進める。そして前半の25分にポルトガルのエースのクリスティアーノ・ロナウドがフランスの決定機にフランスのディミトリ・パイエと交錯し、涙を流しながら負傷退場してしまう。今大会においてもクリスティアーノ・ロナウドは決勝トーナメント1回戦のスロベニア戦の延長戦の間にPKを失敗し涙を流したが、ファンの多くは8年前のスタッド・ド・フランスでの涙を覚えているであろう。エース不在となったポルトガルであったが、試合は延長戦となる。延長後半にシュートがクロスバーに当たって跳ね返ってきたボールを交代選手のエデルがミドルシュートで決める。ポルトガルの41年ぶりのフランス戦勝利は数多くのタレントを生み出してきたイベリア半島の小国に初めての国際大会優勝をもたらしたのである。

■開催国フランスが快進撃を見せた1984年大会

 そしてフランスでは今でも忘れられない欧州選手権の試合として1984年大会の準決勝をあげるファンは少なくない。今やワールドカップや欧州選手権の上位の常連チームとなった感のあるフランスであるが、欧州選手権に関しては現在と大会形式が大きく異なっていたが、1958年の第1回大会を開催してからは自国開催となった1984年大会が2回目の本大会出場となった。12年ぶりの出場となった1978年ワールドカップ・アルゼンチン大会から熟成してきた選手がピークを迎え、将軍ミッシェル・プラティニを中心に快進撃、グループリーグではデンマーク、ベルギー、ユーゴスラビアを相手に3連勝、準決勝に進出する(当時は8チームが本大会に出場、4チームずつのグループリーグに分かれ上位2チームが準決勝に進出)。

■延長終了間際に決勝点を決めたミッシェル・プラティニ

 準決勝の舞台はサッカーの都・マルセイユのベロドローム、5万4848人の観衆の中で行われた試合は異様な雰囲気に包まれた。試合はフランスのジャン・フランソワ・ドメルグが先制するが、後半に入って74分にポルトガルのルイ・ジョルダンが同点ゴールを決め、試合は延長戦となる。延長前半の98分にルイ・ジョルダンがボレーシュートでポルトガルがリードを奪うが、延長後半の114分、ドメルグの同点ゴールが決まる。PK戦突入かと思われた119分にはプラティニが決勝点を決めて、フランスは3-2と激闘を制し、決勝に進出する。パルク・デ・プランスで行われた決勝ではフランスがスペインを2-0と下して主要大会初優勝を決めたが、栄冠を獲得した決勝よりも死闘を制した準決勝の方がファンの印象に残っているのである。

■2000年大会の準決勝も延長後半のジネディーヌ・ジダンのPKで勝利

 また両チームは2000年欧州選手権の準決勝でも対戦している。ベルギーのブリュッセルにあるボードワン国王競技場で行われた試合、ポルトガルが先制し、後半にフランスはティエリー・アンリのゴールで追いつく。延長戦に突入し、延長後半の117分、フランスはPKを獲得し、エースのジネディーヌ・ジダンがPKを成功させて決勝に進出した。
 なお、決勝ではイタリアと対戦し、試合終盤までリードされるという苦しい展開となった。後半アディショナルタイムの94分にフランスはシルバン・ビルトールが同点ゴールを決めて延長戦になり、延長前半の103分にダビッド・トレゼゲが決勝ゴールを決め、1984年大会同様、準決勝でポルトガルに延長戦の末に勝利して、決勝でも勝利し、優勝した。
 このように過去の大会では決勝トーナメントで対戦し、3試合とも延長戦にもつれ込む熱戦となった。そして今回も歴史は繰り返したのである。(続く)

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