第3403回 ポルトガルに雪辱、準決勝進出(3) 主力抜きでPK戦を制したフランス

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■得点のない両チームのエース、キリアン・ムバッペとクリスティアーノ・ロナウド

 前回の本連載では過去の欧州選手権でのフランス-ポルトガル戦が延長での決着になったことを紹介したが、1984年大会のミッシェル・プラティニ、2000年大会のジネディーヌ・ジダンと優勝した大会の準決勝ではエースが延長戦で決勝点を決めている。今大会もここまで目立った活躍のないキリアン・ムバッペがそろそろ得点をあげるのではないかと、ファンであるならば期待してもおかしくない。またエースというとポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドもまだ無得点である。ムバッペは第1戦のオーストリア戦の試合終盤で鼻を骨折するアクシデントに見舞われたが、第3戦のポーランド戦で復帰、ベルギー戦も連続して出場している。クリスティアーノ・ロナウドはスロベニア戦でPKを失敗して涙を流したが、PK戦では気持ちを立て直して成功、次に見せる涙は歓喜の涙としたい。

■ベルギー戦から攻撃陣を変えたフランス

 ハンブルクのフォルクスパルク競技場のピッチに立った両チームの先発メンバーを紹介しよう。まずフランスはGKはマイク・メニャン、DFは右からジュール・クンデ、ダヨ・ウパメカノ、ウィリアン・サリバ、テオ・エルナンデス、中盤は中央の低い位置にオーレリアン・チュアメニ、右にエドゥアルド・カマビンガ、左にエンゴロ・カンテ、トップ下にアントワン・グリエズマン、FWは2トップで右にランデル・コロムアニ、左にキリアン・ムバッペが並ぶ。今大会になってベストの内容であったベルギー戦からも攻撃陣のメンバー、配置を変え、デシャン監督の要求水準には満たなかったようである。
 一方のポルトガルであるが、GKはディオゴ・コスタ、DFは右からジョアン・カンセロ、ルベン・ディアス、ペペ、ヌーノ・メンデス、MFは低い一にジョアン・パリーニャとビティーニャ、高い位置には右からベルナルド・シウバ、ブルーノ・フェルナンデス、ラファエル・レオンと並び。トップにはクリスティアーノ・ロナウドが控える。ムバッペとクリスティアーノ・ロナウド、両チームのエースがキャプテンマークを着用する。

■後半は両GKがファインセーブを連発、またも延長戦に

 フランスのキックオフで始まった試合、序盤はポルトガルが積極的に試合を進めた。しかし、最初の決定的なチャンスはフランスに訪れた。20分に左サイドからテオ・エルナンデスがシュート、これをポルトガルのGKディオゴ・コスタがパンチングで防ぐ。前半は得点チャンスはこのシュートだけで、両チームともゴールをあげることなくハーフタイムを迎えた。
 後半に入ってゴール前の攻防の目立つ試合になった。60分にはポルトガルはペナルティエリア内の右サイドからボールをつなぎ、ジョアン・カンセロからのパスを中央のブルーノ・フェルナンデスがシュートするが、メニャンがクリア、さらにメニャンはビティーニャのシュートも体を張って防ぎ、そのこぼれ球がクリスティアーノ・ロナウドに奪われないようDF陣がクリアした。65分のフランスはカウンターからコロムアニがシュート、ディオゴ・コスタがスライディングで足に当て、ボールは枠の外に流れた。ディディエ・デシャン監督は今日もグリエズマンに精彩がないと判断、ウスマン・デンベレを投入する。そのデンベレは出場早々にカマビンガに好パス、カマビンガのシュートはわずかに枠を外れた。90分になってようやくムバッペがシュートを放つが勢いはなく、試合は延長戦となる。

■PK戦で5人全員が成功したフランス

 延長前半でデシャン監督はムバッペも見切りをつけ、ブラッドリー・バルコラを投入。試合は延長戦でも決着がつかず、PK戦となる。
 フランスは、通常であれば試合中のPKのキッカーを務めるムバッペとグリエズマンがベンチに退き、一方のポルトガルは延長戦にPK要員を投入し、GKディオゴ・コスタはスロベニア戦で3連続ストップしている。ポルトガル有利と思われたが、フランスはデンベレ、ユスフ・フォファナ、クンデ、バルコラ、テオ・エルナンデスと5人全員が成功、ポルトガルは3人目のジョアン・フェリックスが左ポストに当ててしまう。フランスはポルトガルをPK戦で下し、準決勝に進出したのである。(この項、終わり)

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