第3406回 スペインに力負け、決勝進出ならず(3) ランダル・コロムアニが先制するも逆転負け
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■準決勝まで順調に勝ち上がったスペイン、苦戦続きのフランス
フランスが対戦するスペインは準々決勝まで5連勝、11得点2失点で、準々決勝のドイツ戦以外は90分以内に勝利している。対するフランスは、準々決勝までの戦績は2勝3分(1PK勝ち)、3得点1失点、しかも得点はオウンゴールとPKのみ、ということでここまでの戦いぶりではスペインに軍配が上がる。ただ、ノックアウト方式の一発勝負であるから、何が起こるかわからない。
■ミュンヘンで好成績を残してきたフランス
準決勝の第1試合は7月9日、ミュンヘンのアリアンツ・アレーナ(大会期間中はフースバル・アレーナと表記)で行われた。この競技場は2006年に開催されたワールドカップのために新設されたものであるが、そのワールドカップではフランスはこの競技場で準決勝を戦い、ポルトガルに1-0と勝利している。また前回の欧州選手権は3年前に分散開催されたが、グループリーグ初戦でドイツとこのミュンヘンの競技場で対戦、フランスは1-0と勝利している。さらに2018年にはUEFAネーションズリーグでドイツと対戦しスコアレスドローとなっており、フランスはこのミュンヘンの地で敗れたことがない。そして今から31年前、ミュンヘンのオリンピックスタジアムでチャンピオンズリーグの決勝を制し、ビッグイヤーを掲げたのはマルセイユの主将のディディエ・デシャンであった。
スペインとの過去の対戦成績はフランスの13勝7分16敗とわずかに負け越しているが、直近の対戦は2021年10月にイタリアのミラノで行われたUEFAネーションズリーグの決勝、フランスが2-1と勝利し、デシャン監督はワールドカップに次ぐ2つ目のタイトルを手にしている。
■中央にランダル・コロムアニ、左にキリアン・ムバッペ、右にウスマン・デンベレ
このようにフランスにとって相性の良いミュンヘンの地で盤石の強さを誇るスペインに一泡吹かせようとピッチに立ったフランスのメンバーは次のとおりである。GKはマイク・メニャン、DFは右からジュール・クンデ、ダヨ・ウパメカノ、ウィリアン・サリバ、テオ・エルナンデス、中盤は中央の低い位置にオーレリアン・チュアメニ、右にエンゴロ・カンテ、左にアドリアン・ラビオ、FWは3人で右にウスマン・デンベレ、中央にランダル・コロムアニ、左にキリアン・ムバッペが並ぶ。ポルトガル戦と比較するとアントワン・グリエズマンとエドゥアルド・カマビンガがベンチに退き、ラビオとデンベレが入り、2トップではなく、3トップでコロムアニに中央を託した。
一方のスペインであるが、GKはウナイ・シモン、DFは右からヘスス・ナバス、ナチョ・フェルナンデス、エメリック・ラポルト、マルク・ククレジャ、MFは低い位置に右にロドリ、左にファビアン・ルイス、高い位置には右にラミン・ヤマル、左にニコ・ウィルアムス、中央のトップ下にダニ・オルモ、FWは1トップでアルバロ・モラタである。ファビアン・ルイスはパリサンジェルマン所属、ラポルトはフランス生まれのフランス育ち、アンダーエイジのフランス代表である。
■今大会初の流れの中からの得点も実らず、逆転負け
試合は序盤からスペインがニコ・ウィリアムスとヤマルの両翼からの攻撃をフランスがブロックを形成して守るという構図になった。しかし、先制点を上げたのはフランスであった。右サイドを切りこんだデンベレが左サイドのムバッペにパス、ムバッペは中央に折り返し、コロムアニがヘディングで押し込んだ。フランスにとっては今大会初めての動きの中からの得点であり、デシャン監督の選手起用が的中した。
ところが、ここからはスペインの一方的な試合展開となる。20分にはペナルティエリアの外からラビオとサリバのマークされていたヤマルが大会初ゴールとなるシュート、16歳と362日は大会最年少ゴールである。
25分にはクロスのこぼれ球をペナルティエリア内で拾ったダニ・オルモが見事な個人技でシュート、クンデの足に当たったもののダニ・オルモのゴールとなった。
フランスは同点のチャンスを作り出すことができず、準決勝で敗退したのである。(この項、終わり)