第3466回 ファイナルラウンドへ首位突破(3) セットプレーで3点、イタリアをミラノで破る

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■開始1分59秒でアドリアン・ラビオが先制ゴール

 イタリアはミラノのサンシーロ競技場、11月17日にイタリア-フランス戦が行われた。上から下まで青一色のユニフォームのイタリアのキックオフで試合が始まった。
 最初にチャンスをつかんだのは上から下まで白一色のフランスであった。試合開始直後にクリストファー・ヌクンクが攻め込んで左からのCKを獲得する。キッカーはルカ・ディーニュ、このボールにニアで合わせたのがアドリアン・ラビオであった。ラビオのヘディングシュートが決まって、フランスが先制する。
 ゴールネットの揺れた時、時計は1分59秒であった。フランス代表の歴代最速ゴールはUEFAネーションズリーグの開幕戦のフランス-イタリア戦でブラッドリー・バルコラが開始わずか14秒で新記録を作ったが、フランス国外のタイトルマッチに限れば、この1分59秒というのは1984年10月13日のルクセンブルク戦でのパトリック・バティストンの得点に次ぐ早い時間でのゴールとなった。今夏までトリノを本拠地とするユベントスに5季在籍し、昨季のACミラン戦では主将も務めたラビオはミラノのファンを驚かせるゴールをあげた。

■オウンゴールで追加点をあげたフランス、暫定首位に

 そのゴールの後はフランスとイタリア、双方が試合を組み立て、シュートまでもっていくが、両チームの守備も固く、一進一退の展開となるが、リードされているイタリアがボール保持率で上回るが、決定的なチャンスは作れない。
 31分、フランスはGKのマイク・メニャンが前方にロングフィード、この試合でゲームメーカーのポジションに入っているヌクンクにボールが渡ったが、これに対してイタリアのダビデ・フラッテージがファウルを犯し、警告を受ける。フランスは好位置でFKを得る。キッカーはディーニュである。ディーニュがキックしたボールは青い壁を巻くようにゴールに接近、バーを直撃して跳ね返り、GKのグリエルモ・ビッカリーオの背中に当たり、ゴールラインを通過する。フランスはオウンゴールで追加点、2-0となる。フランスにとっては今年3点目の相手のオウンゴールによる得点である。このまま試合が終わると勝ち点で並び、直接対決の結果(2試合合計で3-3)でも並ぶ。全試合の得失点差の勝負となり、これはフランスが1点優位に立っており、フランスが首位突破となる。

■1点差に迫り、暫定首位を奪還したイタリア

 まさかの2失点を喫したイタリアはすぐに反撃に出る。35分に左サイドから攻撃を仕掛け、テクニカルなパス交換によってゴール前に迫る。フェデリコ・ディマルコのクロスをファーサイドでフリーだったアンドレア・カンビアッソがボレーで決めて1点差に迫るとともに、直接対決の結果(2試合合計でイタリアの4-3)で上回り暫定首位を奪還する。

■ジネディーヌ・ジダン以来となるヘディングで2得点を上げたラビオ

 後半も互角の展開となったが、ディーニュのセットプレーがまた得点に結びついた。64分にマルクス・テュラムがトナーリに倒され、フランスはFKを得る。ディーニュのキックにまたラビオが反応した。ラビオをマークしていたのは今夏までチームメイトだったユベントスのマヌエル・ロカテッリ、ラビオはマークを外してこの日2本目のヘディングシュートを決める。このラビオのゴールで再びフランスは首位を奪還した。
 このまま時計の針は動き、後半アディショナルタイムは4分と表示される。そして94分、かつてパリサンジェルマンに所属していたイタリアのモイズ・キーンがチャンスをつかんだが、メニャンが防ぎ、2点差をキープし、フランスは3-1と勝利し、イタリアと勝ち点、直接対決で並び、総得失点差で1点上回り、首位突破を決めた。
 なお、フランスの3得点はすべてセットプレーからであり、セットプレーで3得点を奪ったのは1990年3月にフランク・ソーゼが当時の最速ゴールを決めたアルバニア戦以来のことである。またラビオはヘディングで2点を上げたが、1試合でヘディングシュートで2点を上げたのは、1998年のワールドカップ決勝のジネディーヌ・ジダン以来のことなのである。(この項、終わり)

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