第3525回 UEFAネーションズリーグ準々決勝(2) クロアチア戦に向けたメンバー発表
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■プレーオフにも強い両チーム
今大会から新方式となったUEFAネーションズリーグの準々決勝、フランスはクロアチアと対戦する。グループリーグで首位だったフランスはシード扱いで第1戦をアウエーで戦う。アウエーの第1戦は3月20日にスプリト、第2戦は23日にスタッド・ド・フランスで行われる。代表チームが中2日で同じチームと対戦するのは前回の本連載で紹介した通り、ワールドカップや欧州選手権予選のプレーオフくらいである。
フランスもクロアチアも強豪であるが、プレーオフも経験している。フランスがプレーオフを最後に経験したのは2014年ワールドカップ予選である。この時はウクライナと対戦し、アウエーの第1戦で0-2と敗れたフランスは、ホームの第2戦で3-0と勝利し、本大会のチケットをつかんでいる。
一方のクロアチアであるがワールドカップ予選では2018年大会、欧州選手権予選では2012年大会にプレーオフを経験しており、ワールドカップ2018年大会予選ではギリシャに1勝1分、欧州選手権2012年大会予選ではトルコに1勝1分といずれも本大会出場を決めている。またクロアチアはワールドカップ2014年大会予選でもプレーオフでアイスランドを下している。
■初対決時に2ゴールをあげたマルクス・テュラムの父リリアン
このようにプレーオフを得意としている両国の対戦となった。クロアチアはユーゴスラビアが解体して1990年代に誕生した国であるが、東欧のブラジルと言われた旧ユーゴスラビアの中で最強のチームである。フランスとクロアチアの初対戦は、クロアチアが旧ユーゴスラビアの国として初めてワールドカップに出場した1998年大会の準決勝である。1998年7月8日にスタッド・ド・フランスで行われた試合、フランスは先制点を許したが、現在の代表のマルクス・テュラムの父親であるリリアン・テュラムの2ゴールで逆転勝利を飾っている。
それ以降もフランスが優勢であり、通算の対戦成績はフランスの6勝3分1敗であるが、唯一の敗戦が前回のUEFAネーションズリーグのグループリーグ、スタッド・ド・フランスで0-1と敗れている。もっともこの時はチーム状態が悪く、最終的にグループ3位にとどまっている。
ディディエ・デシャン監督としては2回目のUEFAネーションズリーグ制覇という目標もあり、準優勝に終わってしまった2022年ワールドカップの雪辱を果たすべく、チーム作りには余念がない。
■キリアン・ムバッペが9か月ぶりに復帰、初招集となったデジレ・ドゥエ
3月13日に24人のメンバーを発表したが、なんといっても注目を集めたのはキリアン・ムバッペの復活である。昨年10月と11月には代表から外れたが、昨年の欧州選手権以来9か月ぶりの復活となった。
そして所属チームでのパフォーマンスのよい新人が選出された。代表初招集はパリサンジェルマンのデジレ・ドゥエである。ドゥエは今季レンヌからパリサンジェルマンに移籍して、その才能を開花させ、国内外で活躍している。19歳のFWに対するデシャン監督の期待は大きいであろう。
そして、代表出場未経験の選手はもう1人、GKのルカ・シュバリエである。リールに所属するシュバリエは今季のチャンピオンズリーグでも活躍、リーグフェーズでリールをフランス勢で最良の成績に導くことができたのはシュバリエが連発したセーブによるところが大きい。昨年11月のUEFAネーションズリーグのイスラエルとイタリア戦に招集されたが、第3GKとして出場機会はなかった。今回も出場の可能性は少ないが、連続して招集されたことは所属チームでのよいパフォーマンスの表れである。
■負傷でメンバーから外れたマルクス・テュラム
13日に発表されたフランス代表のメンバーは、GKはマイク・メニャン、ブリス・サンバ、シュバリエの3人、DFはジョナタン・クロース、ルカ・ディーニュ、テオ・エルナンデス、イブラヒマ・コナテ、ジュール・クンデ、バンジャマン・パバール、ウィリアム・サリバ、ダヨ・ウパメカノの8人、MFはエドゥアルド・カマビンガ、マテオ・ゲンドウジ、マヌ・コネ、アドリアン・ラビオ、オーレリアン・チュアメニ、ウォーレン・ザイール・エメリの6人、FWはブラッドリー・バルコラ、ウスマン・デンベレ、ドゥエ、ランダル・コロムアニ、ムバッペ、ミカエル・オリーズ、テュラムの7人である。ただ、テュラムは負傷のため、メンバーから外れたことが残念である。(続く)