第3526回 UEFAネーションズリーグ準々決勝(3) アウエーの第1戦を0-2と落としたフランス
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■第1戦の舞台はスプリトのポリュド競技場
UEFAネーションズリーグの準々決勝、クロアチアとの第1戦はクロアチアのホームゲーム、スプリトのポリュド競技場で行われた。この競技場は、クロアチアのサッカーの強豪ハイドゥク・スプリトの本拠地であるが、陸上トラックも設置され、陸上競技ではこれまでに大きな大会を何回も開催してきた。クロアチア代表はザグレブで試合をすることが多いがスプリトでも試合を行うことがあり、前回のUEFAネーションズリーグではフランスをこのポリュド競技場に迎えた。この模様は本連載第3028回で紹介しているが、クロアチアが終盤にPKで追いつき、1-1のドローであった。
■9か月ぶりに代表復帰のキリアン・ムバッペ、主将を務める
3万人を超える観衆の前、今年初めての代表戦となるフランスは上から下まで青のユニフォームに身を包む。先発メンバーを紹介しよう。GKはマイク・メニャン、DFは右からジュール・クンデ、イブラヒマ・コナテ、ウィリアン・サリバ、ルカ・ディーニュ、MFは右にマテオ・ゲンドウジ、左にアドリアン・ラビオ、中央の低い位置にオーレリアン・チュアメニ、FWは右にランダル・コロムアニ、左にキリアン・ムバッペ、中央がウスマン・デンベレである。9か月ぶりの代表戦となったムバッペがキャプテンマークを巻く。
対するクロアチア、赤と白の市松模様のユニフォームでキャプテンマークを着用するのはムバッペのチームメイト、レアル・マドリッドのルカ・モドリッチである。この試合では2人とも背番号10を背負うが、レアル・マドリッドでの背番号はモドリッチが10、ムバッペが9である。
両チームのメンバーで気がかりなのは累積警告である。フランスの先発メンバーのうちメニャン、サリバ、コナテ、ゲンドウジ、コロムアニの5人はこの第1戦で警告を受けるとホームでの第2戦は出場停止となる。一方のクロアチアはモドリッチを含め、9人が第2戦出場停止というクリティカルな状況にある。
■立ち上がりにPKを失敗したクロアチア
フランスのキックオフで始まった試合、序盤から攻め込んだのはフランスであった。守勢のクロアチアであったが、5分に初めてフランスのゴール前に攻め込み、アンテ・ブディミルの腕をコナテが引っ張ってしまう。主審はペナルティスポットを指差す。コナテにイエローカードが提示されないことだけがフランスに救いか、と思われたが、アンドレイ・クラマリッチのPKをメニャンがストップした。クロアチアがこれまで10回の対戦で唯一フランスに勝利した際はクロアチアがPK1本で得点をあげている。その再現は免れたか、とフランスのファンは思ったが、試合は思うようには進まなかった。
■2点を奪ったクロアチアに対し、攻撃陣が沈黙したフランス
復帰したムバッペは試合開始からほとんどボールを触ることなく、ようやく16分にコロムアニからボールを受けて、シュートを放ったが、クロアチアのGKドミニク・リバコビッチにクリアされる。ようやく目を覚ましたムバッペは20分にもシュートを放つが、またリバコビッチに防がれる。フランスはボールを支配するが、前線の3人が得点に結びつけることができない。
逆にクロアチアは26分、左サイドをイバン・ペリシッチが攻めあがり、クロスをあげる。これをブディミルがヘディングシュート、メニャンは届かず、クロアチアが先制する。
フランスはショートパスをクロアチア陣内でつなぐが、クロアチアの組織的な守備と3万観衆のブーイングの前に最後の扉を開くことができない。
クロアチアは前半アディショナルタイムの46分にマルティン・バトゥリナのシュートをサリバがブロックしたが、跳ね返ったボールをペリシッチがボレーシュート、クロアチアは前半のうちに2点をリードする。
後半に入りフランスは攻勢を強めたが、クロアチアは守備を固め、組織的なプレーでフランスの攻撃陣の再三のチャンスを次々とつぶす。フランスは攻撃陣が振るわず、得点を奪うことができず、アウエーの第1戦を0-2と落としたのである。(続く)