第223回 今年も苦戦するインタートトカップ(1) ニース、古豪対決を制すも3回戦で敗退
■シーズンオフ期間中に始まるUEFA主催の欧州カップ
いよいよ8月の声を聞くとリーグが開幕する。今年の開幕日は8月1日、日本の暦では八朔であり、実りの秋を迎えるに当たり五穀豊穣の祈りを捧げた日に、リヨンとリールとの一戦で長丁場のリーグ戦が始まる。
各チームともシーズンオフの間には移籍による新戦力補強、新シーズンに向けた合宿や練習試合で戦力を高めてきたが、いくつかのチームはこのシーズンオフ期間にUEFA主催の欧州カップの試合を行っている。
UEFAが主催するチャンピオンズリーグはすでに予戦が始まっているが、フランス勢は出場せず、これまでにフランス勢が出場しているのはUEFAカップの予選に当たるインタートトカップである。インタートト・カップにはチャンピオンズリーグ出場チーム、UEFAカップ出場チームに次ぐチームが出場することになり、昨季リーグ7位のガンガン、9位のナント、10位のニースが参戦している。このうちリーグ成績上位のガンガンとナントは3回戦から出場、下位のニースは2回戦から出場している。ホームアンドアウエーのノックアウト方式で行われ、3回戦を勝つと4回戦に相当する準決勝、5回戦に相当する決勝と戦い、決勝で勝った3チームだけがUEFAカップに出場できるという遠い道のりである。
■古豪ニース、37年前の雪辱を果たす
フランス勢の先陣を切って登場したニースは本連載の第110回ならびに第111回で紹介したとおり、2部から昇格してきてリーグ序盤で首位を快走した古豪である。最終的にはリーグ中位の10位にとどまったが、復帰初年で欧州への足がかりをつかみ、2シーズン目への足がかりとしてインタートトカップでも好成績を残したい。7月5日の初戦の相手はスウェーデンのオーグリュテである。本拠地がエーテボリのオーグリュテも創立は1887年であり、古豪対決となった。実はこの両チーム今をさかのぼること37年前の1966－67シーズンにもUEFAカップの1回戦で対戦し、オーグリュテが1勝1分でニースを下している。エーテボリでの第1戦はオーグリュテが先行し、ニースが追いつくという展開であったが、ニースは2度追いついたものの、試合終了間際の90分に3点目を献上、初戦を落としたのである。
第2戦は7月12日にニースで行われ、前半22分までにニースは2点をあげる。オーグリュテの反撃は42分の1点のみ、この1点差をニースは守りきり、得失点差で並びながらもアウエーゴール2倍ルールにより、ニースが3回戦進出。37年前に敗れた相手に雪辱を果たしたのである。
■ジョアン・ミクー、ニースのUEFAカップへの夢を破る
3回戦は7月19日と26日に行われた。まず、ニースはドイツのベルダー・ブレーメンと対戦。ホームで第1戦を迎えたニースはスコアレスドロー。1週間後のアウエーでの戦いで、ニースのUEFAカップへの夢を破ったのは、ベルダー・ブレーメンのフランス人選手ジョアン・ミクーであった。ミクーはご存知のとおり昨年のワールドカップにも出場したばかりではなく、2001-02シーズンは中田英寿と共にパルマに所属していたことから、日本の皆様もよくご存知のことであろう。中田とのポジション争いに敗れ、ドイツにポジションを求めて移籍、ベルダー・ブレーメンでは出場機会も多くなっている。そのミクーの一撃がこの対戦で唯一の得点となり、準決勝進出を決め、ニースは敗退したのである。
■ガンガン、劇的な逆転勝利で第1戦を制す
フランス勢のうち昨季リーグ最上位であったガンガンの試合はホームアンドアウエーのノックアウト方式の醍醐味とも言うべき展開となった。対戦相手はチェコのブルノである。まず第1戦はガンガンで行われ、20分にブルノが先制点をあげ、その後両チーム無得点のまま、試合終盤を迎える。このままアウエーチームの勝利かと思われた81分にガンガンのリカルド・カバナスが同点ゴール。そして88分にはガンガンにPKが与えられ、これをベテランのクリストフ・ルルーが決めて劇的な逆転勝ちをおさめ、準決勝進出をかけた戦いは1週間後にブルノで行われることになったのである。（続く）
