第224回 今年も苦戦するインタートトカップ(2) ガンガン、延長戦で敗退

■延長戦に入ったブルノ-ガンガン戦

 ツール・ド・フランスの喧騒を離れて1週間後にガンガンのイレブンはチェコ第2の都市ブルノに乗り込む。この試合、まず14分にブルノが先制点をあげ、両チーム無得点のまま試合は終盤を迎える。このまま試合が終了すれば、1勝1敗となり、得失点差でも並ぶが、アウエーゴール2倍ルールでガンガンのUEFAカップへの道は途絶えてしまう。ここで幸運なゴールがガンガンに生まれる。同点ゴールを決めたのはDFのニコラ・ラスパーユ。10年以上のプロ生活でわずか4得点の選手が同点ゴールを決め、残り15分守りきれば4回戦進出。ところが欧州の道は甘くない。86分にブルノに勝ち越し点を奪われ、4分後に後半が終了する。これで2試合とも同じスコアとなり、試合は延長戦にもつれこんだのである。

■ブルノのゴールラッシュとガンガンの退場者ラッシュ

 延長の30分間は壮絶な試合となった。延長前半は両チーム無得点。最後の15分となった延長後半になりまずゴールネットを揺らしたのはブルノであった。107分に通算得点で勝ち越し点となる3点目を入れる。そして111分にも強烈なシュートを決め、3点差となる。万事休す、ここまでか、と思われた116分、ガンガンのピエール・イブ・アンドレが 2点目を入れて試合は2点差になる。残り4分でもしガンガンが得点を入れれば、1点差で敗れたとしてもアウエーゴール2倍ルールで準決勝進出を果たすことができる。しかし、この残り4分に起こったことはガンガンの得点シーンではなく、ガンガンの選手の相次ぐ退場であった。この試合、ここまでブルノの選手には警告や退場はなかったが、ガンガンの選手に5枚のイエローカードが提示されていた。119分にはアキム・サシが2枚目のイエローカードで退場、そして120分にはスティーブ・ジョセフ・レイネットが退場処分を受けてしまう。結局120分の激闘が終了した段階で、スコアは4-2でブルノが2点差で勝ち、ピッチに残っていた選手の数も11-9とブルノが2人多い状態であった。2試合合計のスコアはブルノ5-4ガンガンとなり、ブルノが準決勝に進出したのである。

■カナリア軍団ナント、スイスリーグ8位のウィルに辛勝

 そしてフランス勢で最後に紹介するのはカナリア軍団ナントである。3回戦から出場したナントの相手はスイスのウィルである。昨シーズンはスイスリーグで8位であり、フランスリーグの9位とスイスリーグの8位ではナントの楽勝かと思われたが、シーズン前の試合とあってチームの調子は不安定である。第1戦はナントのホームゲームであったが、ナントはシーズン前の試合とあってホームゲームをニオールで行う。1週間前に練習試合でレギア・ワルシャワ相手に4-2と大勝したナントであったが、公式戦のホームゲームでは前半に失点を喫し、0-1で試合を折り返す。後半に入りようやく51分にガボン国籍のシバ・スター・エンジグーが同点ゴール、そして終了間際の88分にグレゴリー・プジョルが勝ち越し点をあげ、ようやく勝利をものにする。
 第2戦は7月26日に山紫水明に恵まれた観光地ウィルで行われた。1-0で勝てば準決勝進出となるウィルはPKのチャンスを得て10分に先制点をあげる。引き分け以上を狙うナントはすかさず12分にコロンビア代表の主将として日本を苦しめたマリオ・イエープスが同点ゴール。ナントは23分に勝ち越し点を許すが、前半終了間際の43分にマラマ・バイルアのゴールで追いつく。そして後半に入り、64分に第1戦同様プジョ
ルが勝ち越し点を決めて、3-2でアウエーの第2戦も連勝する。

■ペルージャにホームゲームで敗れ、首の皮一枚

 ナントは連勝したものの、内容は評価できるものではなく、チームとして修正が必要な状態である。しかし、準決勝第1戦は3回戦の4日後に行われ、ナントにはチームを修正するだけの時間がなかった。準決勝の相手はイタリアのペルージャ。中田英寿がこのチームを去ってから日本では注目を集めなくなったが、チームの成績は中田時代よりもよくなっている。スイスから戻った直後の試合がホームゲームということだけがナントの救いであったが、ニオールでのカナリア軍団は決して動きはよくなく、後半に入った61分にマルコ・ディロレートに決勝ゴールを奪われ、第1戦を落としてしまう。第2戦はフランスリーグ開幕直後の8月7日にペルージャで行われるが、スケジュール的にも厳しい戦いが予想される。
 昨年はフランス勢(リール、ソショー、トロワ)はインタートトカップで敗退したが、2年連続でインタートトカップ全滅ということは今までなかったことである。ナントのペルージャでの戦いに期待したい。(この項、終わり)

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