第267回 欧州チャンピオンズリーグ・グループリーグ(1) フランス勢、上々の第1戦

■欧州チャンピオンズリーグの人気の低迷と打開策

 欧州のクラブにとって欧州チャンピオンズリーグ、UEFAカップだけが公式の国際試合である。近年これらの大会は人気の低下が著しいことはこれまでの本連載で紹介している。人気低落の原因としては外国人選手枠の撤廃、一国からの複数参加、リーグ戦方式の導入と拡大により競技面では「大会としてのレベルアップ」は図ることができたが、逆に興行面では従来の「毎年開催されるミニ欧州選手権」「一発勝負の魅力」という色合いが薄れ、ファンのチャンピオンズリーグ離れを招いているのであろう。
 しかし、人気が低落しているからと言ってこれらのタイトルを各クラブ、各国協会が軽視しているわけではない。各国のリーグ戦、カップ戦、リーグカップ戦、そして代表の試合とのスケジュールについては試行錯誤を重ね、従来の1次リーグ、2次リーグと言う2回のグループリーグを改め、今季からはグループリーグは1回だけで、各グループの上位2チームが決勝トーナメントに進出する方式になった。この結果、日程面で大幅に余裕ができると共にリーグ戦につきものの「消化試合」が少なくなっている。

■3チームがグループリーグに参戦

 欧州チャンピオンズカップ時代はしばしば上位に進出し、タイトル争いに絡んだフランス勢であるが、この数年の欧州チャンピオンズリーグではタイトル争いどころが序盤に敗退するケースが多く、特に昨年は1チームも1次リーグを突破することができず、越年することができなかった。リヨン、ランス、オセールの3チームが出場した昨年の大会の模様については本連載第140回から第144回までで紹介しているが、マルセイユが「幻の欧州チャンピオン」となってから10年以上経つ今季はフランス勢の意地を見せたいところである。
 今年もフランスからは3チームが欧州チャンピオンズリーグに参戦した。昨年度リーグ連覇を果たしたリヨン、リーグ2位のモナコはグループリーグからの参戦。そしてリーグ3位のマルセイユは予備戦3回戦からの出場となる。8月に行われた予備戦3回戦でのマルセイユの戦いについては本連載第244回で紹介したとおりであり、オーストリアのオーストリア・ウィーンにアウエーで先勝、ホームでスコアレスドローと言う成績でグループリーグ参戦を決めている。
 8月末に行われたグループリーグの組み合わせはリヨンがバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、アンデルレヒト(ベルギー)、セルティック(スコットランド)とともにグループAへ、モナコはラコルーニャ(スペイン)、PSVアイントホーヘン(オランダ)、AEKアテネ(ギリシャ)とともにグループCへ、そしてマルセイユは第244回で紹介したとおりレアル・マドリッド(スペイン)、FCポルト(ポルトガル)、パルチザン・ベオグラード(セルビア・モンテネグロ)と同じグループFである。リヨン、モナコは国内リーグの成績が良かったことからシードされているが、マルセイユはリーグ3位で予備戦からの勝ち上がりということで、強豪相手に戦いを挑むことになる。マルセイユの序盤の戦いについてはすでに紹介したが、リヨン、モナコの戦いはどうだったのだろうか。

■リーグ戦でエンジンのかからないリヨン、第1戦を手堅く勝利

 まず、マルセイユがいきなりレアル・マドリッドとアウエーで戦った第1節で、リヨンはアンデルレヒトを迎える。9月17日にリヨンのジェルランで行われた試合は3万7000人の観衆が集まった。国内リーグでは第6節を終わったところで11位と調子の出ないリヨンは今季初めてシドニー・ゴブーを先発に起用する。エウベルをトップにし、ジュニーニョ、ゴブーらを第2列に配したリヨンの攻撃をベルギーの名門は止められず、25分にジュニーニョに対してのファールで得たペナルティをジュニーニョが決めて先制。このまま試合終了かと思われた86分にリヨンはピンチを迎えるが代表の第2GKのグレゴリー・クーペがスーパーセーブ。ホームでの第1戦で手堅く勝ち点3を手にする。

■レアル・マドリッドから移籍のフェルナンド・モリエンテスが活躍

 一方、モナコはPSVアイントホーヘンとアウエーで第1戦を迎える。欧州王者の経験もあるこの強豪に対し、モナコは素晴らしい試合を展開する。まず31分にはレアル・マドリッドから移籍してきたスペイン代表のフェルナンド・モリエンテスが先制点。56分にはモリエンテスからのパスをエドゥアール・シセが決めて追加点。PSVの反撃を1点に抑えて、アウエーでの初戦を勝利し、移籍2試合目のモリエンテス・デーとなった。本連載第244回で紹介したマルセイユはレアル・マドリッドにアウエーで敗れながらも先制点をマークし、フランス勢の第1戦は上々のスタートとなったのである。(続く)

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