第306回 春を迎えたフランス・サッカー(4) 無敗で第2戦を迎えるUEFAカップ3回戦

■アウエーでロスタイムに決勝点を挙げたボルドー

 前回までの3回の連載の中でチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦の模様について紹介したが、今回からもう一つのタイトルであるUEFAカップの3回戦以降について紹介しよう。本連載第273回から第275回でUEFAカップ2回戦の模様について紹介し、2回戦を勝ち抜いたボルドー、ソショー、オセール、そしてチャンピオンズリーグのグループリーグで3位だったマルセイユの4チームがベスト16を目指して戦うことになった。2月26日にはフランス勢4チームが時間をずらして登場した。
 最初に登場したのはポーランドのグロジスクでグロクリンとアウエーで戦うボルドー、18時キックオフの試合は降雪も心配されたが、気温こそ低かったものの降雪はなく、上々のコンディションの中で試合は始まった。大都市ではなく小都市に1部リーグのチームが点在するポーランド、グロジスクもその例外ではない。しかし、小都市であるがゆえにスタジアムなどの整備が遅れ、グロクリンのホームスタジアムは1924年の開設以来ほぼそのままという歴史的建造物である。わずか5000人の観衆の前で始まった試合、ボルドーはピンチを迎える。30分にボルドーのゲームメーカーであるスペイン代表のアルベルト・セラーデスへ警告が与えられたプレーに対し、エドゥアルド・コスタが相手選手と口論し、コスタは退場処分となる。残り1時間、1人少ない戦いを余儀なくされたボルドーであるが、アウエーゲームらしく粘り強く守るとともに、自らのプレーからチームメートを1人失うことになったセラーデスが奮起し、攻撃を組み立てる。両チーム無得点のまま90分を過ぎ、残されたのはロスタイムのみ。グロクリンのDFの緩慢なプレーをセレーデスは見逃さず、ボールを奪ったセレーデスは1トップのマルアーヌ・カマクにパスをする。カマクはドリブルでGKをかわし、無人のゴールへ貴重な得点をたたきこみ、ボルドーはアウエーで先勝する。

■最少得点でホームゲームをものにしたマルセイユ

 厳寒のグロジスクでの試合が後半を迎える19時にマルセイユのベロドロームでは、欧州カップ通算100試合となるマルセイユがウクライナのドニエプロペトルフスクを迎えてキックオフ。サッカーの都の光景は1時間前に始まったポーランドの小都市とは異なり、地元ファンが熱狂的な声援を送る。マルセイユは大声援をバックに攻めまくるが、無得点。後半になって55分、マルセイユは、スティーブ・マルレがペナルティエリアの中で倒され、PKを得る。ディディエ・ドグロバが慎重に決めてようやく先制点。アウエーでの第2戦を残していることも考えれば、追加点の欲しいマルセイユであるが、最少得点での勝利でウクライナへ遠征することになった。

■強豪相手に人数的不利をしのいでドローに持ち込んだオセール

 そしてボルドーがアウエーでの勝利をあげた直後の20時にホームでキックオフを迎えたのがオセールである。ボルドー、マルセイユが比較的相手に恵まれたのに対し、オセールの相手は強豪パナシナイコス(ギリシャ)である。強敵相手に最少得点でも勝利を得たいオセールであるが、前半は両チーム無得点で乗り切る。後半に入ると試合が荒れ気味になり、イエローカードが連発され、66分にはオセールのオリビエ・カポが退場処分を受ける。1人少ないホームのオセール、しかも左サイドの攻撃の起点を欠く陣容、結局スコアレスドローに持ち込むのが精一杯であったが、アウエーでの第2戦で得点を取ってドローならば4回戦進出という希望をつないだのである。

■最難関インテル・ミラノに追いついたソショー

 アウエーで勝利、ホームで辛勝、ホームで引き分けとフランス勢の成績が悪くなる中で最後の試合が21時にキックオフされる。ソショーのホームゲームであるが、相手のイタリアのインテル・ミラノは最難関といってもいい強敵である。ソショー圧倒的不利という予想であるが、地元ファンジャイアントキリングを期待し、前売りで入場券が完売という中でキックオフ。イタリアの強豪が常に先手を取る展開となる。8分にクリスチャン・ビエリがヘディングで先制点。試合開始早々の失点であったが、ソショーはその後よく守り、後半に入って59分、2トップの1人であるピエール・アラン・フローが同点ゴール。2万人の地元ファンが歓喜するが、その2分後にレコバに勝ち越し点を奪われる。このままホームで敗戦か、と思われた81分、フローが起死回生の同点ゴール。アウエーでの最少得点での勝利さえあれば、4回戦進出という夢をつなぐゴールとなった。
 結局、ホーム3試合、アウエー1試合で負けのなかったフランス勢は希望とともに1週間後の第2戦を迎えたのである。(続く)

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