第308回 春を迎えたフランス・サッカー(6) ベスト8入りを目指す4回戦第1戦
■3週連続で行われたUEFAカップ
フランス勢3チームが4回戦に進出したUEFAカップ、3回戦第2戦の翌週には早くも4回戦第1戦が行われ、3週連続して週の中盤には国外のチームとの試合が行われることになる。しかも週末には国内リーグ戦も行われており、調子の波に乗ったチームが3回戦、4回戦を勝ち抜くことになる。
3回戦が終了するとともに4回戦のシード順位の決定と組み合わせ抽選が行われた。4回戦に残った16チームのうち上位8チームがシード入りし、シード外のチームと対戦する。フランスからは国内リーグで低迷するボルドーだけがシード入りし、クラブ・ブルージュ(ベルギー)と対戦、シード入りできなかったオセールはPSVアイントホーヘン(オランダ)、マルセイユはリバプール(イングランド)と戦うことになった。フランス勢と戦う3チームはいずれも訪日経験があり、日本の皆様はよくご存知のチームであろう。
■UEFAカップだけが残されたタイトルのボルドー
4回戦第1戦の8試合は3月11日に行われた。フランス勢の試合は時間をずらしてキックオフ。先陣を切るのは19時にシャバン・デルマスにクラブ・ブルージュを迎えるボルドーである。欧州カップでクラブ・ブルージュに対してフランス勢は相性がよく、このところ4回連続してクラブ・ブルージュを下している。苦手のフランス勢とのアウエーゲームでクラブ・ブルージュは守りを固める。さらに驚いたことに58分には先制点を入れる。シャバン・デルマスに驚きの声が上がったが、国内のタイトルは3つとも不可能になったボルドーにとって残るタイトルはこのUEFAカップだけである。思わず許した先制点で目指すべきタイトルを再認識した。失点の1分後にはスペイン代表でレアル・マドリッドからレンタル中のアルベルト・セラーデスが同点ゴール、さらに71分には同じくセラーデスがループ・シュートで勝ち越し点。そしてもう一人のスペイン人選手であるアルベルト・リエラが87分にオフサイドトラップをかいくぐって3点目、結局、ボルドーが3-1というスコアで第1戦をものにした。
■雪辱に燃えるPSVアイントホーヘンに追いつかれたオセール
20時半にはオセールのアベ・デシャンの試合がキックオフ。PSVアイントホーヘンはチャンピオンズリーグのグループリーグでモナコに敗れ、UEFAカップに転戦し、フランス勢に復讐を果たしたいところである。実は昨季のチャンピオンズリーグでオセールとPSVアイントホーヘンは1次リーグで戦い、この時はオセールでドロー、アイントホーヘンではPSVアイントホーヘンが3-0の勝利を収めたが両チームとも2次リーグ進出を逃している。ホームのオセールにとってもPSVアイントホーヘンは雪辱を期したい相手である。オセールは守備の中心である若きフランス代表のジャン・アラン・ブームソン、フィリップ・メクセスを欠く布陣。しかし、この試合最初にゴールネットを揺らしたのはオセールのフィンランド代表のテーム・タイニオである。36分の先制点のあともオセールが攻め続ける。しかし、追加点はならず、逆に後半に入って71分、PSVアイントホーヘンはFKの好機を得る。キッカーは韓国代表の李栄杓、韓国帰りのフース・ヒディング監督の秘蔵っ子である。FKの分野では世界最高峰の技術レベルにある東アジア、李は直接ゴールを狙うが、オセールのGKファビアン・コールは触るのが精一杯、コールのはじいた球をPSVアイントホーヘンのテオ・ルシウスがヘッドで押し込み、オセールはホームで失点を許して引き分けという結果に終わったのである。
■ディディエ・ドログバのゴールで追いついたマルセイユ
そしてこの夜唯一のアウエーゲームはフランス時間で21時からイングランドの港町リバプールで行われた。同じく港町のマルセイユが3年前の優勝チームに挑む。昨年末までマンチェスター・ユナイテッドに所属していたマルセイユのファビアン・バルテスにとって、リバプールでの戦いはブーイングとの戦いでもある。マイケル・オーウェン、ハリー・キューエルらによるリバプールの攻撃をマルセイユ守備陣はよく耐える。しかし、チェコ代表ミラン・バロシュが55分に港町を歓喜させる先制ゴール。なおもリバプールは追加点を狙い果敢に攻めるが、殊勲の同点ゴールをあげたのはフランスの港町にコートジボワールからやってきたディディエ・ドログバであった。グループリーグのパルチザン・ベオグラード戦のハットトリックなどで欧州の舞台での活躍の目立つドログバの値千金の同点ゴールでマルセイユでの戦いを優位に進めることができるようになったのである。(続く)