第309回 春を迎えたフランス・サッカー(7) ボルドー、マルセイユが8強入り
■国内リーグで調子を崩した3チーム
UEFAカップのベスト8を決する4回戦第2戦は第1戦から2週間経過した25日に行われた。この間の2度の週末には国内リーグが行われていたが、フランスからUEFAカップ4回戦に出場した3チームが国内リーグに勝利したのはマルセイユがホームゲームで1試合勝っただけで、それ以外の5試合は2分3敗と芳しい戦績ではない。しかし、調子が下降気味であるにせよ、決戦の日はやってきた。
■アウエーでも勝利、ボルドー5年ぶりの8強に
フランス勢で最初に登場したのは水の都・ブルージュに乗り込んだボルドー。第1戦はホームで3-1と勝利しているとはいえ、攻撃陣の中心のパスカル・フェインデゥーノを負傷で欠く苦しい布陣。しかもクラブ・ブルージュはホームでは圧倒的な強さを誇り、昨年10月以降はホームで負けなしであり、3点差での勝利を目論んでいる。失点を2点以内に抑えればベスト8入りすることができるボルドーはアウエーらしい慎重な試合運び。一方、3点以上のゴールが欲しいクラブ・ブルージュは試合を支配し、ボルドーのゴールに波状攻撃をかける。元フランス代表GKウルリッヒ・ラメを中心に守り、試合終盤になっても無失点を続ける。そしてマルアーヌ・カマクが84分にゴールをあげてこれで安全圏、ボルドーはホーム、アウエーとも勝ち、欧州カップで5年ぶり通算6回目の8強に進出したのである。
■アウエーで完敗、オセールの夢破れる
ベルギーの隣国オランダのアイントホーヘンでは20時30分からPSVアイントホーヘン-オセール戦が行われた。ホームでの第1戦は痛恨の同点ゴールを許して追いつかれたオセール、オランダでは勝利あるいはハイスコアの引き分けが必要であったが、第1戦のヒーローであるテーム・タイニオと点取り屋のジブリル・シセを負傷で欠く苦しい陣容である。試合は立ち上がりからホームのPSVアイントホーヘンがボールを支配する。スコアレスドローという選択肢は攻撃サッカーを標榜するフース・ヒディング監督の頭の中にはないようである。そして試合開始早々の4分、PSVアイントホーヘンのマテヤ・ケズマンが先制点をあげる。先制点を許したオセールは少なくとも2点を取らないことには8強入りはできない。シセ、タイニオを欠くオセールであるが、オリビエ・カポなどがPSVアイントホーヘンゴールを襲うが、スコアボードは変わらない。PSVアイントホーヘンは27分にもケズマンが追加点。残り試合時間は1時間あるものの、オセールはこのゴールで沈黙する。結局後半に入ってから73分にもPSVアイントホーヘンが追加点をあげて、3-0と完勝、1勝1分で8強入りを決めたのである。オセールでドロー、アイントホーヘンではPSVアイントホーヘンが3-0の勝利というのは昨季のチャンピオンズリーグのグループリーグ同様であるが、その時は両チームともグループリーグ敗退、しかし今回は8強入りとトーナメントから脱落と明暗が分かれたのである。
■マルセイユ、見事な逆転勝ちで8強に
フランス勢1勝1敗という中で21時からの試合でトリをつとめたのがマルセイユである。リバプールでは1-1のドロー、ちょうどオランダで苦汁を飲んだオセールと逆の立場にある。しかし、相手のリバプールはフランス人監督のジェラール・ウリエ率いる3年前の優勝チームである。エミール・へスキーとマイケル・オーウェンの2トップは脅威である。リバプールはこれまで欧州カップでフランス勢と5度対戦しながら2度敗退している。そのうちの1回が1996-97シーズンのカップウィナーズカップ準決勝のパリサンジェルマン戦である。マルセイユはリバプールと初顔合わせであるが、パリサンジェルマンが勝ったことのある相手に負けるわけには行かない。そのような気負いが裏目に出たのか、15分にリバプールのへスキーのゴールを許し、先行される。アウエーでの先制点に勢いづくリバプール、その後も追加点を奪う勢いであったが、守備陣のミスにより試合は振り出しに戻る。37分にスティーブ・マルレが抜け出したところをリバプールのDFが手でつかんだと主審が判断し、レッドカードとPK。このチャンスをディディエ・ドログバが決めて、ベスト8入りをかけた試合はヒートアップする。後半に入りマルセイユがリズムをつかみ、連続してチャンスを得る。そして58分にアブデゥライエ・メイテがCKをヘディングでゴールに叩き込み、ついに逆転する。アウエーゴール2倍ルールにより、リードされたリバプールも同点に追いつけば準々決勝進出となるが、60分にエースのオーウェンが負傷退場する。リバプールでは猛烈なブーイングを浴びたファビアン・バルテスが磐石の守備を見せ、マルセイユもまた8強入りしたのである。(この項、終わり)