第315回 欧州4強への道(2) リヨン、モナコともアウエーで第1戦を落とす

■劇的な同点ゴールでマンチェスター・ユナイテッドを下したポルト

 フランス国内での首位交代劇が起こってからまもなく、リヨンとモナコはイベリア半島への旅に向かった。今シーズン初めてリーグ首位に立ったリヨンはポルト(ポルトガル)と対戦する。ポルトは昨年のUEFAカップの覇者であり、今シーズンは国内リーグでは首位に位置している。そしてポルトはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントの1回戦でマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)を破っている。マンチェスター・ユナイテッドとの戦いはまずポルトのホームでポルトが2-1と勝ったが、マンチェスター・ユナイテッドはマンチェスターでの第2戦を1-0で勝利すればアウエーゴール2倍ルールによりベスト8進出が決まる。32分にポール・スコールズが決めた先制点を守りきり、地元ファンが帰り支度を始めた90分、オールドトラフォードを沈黙させ、ポルトガルの港町を歓喜させるゴールをダコスタが決める。強豪相手に劇的な同点劇を演じ、リヨン同様の勢いのあるチームである。

■誕生日をポルトで祝ったリヨンのオラス会長

 今までポルトガルのクラブチームとフランスのクラブチームがチャンピオンズリーグ(チャンピオンズカップ)で16戦している。ポルトガル勢が6勝5分5敗と若干勝ち越しているが、この過去の対戦の中には1989-90シーズンの準決勝、マルセイユ-ベンフィカという悔しい対戦も含まれている。ベンフィカ選手のハンドによるゴールで敗れたマルセイユ以来のリーグ連覇を遂げたチームがリヨンであり、ポルトガル勢を倒して欧州の頂点を目指したいところである。リヨンのジャン・ミッシェル・オラス会長は試合前日に誕生日を迎え、1950年産のポルトで誕生日を祝っている。

■リヨン、0-2とポルトに屈す

 青と白の縦縞のポルト、赤いユニフォームのリヨン、両チームが積極的に攻めあう試合となるが、前半終了間際にポルトが先制する。クロスからのボールをボレーで折り返し、そのボールをトップ下のデコがゴールに叩き込む。30分にも泡や先制点と言うシュートをリヨンのGKグレゴリー・クーペに防がれて悔しがったデコの執念のゴールであった。ハーフタイム直前の失点を喫したリヨンをアクシデントが襲う。ゲームメーカーをつとめていた左の攻撃的MFのジュニーニョが前半終了時に負傷退場、代役としてビカシュ・ドラッソーを投入する。このドラッソーの投入が功を奏し、後半は1点を追うリヨンがボールを支配し始める。しかし、次のゴールはまたしても青と白の縦縞のユニフォームであった。71分、ゴール前で右からのFKにストッパーとしてリヨンの攻撃を封じていたリカルド・カルバーニョがヘディングで豪快にゴールネットを揺らす。この2点目でリヨンは沈黙、オラス会長は試合後に祝杯を上げることができなかった。

■モナコはレアル・マドリッドのゴールラッシュに沈む

 その翌日には首位から陥落したモナコがレアル・マドリッド(スペイン)と対戦する。レアル・マドリッドは過去4年間連続してチャンピオンズリーグでベスト4に入っている常連である。対するモナコは半年以上保ってきたリーグ首位の座をリヨンに明け渡したばかりである。ところが、チャンピオンズリーグの常連レアル・マドリッドもモナコ戦前の2試合では連敗している。まず17日のスペイン国王杯決勝ではレアル・サラゴサに2-3と敗れて今シーズン最初のタイトル獲得にはいたらなかった。そしてモナコが首位陥落した20日にはリーグ戦でアスレチック・ビルバオに2-4と敗れており、精神的に下降気味の両チームの対戦となった。
 モナコの攻撃の中心はレアル・マドリッドからのレンタルされ、チャンピオンズリーグでは大活躍のフェルナンド・モリエンテス、一方のレアル・マドリッドは3月7日以来試合から遠ざかっていたロナウドが復帰、攻撃陣の選手に注目が集まったが、試合はそのとおりハイスコアになった。43分にモナコのセバスチャン・スキラッチがあげ、欧州選手権でのフランス代表入りをアピール。しかし、エンドが変わった後半、欧州ランキングナンバーワンの実力を発揮する。51分にイバン・エルゲラが同点ゴールをあげると、立て続けにモナコのイタリア人GKフラビオ・ローマを陥落する。ジネディーヌ・ジダン、フィーゴ、ロナウドと世界的なスター選手が得点する。モナコはモリエンテスが古巣相手に慣れ親しんだスタジアムで1点を返すのが精一杯。結局、モナコも2-4と第1戦を落とす。
 フランス勢は2点のビハインドを背負ってホームの第2戦に臨むことになったのである。(続く)

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