第357回 インタートトカップ開幕(1) ナントとリールが準決勝へ

■欧州選手権中に開幕したインタートトカップ

 レギュラーシーズンが5月に終了し、6月はポルトガルでの欧州選手権、7月はツール・ド・フランスに注目が集まり、クラブレベルではシーズンオフを迎えているように見えるが、実はこの間も各クラブが熱戦を繰り広げている。その熱い戦いが今回紹介するインタートトカップである。1995年にUEFAカップの予備戦として始まったこの戦いには各国のリーグでチャンピオンズリーグ、UEFAカップ出場に次ぐ成績を残したチームが参加する。昨年はビジャレアル(スペイン)、ペルージャ(イタリア)、シャルケ04(ドイツ)の3チームがUEFAカップに出場、ビジャレアルは見事に準決勝進出、ペルージャは3回戦進出、シャルケ04も1回戦を突破している。

■フランスでは出場辞退が続出

 昨年同様3チームに欧州の道が開かれる今回のエントリーは61チーム、うちフランスからはリーグ6位以下の3チームが出場する。本連載第332回で出場チームを紹介した際に、リーグ7位のマルセイユが出場資格を有するにもかかわらず出場辞退を表明していることを紹介した。それはシーズンオフで休養と新チームのスタートを重視すべき時期にホームアンドアウエーでの戦いを最高6回、最低でも4回勝ち抜かなければUEFAカップ出場権を得ることができない狭き門だからである。残念なことにリーグ8位のランス、9位のレンヌも出場辞退を表明し、フランスからはリーグ6位のナント、10位のリール、11位のニースの3チームが真夏の欧州の戦いに挑むことになった。
 1回戦は欧州選手権でまだグループリーグを戦っている6月19日と26日に行われていた。フランス勢は1回戦を免除されているものの、1回戦に出場したクラブにはロシア代表に多くの選手を送り込んでいるスパルターク・モスクワの名前もある。

■初戦で消えたリーグ11位のニース

 フランス勢の先陣を切ったのはリーグ11位のニースが2回戦から登場した。欧州選手権決勝前夜にデンマークのリーグ3位のエスベリとアウエーで戦う。昨年もこの大会に出場したニースであるが、アフリカ国籍選手を中心にメンバーを招集できないまま、公式戦の初戦を迎える。コペンハーゲンの北西50キロにある町で迎えた試合の観衆はわずか500人、これに拍子抜けしたわけではないのであろうが、開始早々の2分に失点を許し、その後、両チームのゴールネットが揺れることはなく、第1戦を落としてしまう。
 第2戦はニースで11日に行われた。フランス国内で今季最初の公式戦である。北欧での試合から南仏の太陽の下での試合となったが、ニースは前半のロスタイムにセドリック・バローが先制し、1万人近くのファンを歓喜させる。その後、両チームは得点なく、このまま延長戦突入かと思われた89分、北欧からのゲストは同点ゴールを決める。同点ゴールの後、タイムアップの笛が吹かれ、ニースの欧州への挑戦は革命記念日を待たずして終わってしまったのである。

■リールとナントはホームで先勝、アウエーで引き分け、準決勝進出

 フランス代表の新監督も決まり、革命記念日も終えた7月17日には、3回戦から参戦するリールがベラルーシのディナモ・ミンスクを迎える。23分にリールが先行し、26分にディナモ・ミンスクが追いつき、29分にリールが勝ち越す、という点の取り合いとなり、そのまま試合終了。第2戦は7月24日にミンスクで行われる。代表チームはホームゲームで数万人の観客を動員し、欧州屈指の人気を誇るベラルーシであるが、この試合に集まった観衆はわずか3000人、サッカー人気が代表チームに集中しているのはこの地域がアジアの影響を受けていると言えるであろう。0-1で敗れれば初戦敗退というリールであったが、その悪い予感が的中し、33分に先制を許す。41分に追いついたものの、後半に入って50分に再び勝ち越しを許す。そしてこの試合の救世主となったのがマット・ムシルーであった、再び同点ゴールを決めて、リールは準決勝進出を決める。
 そしてナントの3回戦は7月18日に始まった。相手はアイルランドのコーク・シティ、アイルランドはワールドカップ予選で同組に入っており、早くも前哨戦となった。1万人以上を集めたナントのホームゲームではナントが3-1と快勝する。ゴールラッシュにファンも大満足する、そして続く第2戦は24日にアイルランドで行われる。コークでの試合は立ち上がりの5分にコーク・シティが先制、2点目を奪われれば、ナントの欧州の夢が消えるところである。この試合ナントはアジャクシオから移籍してきたママドゥ・バガヨコを先発に起用。ところがロイック・アミス監督は64分にバガヨコをベンチに下げ、グレゴリー・プジョルを投入、このプジョルが73分にゴールをあげて万事休す。ナントもリール同様1勝1分で準決勝進出を決めたのである。(続く)

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