第370回 2004-05チャンピオンズリーグ開幕(1) 前年度準優勝のモナコも本戦出場
■フランス勢が久しぶりの活躍を果たした前年度の大会
前回までの本連載では9月8日からワールドカップ予選が始まったことを紹介したが、その翌週には欧州チャンピオンズリーグの本戦が開幕する。人気の低落が話題になるチャンピオンズリーグであるが、各クラブにとっては最高の国際試合であることは間違いない。特にフランスでは、大会全体の盛り上がりに欠ける上、近年はフランス勢の成績も精彩を欠いていたため、テレビ視聴率なども低下の一途であった。しかし、前年度の大会はモナコ、リヨン、マルセイユが出場し、モナコへ決勝進出、リヨンは準々決勝進出を果たしている。そして1次リーグで敗退したマルセイユもUEFAカップで決勝に進出しており、久しぶりにフランス勢が活躍をし、国民の注目を集めた。
■リーグ3位、前年度準優勝で予備戦からの出場となるモナコ
今年度の大会にはフランスからは3チームが出場する。昨年度リーグ上位の3チーム、すなわち1位のリヨン、2位のパリサンジェルマン、3位のモナコが欧州の頂点を目指すことになる。このうち1位のリヨンと2位のパリサンジェルマンは本戦から参戦するが、3位のモナコは予備戦なくては本戦に出場できない。昨年度のリーグ戦ではトップを独走しながら終盤にリヨンとパリサンジェルマンに抜かれ、チャンピオンズリーグでも決勝でポルトガルのポルトに敗れ、最後の最後で国内外のタイトルを逃したモナコは、国内シーズン開幕間もない8月11日に欧州の戦いに臨むことになった。モナコは3回戦まである予備戦の3回戦から参戦となり、1回勝てば本戦出場となるが、やはりシーズン開幕直後の段階での国際試合は特別の存在である。また、昨年の好成績で多くの主力選手が国内外の他のクラブへ移籍してしまっており、新チームの仕上げには他のチーム以上の労力が必要であり、若き指揮官ディディエ・デシャン監督の手腕が見ものである。
■豪華な顔ぶれとなった今年の予備戦3回戦
今年の予備戦にはモナコだけではなくスペインのレアル・マドリッド、イングランドのマンチェスター・ユナイテッドとリバプール、イタリアのインテル・ミラノとユベントス、ドイツのレバークーゼン、ポルトガルのベンフィカ、ベルギーのアンデルレヒトというビッグクラブが参戦しており、例年以上の注目を集めることになった。
モナコの予備戦3回戦の相手はスロベニアのリーグチャンピオンであるNKゴリツァである。ゴリツァは予備戦1回戦でエストニアのフローラに連勝する。続く予備戦2回戦では、デンマークのFCコペンハーゲンと対戦し、アウエーの第1戦は落としたものの、ホームの第2戦で5-0と大勝し、合計スコアで勝ち抜き、本戦まであと一歩まで駒を進めてきた。
■6人の国外の代表選手が得点をあげたモナコが本戦出場
第1戦をモナコはアウエーで戦うことになり、フランス代表にも選出されたパトリス・エブラが警告2回で退場処分、人数的に不利な戦いを強いられたが、そこは欧州準優勝チーム、3-0というスコアで難なく初戦をものにしたのである。第2戦は8月24日に地元モナコのルイ2世競技場で行われた。リーグ戦では連勝でスタートしたものの、21日に行われた第3節で初黒星を喫したモナコは、ホームで余裕をもって戦える相手との試合で調子を立て直したいところである。試合はそのモナコの狙い通りの展開となった。18分の先制点はモナコのエルネスト・チェバントン、ウルグアイ代表として訪日経験もあることから本連載の読者の皆様もよくご存知の選手であろう。試合開始直後から積極的にゴールを狙っていたチェバントンの18分の先制点で昨年度も爆発的な攻撃力を誇ったモナコがゴールラッシュを再現する。32分にはアルゼンチン代表の日本遠征から帰国したばかりのルーカス・ベルナルディが2点目、42分にはノルウェー代表のハッサン・エル・ファキリが3点目をあげる。後半になっても攻撃の手を休めないモナコは47分にシエラレオネ代表のモハメド・カロン、66分にはスウェーデン代表のポントゥス・ファルネルド、そして84分にはトーゴ代表のエマニュエル・アデバヨルが6点目。実に6人の得点者が全員国外の代表選手で、その国籍が全て異なるという記録の大勝で、モナコは前年度以上の成績に挑戦するのである。(続く)