第388回 チャンピオンズリーグ秋の戦い (1) 首位で折り返したリヨン、モナコ
■イングランド勢相手に不本意な成績で終わった第1節
今季のチャンピオンズリーグについてはグループリーグの第1節の模様を本連載の第370回から第372回にかけて紹介した。奇しくもイングランド勢と初戦を戦うことになり、フランス勢はイングランド勢に対して1分2敗と不本意な成績で初戦を終えてしまった。
■アウエーでスパルタ・プラハを下したリヨン
9月の末に第2節が行われた。28日にグループDのリヨンはアウエーでスパルタ・プラハと対戦する。第1節でリヨンはホームでマンチェスター・ユナイテッドとドローに終わっている。代表チームのレベルでは欧州選手権で優勝候補の筆頭にも推す声もあったチェコであるが、クラブチームの力はまだまだである。リヨンはアウエーゲームでもえ下位シード相手に勝利をあげたいところである。もちろん、用心深いファンはスパルタ・プラハが13年前に全盛期のマルセイユを倒した「黒い水曜日」を忘れてはいない。しかし、この試合は水曜日でなく火曜日に行われたのがプラハにとっての不運であった。前回の本連載でも紹介したとおり、スパルタ・プラハは早々に先制点を奪ったものの、リヨンはあわてることなく逆転勝ちを収め、初勝利をあげる。
■試合開始早々に得点をあげて連勝し、首位になったモナコ
そして同日にモナコはスペインのデポルティーボ・ラコルーニャをホームに迎える。第1節はリバプールに0-2といいところなく敗れたモナコであるが、ホームで蘇生した。6分にシエラレオネ代表のモハメド・カロンが先制点、11分にはバルセロナから移籍してきたアルゼンチン代表のハビエル・サビオラが追加点。残り80分この2点のリードを守りきり、初勝利をあげる。
この両チームは10月19日に行われた第3節でも勝利をあげる。第3節と第4節は同じ対戦相手であることから、第3節で勝利をあげれば、心理的に優位に立って第4節を迎えることができる。モナコの相手はギリシャのオリンピアコス、リヨンの相手はトルコのフェネルバフチェである。モナコは前節に続きホームの戦い、一方のリヨンはイスタンブールで野戦いとこちらは2戦連続のアウエーゲーム。2つの試合は同時刻にキックオフされたが、先に試合を決めてしまったのはモナコであった。攻撃的布陣で野損モナコは3分に早くもサビオラが先制点。そして、10分にはエルネスト・チェバントンが追加点をあげる。前節の試合同様に序盤で2点を奪ったモナコはその後は守勢一方となる。オリンピアコスが何度も得点機をつかむが、モナコ2点リードで前半が終わる。後半に入ってもオリンピアコスが攻撃の手を緩めず、60分にはついに1点を返す。その後もオリンピアコスの攻撃は続くが、結局モナコは逃げ切る。肝心なところで守りきる力をモナコは付けてきた。
■イスタンブールでリヨンも連勝、首位に立つ
そして、イスタンブールで敵の声援に圧倒されたリヨンは苦戦する。前半はフェネルバフチェの猛攻をようやくしのぎきって両チーム得点無し。普通のチームならば大声援のアウエーゲームで引き分けならば御の字と考えるところであるが、リーグ3連覇のリヨンの目標は高い。後半に入って55分にジュニーニョがクロスバーに当たりながらも先制点をあげる。前回の本連載で紹介したサンテエチエンヌとのダービーで大活躍したこのブラジル人選手がイスタンブールでも得点をあげる。圧倒的な声援を敵にすると実力以上のパフォーマンスを残すタイプであろう。この1点でリヨンに火がつき、続く66分にもクリスが追加点。イスタンブールはこの2点ですっかり沈黙してしまったが、フェネルバフチェは68分に1点を返す。リヨンは1点差の勝利をよしとせず、3点目を狙う。そして試合終了直前にピエール・アラン・フローが3点目。フローは控え選手であり、途中出場であるが、このような控え選手が途中から出場して得点をあげるところはリヨンの底力を感じさせる。
第3節を終了した時点でグループAではモナコがオリンピアコス、リバプールを押さえて首位、そしてグループDでもリヨンがマンチェスター・ユナイテッドを押さえて首位と、フランスのクラブが前半戦を終了した段階で2つのグループで首位に立っているのである。(続く)