第432回 トーナメント戦に突入した欧州カップ (6) 6季ぶりのフランス勢対決はオセールが勝利
■過去に1度しかない欧州カップでのフランス勢対決
チャンピオンズリーグではフランス勢でリヨンがベスト8に進出したが、UEFAカップもベスト8決定戦にリールとオセールが進出している。この両チームはベスト8決定戦で対戦することになっており、どちらか1チームが準々決勝に進出する。日本の皆様にとっては大鵬-玉乃島戦以来の衝撃となったアジアカップウィナーズカップのベルマーレ平塚-横浜フリューゲルス戦という日本勢同士の戦いが印象的であろう。実は歴史の浅いインタートトカップでは2回、フランス勢同士の対戦(1995年のストラスブール-メッス戦、1997年のリヨン-モンペリエ戦)があるが、50年近い欧州カップの歴史の中では、フランス勢が対戦したことは日本同様、過去に1回しかない。
■モナコを下したマルセイユは決勝まで進む
その唯一のフランス勢同士の対戦は1998-99シーズンのUEFAカップでのことである。このベスト8決定戦でモナコとマルセイユが対決する。モナコ-マルセイユと言うゴールデンカードであるが、この両チームが国内リーグ戦以外でのビッグゲームで対戦するのは、1991年のフランスカップ決勝以来であった。この時は日本でも活躍したジェラルド・パッシが終了間際にゴールを決めてモナコが優勝しているが、実はこの翌年、すなわち1992年の決勝でも両雄はパルク・デ・プランスで雌雄を決するはずであったが、準決勝の「フリアニの悲劇」でフランスカップの決勝は開催されなかった。そのような因縁の戦いとなったが、モナコでの第1戦は2-2のドロー、マルセイユでの第2戦でマルセイユが1-0と競り勝ち、マルセイユは準々決勝に進出する。その後マルセイユは準々決勝でセルタ・ビゴ(スペイン)を下し、準決勝ではボローニャ(イタリア)を下し、モスクワでの決勝に進出し、パルマ(イタリア)に0-3と敗れている。
■リーグ開幕戦と逆の結果になったリール-オセール戦
そしてそれから6年、リールとオセールが対戦する。この両チームは今季のリーグ戦では開幕戦で対戦し、この際はホームチームのリールが2-0で勝利している。ちなみに開幕戦のカードと最終戦のカードは同じであり、5月28日の最終戦ではオセールで対戦することになっている。
このUEFAカップでの対戦もまずリールで対戦し、第2戦をオセールで戦うことになっている。インタートトカップから勝ちあがってきたリールはUEFAカップでは本拠地でこれまで4戦4勝、国内のリーグ戦の成績もオセールよりも上位であり、リールが優位かと思われた。しかし、前半のロスタイムにオセールのカンガ・アカレが奪ったゴールが両チーム通じて唯一の得点となり、アウエーのオセールが先勝する。
■欧州での経験豊富なオセールが準々決勝進出
そして第2戦は3月17日にオセールのアベ・デシャン競技場に舞台を移して行われた。点を取らないことには話しにならないリールは攻撃的、守りきれば8強進出となるオセールは守備的、と言う対照的なプレースタイルの試合となった。しかしながら、リールは得点をあげることができず、試合終盤には退場処分で1人を失うことになり、結局試合はスコアレスドローでオセールが史上2度目のフランス勢対決を制した。リーグ開幕当初はリヨンと首位争いをしていたリールであったが、このところ調子は下降気味であり、欧州カップのオセール戦で流れを変えることができなかった。そして名将ギー・ルー監督率いるオセールはこのところ欧州カップの常連であり、リールは欧州カップは久しぶりの出場であると言う経験の差もこの結果につながったのであろう。
この結果、準々決勝に進出したフランス勢は2チームである。チャンピオンズリーグではリヨンが4月6日と12日にPSVアイントホーヘン(オランダ)と対戦し、モナコの無念を晴らす。そしてUEFAカップではオセールが4月7日と14日にCSKAモスクワ(ロシア)と対戦し、パリサンジェルマンの敵を討つのである。(この項、終わり)