第440回 フランス勢の欧州の夢、今年も破れる

■第1戦の後、リーグ戦で元気のないリヨンとオセール

 欧州カップ準々決勝第1戦でチャンピオンズカップのリヨンはホームで引き分け、UEFAカップのオセールはアウエーで大敗と厳しい戦いになってしまったことは前々回の本連載で紹介したとおりである。
 その厳しい第1戦の翌週に第2戦が行われる。そしてこの2試合の間の週末にはリーグ戦が行われる。まず、火曜日に地元でPSVアイントホーヘンと引き分けてしまったリヨンは土曜日にナントに遠征し、主力メンバーをあえて外して戦う。リヨンのピエール・アラン・フローが先制点をあげ、一旦は逆転され、フローが同点ゴールを上げて引き分けると言う結果になり、リーグ戦の連勝が3でストップしてしまった。
 オセールはコルス島のアジャクシオに遠征、アジャクシオに終始先手を取られ、3-4と敗れる。リヨンもオセールもアウエーゲームとはいえ、ナントはリーグ戦15位、アジャクシオは17位であり、下位チーム相手に思ったような結果を残せず、明らかに調子を下している。一方、PSVアイントホーヘンもCSKAモスクワも週末の国内リーグ戦では快勝している。

■リヨンが先制、PSVアイントホーヘンが同点、120分間の戦いはドロー

 リヨンは昨年のチャンピオンズリーグも準々決勝で敗退しており、それをしのぐ成績を残すためにはアイントホーヘンでの勝利、あるいは2点以上得点して引き分けという成績が必要になる。リヨンはナント戦で2ゴールを上げたフローが練習中に負傷し、今季の試合出場は絶望となる。リヨンはフローを欠く以外はほぼベストメンバーでキックオフを迎える。
 一方のPSVアイントホーヘンは1988年以来の欧州の頂点を狙うが、その時の準決勝の相手はフランス勢のボルドーであった。またリヨン同様、週末のリーグ戦では主力を休ませたが、快勝して勝ち点を伸ばしており、カップ戦でも準決勝に進出している。
 攻撃力に勝るリヨンは10分にクロスのこぼれ球をシルバン・ビルトールが先制点、これでリヨンが優位に立つ。試合は激しい攻防となり、イエローカードも多発する中で前半は終了する。しかし、PSVアイントホーヘンは後半の序盤の50分にアレックスがボレーで同点弾、これで試合は全くのイーブンとなる。試合は一進一退が続き、延長戦に突入する。延長戦に入ってからリヨンは得点を決めたビルトールを下げて、ニウマールを投入する。このニウマールは縦横無尽に走り回り、100分に完全に抜け出したペナルティエリア内で倒される。しかしながら主審はペナルティスポットを指差さない。延長後半はPSVアイントホーヘンのペースとなるが120分間が終了する。

■チャンピオンズリーグの決勝以外で初めてのPK戦へ

 2試合とも同スコアであったためPK戦になるが、実はチャンピオンズリーグとなってから決勝戦以外では初めてのPK戦となった。PK戦では先攻のPSVアイントホーヘンは最初の3人が成功、一方のリヨンは2人目のミカエル・メシアンが失敗する。4人目はPSVアイントホーヘンのダマーカス・ビーズレーが失敗したが、リヨンもエリック・アビダルが失敗、そしてPSVアイントホーヘンは5人目のロベルトが決めて、準決勝に進出した。リヨンは判定に泣いたが、今季のチャンピオンズリーグでの敗戦はアウエーでのマンチェスター・ユナイテッド戦のみ、その爆発的な得点力は後世まで語り継がれるであろう。

■開始早々の先制点も奇跡の大逆転にはつながらず

 そして、1日おいた木曜日の14日、UEFAカップの準々決勝第2戦がオセールで行われた。オセールは第1戦で0-4とCSKAモスクワに大敗しているので5点差以上の勝利が必要となる。フランス勢最後の望みであり、誰しもが奇跡を願った。オセールは負傷者を多く抱えた苦しい陣容で奇跡のゴールラッシュにかける。オセールは開始早々の9分に早くもヤン・ラシュールが幸先よく先制点、ゴールラッシュの予感を抱かせる。しかし、その後、守りを固めたCSKAモスクワのゴールネットを揺らすことなく、時計の針は動き続ける。オセールはボナパンチュール・カルーが78分にPKを決めて2点目を取るのが精一杯。2-0と地元では面目を保ったが、合計スコアで及ばず、フランス勢の欧州への夢は今年も実現しなかったのである。(この項、終わり)

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