第463回 欧州目指すインタートトカップ(2) ランス、余裕の3回戦進出

■財政難のレフ・ポズナンと対戦するランス

 フランスからインタートトカップには前回の本連載で紹介したサンテエチエンヌ(前年度リーグ6位)以外にマルセイユ(5位)とランス(7位)も挑戦している。2回戦から参戦したランスはサンテエチエンヌが第1戦を行った翌日の7月3日にポーランドのレフ・ポズナンを地元フェリックス・ボラールに迎えた。前日にサンテエチエンヌのジェフロワ・ギシャールに集まった3万2000人には及ばなかったが、ランスでも2万5000人のファンを集客した。
 レフ・ポズナンはポーランドから、フランスまでの移動をバスで行うことからも解るとおり、財政面での厳しさを感じさせる。第2戦はその翌週末であるが、なんとレフ・ポズナンは第1戦後フランスにとどまり、6日に2部リーグのアミアンと練習試合を行ってからポーランドに戻るという日程である。

■模索段階のメンバーでも第1戦に先勝

 レフ・ポズナンにとってはこのインタートトカップは国外の相手とシーズン前の親善試合を行う機会と捉えているようである。そのような相手にランスは負けるわけにはいかない。しかしランスも練習を再開してから間もなく、主力メンバーの調整が間に合わないという準備不足であり、メンバーもサンテエチエンヌとは異なり、シーズン前の模索段階であった。しかし、レフ・ポズナンとの試合は前半の19分にブラジル人のジュシエ・フェレイラ・ビエイラが先制点、そして前半終了間際の44分にはジェローム・ルロワからのFKをDFのニコラ・ジレがヘディングで追加点を決めて、2-0で前半を折り返す。後半に入ってからのレフ・ポズナンの反撃を1点に抑える。ランスのミスは後半にミスから1点を失ったことと、後半のロスタイムにアルー・ディアラが退場となり、翌週の第2戦に出場できなくなったことである。

■昨季無敗の本拠地での試合の鍵を握るヤツェク・ボンク

 さて、第2戦はレフ・ポズナンの本拠地で行われるが、レフ・ポズナンは先述のとおりフランスにとどまり、アミアンと親善試合を行い、1-1のドローでフランス遠征を終える。このアミアン戦は当然ランスのスタッフも視察しており、ベストメンバーで臨む第2戦への準備も怠りない。
 そのレフ・ポズナンの本拠地、ミエジェスキ競技場であるが、昨シーズンのレフ・ポズナンの本拠地での戦績はなんと12勝1分と負けなしの成績である。この第2戦、レフ・ポズナンが1-0という最少得点で勝利すれば、ランスは早くも敗退となってしまう。そのランスのDF陣に頼もしい男が戦線に復帰した。ポーランド代表のヤツェク・ボンクである。すでにフランスリーグで11年目という大ベテランであるが、フランスリーグに来る前に所属していたチームがこのレフ・ポズナンであり、ポーランドのグラウンドもサッカーも熟知している。

■今季初先発の選手が大活躍し、劣勢の試合でも勝利

 その第2戦は7月10日の夕方、ジュネーブでのサンテエチエンヌの試合に遅れること30分、ポズナンのミエジェスキ競技場でキックオフ、ランスは第1戦とは大幅にメンバーを変えて必勝を期す。第2戦の先発メンバーのうち第1戦の先発メンバーでなかったのは先述のボンクを含む7人であった。試合は11分にジュシエが先制点、これでレフ・ポズナンは3点が必要となった。しかし、本拠地で負け知らずのレフ・ポズナンは一方的に試合を支配する。そして今季初先発となるメンバーが苦しい試合を救った。まず最大の貢献者はGKのシャルル・イタンジェである。何度か苦しい場面があったが、競り合いにことごとく勝った。またDFのボンクはフランス在住11年目ということで2週間前にフランス国籍を取得したばかりである。ボンクはフランス国籍を取得して初めての試合の相手がかつて自らが所属していたチームとなった。そのような中で安定した守備を披露し、相手を無失点に抑えた。
 そして後半に入り余裕の出たランスは再びシーズン開幕前の準備モードに戻る。66分にはベルギーのアンデルレヒトから移籍してきたコートジボワール代表のアルーナ・ダンダンをデビューさせ、得点こそなかったもののまずまずの動きを確認することができた。
 必死で戦ったサンテエチエンヌとは対照的にシーズン開幕前の調整を兼ねて戦ったランス、いずれも3回戦進出を決めたのである。(続く)

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