第494回 混戦から抜け出るか、古豪リール(2) 観客動員新記録、マンチェスター・ユナイテッドを圧倒

■マンチェスター・ユナイテッドが首位で折り返し

 チャンピオンズリーグのグループDはグループリーグの前半戦を終えた段階で1位マンチェスター・ユナイテッド(勝ち点5)、2位ベンフィカ(4)、3位ビジャレアル(3)、4位リールとなっている。マンチェスター・ユナイテッドが順当に折り返し点を迎えたかに見えたが、第4節で流れが変わった。その流れを変えたのが最下位にとどまっていたリールである。第4節はリールがスタッド・ド・フランスにマンチェスター・ユナイテッドを迎えた。

■スタッド・ド・フランスでの観客動員

 リールは前半戦を終わった段階で2分1敗、無得点という成績である。国内リーグの成績を見てみるならば、この段階でリーグ順位は6位であるが、得点数については13試合で18得点、トップのリヨン(23得点)に次ぐ成績であり、以下に相手が欧州の強豪とはいえ、3試合で無得点は不本意であろう。しかし、そのリールの初得点と初勝利を見ようと、大挙してファンが南下したのである。マンチェスターでの試合が終了した時点で4万3000枚販売されていた前売り券は試合の10月末の段階で6万2000枚が販売され、欧州カップでのフランスのチームのホームゲームの観客動員の新記録は確実となった。これまでの観客動員記録は2004年5月6日に行われたUEFAカップ準決勝のマルセイユ-ニューキャッスル(イングランド)戦の5万8897人である。10月末からスタッド・ド・フランスの周辺では暴動が始まっており、実際にチケットが販売されていても危険を考えて足を運ばないファンも少なくないのではないかという懸念はあったが、11月2日の夜、リールから大挙してファンが押し寄せ、6万6470人という入場者数は新記録となった。また、欧州カップだけではなく国内リーグを含めてもこれまでフランスのクラブチームの観客動員記録は今年8月14日にマルセイユがリヨン戦で記録した5万7609人である。
 ちなみにスタッド・ド・フランスでは2000年5月24日のチャンピオンズリーグ決勝レアル・マドリッド-バレンシア戦はスペイン勢対決となり、このときは7万9127人という観客を集めているが、実はそれを上回る観客動員が先月あったばかりである。それはラグビーのフランスリーグの試合であり、10月15日にスタッド・ド・フランスで行われたスタッド・フランセ-トゥールーズ戦では7万9502人という記録を残している。

■白いユニフォームの赤い悪魔を圧倒、初得点・初勝利

 この大観衆の前でリールは赤いユニフォームを着用、白いユニフォームの赤い悪魔マンチェスター・ユナイテッドを完全に圧倒した。オランダ代表エドウィン・バンデルサールの守るマンチェスター・ユナイテッドのゴールへ次々とシュートを放つ。39分にスロベニア代表のミレンコ・アシモビッチがチャンスをものにして先制点を決める。実に今季のチャンピオンズリーグが始まって309分目の初得点となったのである。リールはその後も攻撃の手を休めることなく、赤い悪魔マンチェスター・ユナイテッドを沈黙させる。リールはマンチェスター・ユナイテッドの3倍近くのシュートを放ち、完全に試合の主導権を握る。追加点を奪うことはできなかったが、1-0というスコアで初勝利をあげたのである。

■大混戦となり、終盤戦を迎えるグループD

 また、同日にリスボンで行われたベンフィカ-ビジャレアル戦はビジャレアルが1-0で勝利し、順位が大きく変動する。第4節終了時点で1位はビジャレアル(勝ち点6)、勝ち点5でリールとマンチェスター・ユナイテッドが並び、直接対決の結果でリールが2位、マンチェスター・ユナイテッドが3位となる。そしてホームゲームのイベリア対決を落としたベンフィカが勝ち点4で最下位に落ちた。
 すでに第4節を終了した時点でリヨンとレアル・マドリッド、バルセロナ(スペイン)、アーセナル(イングランド)が決勝トーナメント進出を決めており、逆に夢の破れたチームも少なくないが、グループDは首位と最下位の勝ち点差はわずかに2である。フランス代表が戦ったワールドカップ予選並みの大混戦となってグループリーグの終盤を迎えることになったのである。(続く)

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