第525回 欧州カップ決勝トーナメントへ(2) マルセイユ、ストラスブール、リールが16強に
■欧州カップで3度決勝に進出したマルセイユ
前回の本連載ではUEFAカップ決勝トーナメント第1戦でストラスブール、リールが勝利、モナコ、ランスが敗戦したことを紹介したが、忘れてはならないのがマルセイユである。リーグ戦では中位にとどまるものの、UEFAカップにおいて唯一の決勝進出を果たしているのがこのマルセイユであり、しかも1999年、2003年と2度決勝に進出している。歴史をさかのぼれば1993年のチャンピオンズリーグの決勝にも進出しており、これまでに3度の欧州カップ決勝進出はフランス・サッカー界で最多である。
そのマルセイユはイングランドのボルトンと対戦する。この組み合わせが決まった段階で中田浩二と中田英寿の日本人対決が実現するのではないかと期待した日本のファンの皆様も多かったようだが、中田浩二は戦力外としてバーゼルに移籍、中田英寿は累積警告で出場停止となり、日本人不在となったが、それでも両チームのボルテージは下がらない。
■イングランド勢を3たび倒したマルセイユ
イングランド勢を伝統的に苦手とするフランス勢であるが、近年のマルセイユはイングランド勢を得意としている。2003年に準優勝した際もベスト8決定戦に相当する4回戦でマルセイユはリバプールを倒し、準決勝でニューカッスルを下して決勝に進出している。さらに、リバプール戦もニューカッスル戦もアウエーで第1戦を戦っているが、リバプール戦はアンフィールドで1-1の引き分け、ベロドロームに戻ってきて2-1、ニューカッスル戦もセントジェームズパークで0-0の引き分け、ベロドロームで2-0の勝利といずれもアウエーの第1戦で引き分けてホームの第2戦で勝利するというホームアンドアウエーのお手本のような展開である。今回のボルトン戦も第1戦はアウエーのボルトンで行われる。
マルセイユは第1戦をスコアレスドローで乗り切り、2月23日にベロドロームに戻ってきた。マルセイユの勝利を期待して3万8000人の観衆が集まる。ところが25分、マルセイユのGKファビアン・バルテスがミスを犯し、ボルトンに先制点を与えてしまう。同点に追いつくだけではアウエーゴール2倍ルールで敗退することになってしまい、逆転勝利が必要である。さらにボルトンのベンチには第1戦でベンチ入りしていなかった中田英寿の姿もある。実は国内リーグでもマルセイユはホームの試合は2試合連続で引き分けに終わっており、年が明けてからベロドロームでの戦績は1勝3分である。あせるマルセイユのベンチとファン、前半も間もなく終了かというロスタイムにようやくフランク・リベリーがセンタリングから同点ゴールを決める。そして歴史は3たびマルセイユに微笑んだ。後半に入って69分、アビブ・ベイエのセンタリングがボルトンのタル・ベン・アイムに当たり、コースが変わってボルトンのゴールに飛び込んだ。マルセイユはベスト8決定戦へ進出したのである。
■ドローで勝ち抜いたリールとストラスブール
それ以外のフランス勢の第2戦はおおむね第1戦の結果を反映するものとなった。リールはウクライナのシャフタル・ドネツクとアウエーでの対戦となった。氷点下15度という厳寒の中で行われた試合であり、1点取られて負ければ敗退と言う条件であったが、リールはスコアレスドロー、ベスト16に勝ち残る。またアウエーで2-0と先勝したストラスブールもホームでスコアレスドロー、国内リーグでの苦戦振りとは打って変わった試合を見せる。
■ホームで力及ばなかったモナコとランス
一方、第1戦を落としたモナコとランスはホームゲームで挽回できなかった。第1戦を0-3と大敗したランスはウディネーゼ相手に大量得点を狙ったが、結局リヨンから移籍してきたばかりのピエール・アラン・フローの53分のゴールだけにとどまり、2試合合計1-3で敗退する。
また、モナコは1992年のカップウィナーズカップ、2003年のチャンピオンズリーグとマルセイユに次いで2回の欧州カップ決勝を経験しており、UEFAカップの決勝に進出すれば、フランス勢で唯一の3大カップでの決勝進出となる。スイスのバーゼルに0-1で敗れてはいるが、十分に逆転可能なスコアである。さらにバーゼルの新兵器・中田浩二はマルセイユで今季のUEFAカップに出場しているため、出場資格がない。モナコは前半にPKで先制したが、追加点が奪えず、56分には痛恨の同点ゴールを許し、夢は破れたのである。(続く)