第542回 リヨン、3年連続の準々決勝敗退(2) サンシーロでの逆転劇、フランス勢は姿を消す

■これまでミラノで2戦2勝のリヨン

 一方的にリヨンが試合を押し込みながらスコアレスドローとなったホームでの第1戦を受けて、リヨンはACミランと4月4日にミラノで戦うことになった。第1戦をスコアレスドローで終えてしまったチームが勝ち抜くことは、これまでの経験では約3割であり、不利は否めない。しかし、リヨンにとっては勝てばもちろん、引き分けでも点を取り合っての引き分けならばリヨンはクラブ史上最高の準決勝進出を決めることができる。前回の本連載ではリヨンがこれまでイタリア勢と相性がいいことを紹介してきたが、ミラノではこれまでに2戦2勝という成績を残している。2002-03シーズンのチャンピオンズリーグのグループリーグでインテルミラノを2-1と下しているだけではなく、1997-98シーズンのUEFAカップ2回戦でもリヨンはインテルに2-1の勝利を収めている。

■明暗が分かれた4月1日の国内リーグ戦

 また、第1戦と第2戦の間に行われた国内リーグでもリヨンとACミランは対照的な結果となった。リヨンは国内リーグでは独走態勢に入り、4月1日にはトロワに乗り込んだ。ミラノでのアウエーゲームのリハーサルと言うわけではないが、トロワがリヨンのゴールを襲うシーンがたびたび見られたが、代表の正GKを狙うグレゴリー・クーペが難なく守り、攻めては第2戦に出場停止となるティアゴがヘディングで決勝点をあげ、3位のリールとの勝ち点差を18に広げ、来季のチャンピオンズリーグへの出場権を早くも手に入れた。
 一方のACミランは国内リーグではユベントスを勝ち点8差で追う2位に位置している。4月1日の相手はリーグ戦19位のレッチェである。アウエーゲームとはいえ、成績不振のレッチェ相手にACミランはリヨン戦に出場したメンバーに休養を与えるため、大幅に選手を入れ替えた。決して油断していたわけではないだろうが、ACミランは2部降格が予想されるチームに0-1と敗れてしまい、首位ユベントスとの勝ち点差を広げられてしまったのである。

■先制を許すも直後に同点に追いつき優位に立ったリヨン

 直前の週末の国内リーグ戦で明暗が分かれた両チームは火曜の夜に準決勝進出をかけて戦った。ミラノのサンシーロ競技場の正式名称はジュゼッペ・メアッツァ競技場であるが、ACミランの主催ゲームの際はサンシーロ競技場と呼ばれる。ジュニーニョが復帰し、ティアゴが外れたリヨン、そしてACミランはFWに久しぶりにフィリッポ・インザーギを起用する。
 試合は一進一退の展開となったが、25分にACミランはカウンターアタックを見事に決め、クラレンス・セードルフのクロスをインザーギがゴールに頭で押し込む。リヨンは先制点を許してしまったが、決して動揺することはなかった。その6分後にはFKを左サイドで得る。キッカーはもちろんジュニーニョ、ジュニーニョの蹴ったボールはACミランのゴール前を混乱に落とし込む。混戦となったゴール前でリヨンのママドゥ・ディアラが頭で同点ゴール。アウエーゴール2倍ルールにより、これでリヨンが優位に立つ。同点に追いついた後もさらにリヨンは攻撃の手を休めず、ACミランのゴールを次々とリヨンのシュートが襲う。リヨンにとってミラノでの3回目の2-1というスコアは時間の問題かと思われた。

■88分に勝ち越しを許し、3年連続で壁を破れず

 スコアは動かず、このままでリヨンが準決勝進出かと思われた88分にリヨンは乗り越えられない壁に衝突する。ACミランの攻撃がロングボール頼みとなる中で、クリアミスをアンドレイ・シュフチェンコがシュート、さらにそのこぼれ球をインザーギがゴールに押し込んでACミランが勝ち越す。残り2分でリヨンも同点に追いつけば、準決勝に進出することができる。しかしリヨンは闘志を失い、ロスタイムに入った93分にシェフチェンコが3点目を入れ、2試合合計得点3-1でACミランは昨年に続き準決勝進出を果たし、リヨンは3年連続して準々決勝敗退となったのである。
 リヨンはこれまでに2度、ミラノで勝利したと冒頭で紹介したが、この相手はインテルミラノであった。3度目のミラノでの対戦の相手はACミランである。この夜、リヨンが戦ったのはジュゼッペ・メアッツァではなく、サンシーロであり、イタリアの地で初めて涙を流すことになったのである。そしてフランス勢は欧州の舞台から全て姿を消したのである。(この項、終わり)

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