第612回 2006-07チャンピオンズリーグ開幕(1) リール、3度目の本戦出場
■欧州カップに8チームが出場
9月初めには欧州選手権予選が開幕し、2連戦を終えたところで今度は欧州カップが本格化する。欧州カップはチャンピオンズリーグ、UEFAカップ、そしてUEFAカップの予備戦となるインタートトカップからなる。今季のフランス勢はチャンピオンズリーグには本選からリヨン(リーグ1位)とボルドー(リーグ2位)、予備戦からリール(リーグ3位)が出場する。UEFAカップについてはランス(リーグ4位)、ナンシー(リーグカップ優勝)、パリサンジェルマン(フランスカップ優勝)が出場、さらにインタートトカップにはマルセイユ(リーグ5位)、オセール(リーグ6位)が出場している。
■過去9年間の予備戦で6回勝フランス勢
チャンピオンズリーグの予備戦はワールドカップの決勝が行われた翌々日の7月11日に1回戦が行われている。フランス勢のリールは8月9日と8月23日に行われる3回戦からの参戦となり、勝利すれば、9月からの本戦に出場することができる。チャンピオンズリーグに予備戦が導入されたのは一国から複数のチームが出場できるようになった1997年の夏からである。これまでの9回のうちフランス勢は6回(1997年パリサンジェルマン、2000年リヨン、2001年リール、2002年オセール、2003年マルセイユ、2004年モナコ)本戦出場権を得ている。リール自身も2001年にパルマに勝利している。逆に1998年のメッス、1999年のリヨン、2005年のモナコは本戦出場を逃している。
■本拠地のシーズン初戦で完勝したリール
リールの予備戦でマケドニアのリーグチャンピオンであるラボチニツキと対戦した。第1戦はリールのホームでの対戦となる。リールはリーグ戦の第1節をアウエーで戦っており、この試合が公式戦で今季ホーム初登場となる。実質的なシーズンの開幕戦となったリール近郊のビルヌーブダスクのメトロポール競技場には1万人近くのファンが集まった。前半こそ無得点であったが、後半に入り60分に相手のオウンゴールで先制、70分にはPKを得て、これをミッシェル・バストスが決めて2点目、さらに72分にはカデル・ケイタのパスを受けたニコラ・フォゲルベが3点目をヘッドで決めて3-0と勝利する。
リールはこの勢いをリーグ戦に持ち込み、13日にホームで行われたランス戦で勝利し、首位に立つ。
■パリサンジェルマン戦の敗戦で奮起したリール
そして第3節はパリでパリサンジェルマンと対戦する。この試合、パリサンジェルマンには意地があった。チャンピオンズリーグに一国から複数チームの出場が認められるようになった1997年以降のフランス勢の本戦の出場回数を比較すると、リヨンは7回、モナコが4回、パリサンジェルマンが3回となっており、それに続くのが2回出場経験のあるリール、ボルドー、マルセイユ、ランスである。すでにボルドーは今季の出場権を得ているが、リールが今回出場権を得ると、パリサンジェルマンはボルドー、リールに並ばれることになる。リールをリーグ戦でたたいておきたいのがパリサンジェルマンという名門の意地である。パリサンジェルマンはリーグ開幕戦でリリアンに敗れ、第2節でもバランシエンヌにスコアレスドローと昇格してきたばかりのチームに苦戦している。しかし、3万5000人のファンの見守る中、パリサンジェルマンはパウレタのゴールでリールを下し、今季初勝利、リールは首位から転落したのである。
このパリサンジェルマン戦の敗北がチャンピオンズリーグ出場への意欲をさらに高めたことは事実である。奮起したリールはわずか3000人しか観衆が集まらなかったスコピエでの試合でもゴールを決め、1-0で勝利し、チャンピオンズリーグ本戦に3回目の出場を果たした。リールは過去5年間で3度の出場となり、準常連とも言える地位を築いたのである。(続く)