第617回 2006-07UEFAカップ本戦開幕
■UEFAカップ本戦への道
前回の本連載で紹介したとおり、フランス勢でインタートトカップに出場したマルセイユとオセールはいずれも勝ち抜いて、UEFAカップの予備戦に出場することになった。UEFAカップ予備戦は1回戦(7月13日と7月27日)が35試合行われ、これを勝ち抜いた35チーム、2回戦から参戦する16チーム、さらにインタートトカップを勝ちあがってきた11チームが2回戦(8月8日から10日と24日)を行う。この2回戦を勝ち抜いた31チームが晴れてUEFAカップ本戦への出場権を得る。
■本戦出場を決めたマルセイユとオセール
マルセイユは予備戦2回戦でスイスのヤング・ボーイズと対戦する。実はこの両チームは昨年のインタートト3回戦でもでも対戦しており、本連載第462回でも紹介している。この時はアウエーで第1戦が行われマルセイユが3-2と勝利し、ホームでの第2戦も2-1と逆転し連勝している。今年の対戦もまたベルンで第1戦、マルセイユで第2戦となった。今年も点の取り合いとなり、マルセイユが得点をあげるとすかさずヤング・ボーイズが追いつくという展開で、3-3のドローとなった。2週間後に行われた第2戦はマルセイユにとって外国のチームを本拠地に今季初めて迎える公式戦となった。試合はスコアレスドローとなるが、インタートトカップ3回戦に続き、アウエーゴール2倍ルールでマルセイユは本戦の1回戦に進出したのである。
もう1つのフランス勢のオセールはセルビア・モンテネグロのOFKベオグラードと対戦する。こちらもアウエーで第1戦となったが、オセールは先生のチャンスを逃し、逆に前半半ばに奪われた1点に追いつくことができず、0-1で敗れてオセールでの戦いに希望をつなぐ。オセールでの試合はまずオセールが先制したが、追いつかれる。前半終了間際に勝ち越したが、このスコアではアウエーゴール2倍ルールに泣くこととなる。そのオセールのファンを喜ばせたのは後半からピッチに入ったベルギー代表のルイジ・ピエローニであった。82分、86分、89分と立て続けにゴールを決めてハットトリックを達成し、オセールを本戦に導いたのである。
■勝利スタートのオセールとマルセイユ、ナンシーは惜敗
UEFAカップ1回戦はホームアンドアウエー方式で行われるが、9月14日に第1戦40試合が一斉に行われた。フランス勢はランスがアクナス(キプロス)、ナンシーがシャルケ04(ドイツ)、パリサンジェルマンがデリーシティ(アイルランド)、オセールがディナモ・ザグレブ(クロアチア)とアウエーで対戦、唯一マルセイユがホームでムラダー・ボレスラフ(チェコ)と対戦した。
この中で勝利をあげたのはインタートトカップと予備戦を経由してきたオセールとマルセイユだけであった。オセールは3万人のアウエーの観衆の前で先制点、いったんは追いつかれたものの、決勝点をあげて2-1で幸先のよい勝利となった。またマルセイユは31分にバモゴが先制点をあげる。後半にはフランク・リベリーも今季の国際試合に初登場となったが追加点は奪えず、1-0の最少得点で勝利した。
ナンシーはゲルゼンキルヘンのアウエーの大観衆の前で苦戦した。強豪シャルケ04がボールを支配するがナンシーは粘り強く守り抜く。しかし、残り4分となった86分にデンマーク代表のスーレン・ラーセンに決勝点を奪われ、0-1で敗れたが第2戦で十分逆転は可能である。
■不本意なドローに終わったランスとパリサンジェルマン
フランス勢で残念だったのは引き分けに終わった2チームである。ランスが対戦したアクナスはインタートトカップの1回戦から参戦して4つの相手に競り勝ってUEFAカップ本戦出場を決めたチームである。予想外の快進撃を続けてきたとはいえ、弱小国のチームであり、ホームゲームに集まった観衆はわずかに300人、ランスは攻め続けたが、得点をあげることはできず、スコアレスドローに終わってしまった。
またアイルランドで戦ったパリサンジェルマンも国内リーグの不振を引きずり、ふがいない戦いであった。パリから駆けつけたファンはアクナスの試合の観客数と同じ300人、試合はパリサンジェルマンが支配するがゴールを奪うことができず、スコアレスドロー。遠来のファンは不満をためて帰路に付くことになったのである。
ホーム1試合、アウエー4試合で2勝2分1敗と見た目は悪くない第1戦の結果であるが、真価が問われるのは9月28日の第2戦である。(この項、終わり)