第633回 中盤を迎えたチャンピオンズリーグ(3) 無得点のまま折り返したボルドー

■第1節で勝利のチャンスを逃したボルドー

 第3節を終了した時点で3連勝で無失点のリヨン、2位で折り返したリールに比べて、精彩を欠く戦いを余儀なくされたのが今回紹介するグループCのボルドーである。
 第1戦をガラタサライとアウエーでスコアレスドローで乗り切ったボルドーであるが、この試合にはトルコ・サッカー界史上に残る移籍となった稲本潤一が出場しておらず、ボルドーとしては絶好の勝利のチャンスを逃した。稲本が出場していれば負けを覚悟していたボルドーにとってこの引き分けのショックは尾を引くことになった。第1節のもう1つの試合のPSVアイントホーヘン(オランダ)とリバプール(イングランド)の試合もスコアレスドローになり、第2節以降で上位チームと下位チームの対戦がグループCの順位を決めることになってくる。

■ホームアンドアウエーの戦い方を熟知しているPSVアイントホーヘン

 その第2節、ボルドーはホームゲームでPSVアイントホーヘンを迎える。このところ毎年のようにフランスのクラブとチャンピオンズリーグで対戦している。昨季はリヨン、その前のシーズンはモナコならびにリヨンと対戦している。ちなみに、PSVアイントホーヘンは1987-88シーズンの欧州チャンピオンズカップの優勝チームであるが、その際、準々決勝でこのボルドーと対戦している。このときはボルドーで1-1、アイントホーヘンで0-0と2試合とも引き分けに終わったが、アウエーゴール2倍ルールでPSVアイントホーヘンが準決勝に進出している。準決勝はスペインのレアル・マドリッドと2試合引き分けでまたもアウエーゴール2倍ルールで決勝に進み、決勝ではポルトガルのベンフィカと0-0で延長になっても決着がつかず、PK戦で法利して欧州一となっている。準々決勝以降5試合連続で頂点に立つというケースは極めて珍しいが、ホームアンドアウエーの戦いを熟知しているといえよう。

■アウエーチームの試合運びに敗れたボルドー

 そのPSVアイントホーヘンはボルドーでアウエーゲームの見本のような試合運びをする。国内のリーグ戦でも中位とあって、観客はわずか2万2000人、しかしながら熱心なファンの大歓声に後押しされたボルドーが何度も得点のチャンスを得るが、PSVアイントホーヘンの守備陣はことごとくそのチャンスをつぶしていく。逆に後半に入った63分、コートジボワール代表として活躍したアルーナ・コネとミカ・バイリネンがワンツーを決めて、バイリネンがボルドーのGKウルリッヒ・ラメと1対1になる。これが欧州カップ50試合目となるボルドーの主将はシュートを止められず、先制点を許してしまう。先制点を決勝点とすることがアウエーチームの定石である。国内リーグは国土が狭いため、ホームとアウエーでの戦績に大きな差がないことで知られるオランダリーグであるが、欧州の場ではホームとアウエーをわきまえた戦いを今回も見せたのである。

■リバプール戦も完封負け、依然無得点のボルドー

 一方のボルドーは2試合終了して勝ち星がなく、第3戦で最大の強敵であるリバプールを地元に迎えることとなった。ワインで有名なボルドーであるが、ボルドーワインのよさを英国人が発見し、発展させたという。リバプールはイングランドの港町であるが、ボルドーとの対戦はこれが初めてである。そしてボルドーはイングランド勢を、リバプールはフランス勢を苦手としている。しかし、ボルドーのリカルド・ゴメス監督はパリサンジェルマンの選手、監督時代にリバプールを下しており、自信を持って初勝利を狙う。グループ首位のリバプールとの直接対決で勝利すれば、首位に立つ可能性もある。
 前半は両チーム無得点ながら、ホームチームのボルドーが押し気味に試合を進める。しかし、ボルドーは2週間前にオランダのチームを迎えたときと同じ過ちを犯してしまった。前半から長身のピーター・クラウチをターゲットにしてきたリバプールの攻撃がついに58分に功を奏した。クラウチのヘッドが決勝点となる。ボルドーは連敗を喫するとともに、無得点で前半戦を折り返すことになったのである。(続く)

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