第653回 UEFAカップ決勝トーナメントへの道(3) 最終戦敗戦ながら明暗の分かれたランスとオセール
■前半は好調だったランス
前回は初出場で決勝トーナメント進出を果たしたナンシーを紹介したが、それ以外のランス、オセール、パリサンジェルマンは近年の欧州カップの常連チームである。しかしこの常連チームが揃ってグループリーグでは苦戦した。
昨年はチャンピオンズリーグに参戦したランスは第1節は試合がなく、第2節からの参戦となった。11月2日にスペインのオサスナを迎えた試合はUEFAカップのグループリーグとはいえ、4万人の大観衆が集まった。ホームで勝つことが決勝トーナメント進出のための方程式であり、ランスはキックオフ直後から積極的に攻める。ランスは14分にアルーナが先制点、1点リードして折り返す。後半開始早々に追いつかれたが、73分にダニエル・クーザンがPKを成功させて勝ち越し、さらには終了間際にもラザック・ブカリが追加点を上げ、満員のフェリックス・ボラールは赤と黄色の波に揺れた。
続く第3節はデンマークのOBオデンスとアウエーで対戦、オデンスが先制し、このまま試合終了かという87分、イッサム・ジェマが起死回生の同点ゴールで貴重な勝ち点1を獲得したのである。
■後半2試合に連敗も得失点差で勝ったランス
そして1週間後は赤と黄色で燃えるホームでの勝利と決勝進出が視野に入ったはずであった。ところが、このランスもまたパリでのサポーター死傷事件の影響を受ける。相手はここまで2連勝のイタリアのパルマ。入場者数も第2節のオサスナ戦に比べれば少なく、競技場の盛り上がりも欠ける。しかしそれでもこのシリーズ好調なクーザンが20分に先制点をあげる。その後も長くランスのリードが続くが、パルマが執念を見せる。パルマにとって忘れられないのは本連載第649回で紹介しているとおり、2001年のチャンピオンズリーグのリールとの予備戦での敗戦である。同じフランス北東部のチーム相手にその雪辱を果たそうと気合は十分であり、77分に同点に追いつかれ、ロスタイムには勝ち越し点を奪われてしまったのである。グループHはパルマが勝ち点9で独走、ランス、OBオデンス、オサスナが勝ち点4で並ぶという乱戦となった。
まさかの敗戦となったランスの最終節はオランダのヘーレンフェーンとのアウエーでの対戦である。フェイエノールトが第4節でナンシーでトラブルを起こしたことからこの試合も厳重な警備のもとで行われた。ここまで1分2敗ながらフェイエノールトの敵を討とうとするヘーレンフェーンがすべてについて上回っていた。試合は1-0でヘーレンフェーンが勝利する。オサスナは最終戦でパルマに勝利し2位に入る。ランスとヘーレンフェーンはこの日試合のなかったOBオデンスと並んで勝ち点4となり、1チームだけが決勝トーナメントのチケットを獲得する。ランスはOBオデンスと引き分け、ヘーレンフェーンに敗れており、この3チーム間の直接対決の成績では最下位となる。しかし、UEFAカップの大会規定は直接対決の成績ではなく、グループリーグ全体の得失点差によって順位が決まるため、ランスは3位に入り、来年も欧州の舞台で戦うことになったのである。
■前半戦は調子の出なかったオセール
一方、グループAのオセールは第1節をアウエーで戦い、イスラエルのマカビー・ハイファ相手に1-3と敗れてスタートする。第2節は試合がなく、ホームの第3節はスコットランドのグラスゴー・レンジャースと連勝スタートを切った強豪との対戦であったが2たび先行しながら2回追いつかれてしまい、ドローに終わる。
■アウエーでの大勝も最終戦の敗戦で夢は消える
第4節はアウエーでの対戦である。セルビア・モンテネグロのパルチザン・ベオグラードと対戦するが、前節のホームでの引き分けに落胆することなく、開始早々に先制されながらも4連続ゴールを奪い、4-1と大勝して3位に浮上し、最終節を迎える。
最終戦はホームで行われるが、相手はイタリアのリボルノで、オセールとは勝ち点2差の4位である。すなわち、オセールは引き分け以上ならば3位をキープし決勝トーナメント進出となるが敗れれば4位以下に転落する。この大一番にオセールはホームの有利さを生かせなかった。試合開始から一方的に攻め続けるが得点を奪うことができない。後半に入って59分にクリスティアーノ・ルカレッリにヘッドでゴールを奪われる。オセールは惜しいチャンスが幾度もあったが同点に追いつくことができず、オセールはホームで1勝もできずに欧州の舞台から降りたのである。(続く)