第655回 チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦組み合わせ
読者の皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
■年明けからはトーナメント方式になる欧州カップ
欧州カップは年が変わればグループリーグから決勝トーナメントへと変わる。フランスからはチャンピオンズリーグにリヨンとリール、UEFAカップにボルドー、ナンシー、ランス、パリサンジェルマンと6チームが欧州の頂点を目指す決勝トーナメントに進出した。
ノックアウト方式、ホームアンドアウエー方式(決勝は除く)というのは欧州カップの本来あるべき姿であり、その組み合わせ抽選は12月15日にスイスのニヨンにあるUEFAの本部で開催された。
■グループリーグで消化試合をなくすための仕組み
この組み合わせ抽選については大会を盛り上げるために様々な規則が仕組まれている。まず、チャンピオンズリーグは8つのグループリーグを勝ち抜いた16チームで争われるが、決勝トーナメント1回戦はグループリーグで1位のチームと2位のチームが対戦する。さらにグループリーグで1位のチームは第2戦をホームで戦うことになる。延長戦、PK戦の可能性もある第2戦をホームで戦うことができるのである。このようにグループリーグで1位になるのと2位にとどまるのでは決勝トーナメント第1戦で大きく条件が異なる。
したがって、グループリーグで決勝トーナメント進出に満足することなく1位になることを目指す。そして2位までに入ることができなくても3位になればUEFAカップへの出場権を得ることができる。グループリーグの途中でモチベーションを失うチームが出ないようにするためである。グループリーグの最終戦を迎える段階で決勝トーナメント進出を決めていたチームは9チームであるが、そのうち順位まで決まっていたチームは6チームである。1位から4位までの順位がすでに決定していたグループはリヨンの所属していたグループEとボルドーの所属していたグループBだけである。さらに、グループBとグループE以外の6グループの全12試合は順位に影響があり、熱戦が繰り広げられたのである。
そして現在のチャンピオンズリーグには同一国から複数のチームが決勝トーナメントに進出する可能性があるが、決勝トーナメント1回戦では同一国のチームが対戦しないように組み合わせが行われる。さらに同じグループリーグで対戦したチーム同士も対戦しないようになっている。
■リヨンは強敵を回避し、ASローマと対戦
グループEで1位となったリヨンにとって想定される相手はグループリーグで2位になったチームで、グループEのレアル・マドリッド(スペイン)と同一リーグのリールを除くバルセロナ(スペイン)、インテル・ミラノ(イタリア)、PSVアイントホーヘン(オランダ)、ASローマ(イタリア)、セルチック・グラスゴー(スコットランド)、ポルト(ポルトガル)の6チーム。この中でリヨンはASローマと対戦することになった。初顔合わせとなるが、バルセロナやインテル・ミラノという力のあるチームとの対戦を回避し、まずまずのドローであろう。
■リールはマンチェスター・ユナイテッドと3回目の対戦
グループHで2位となったリールの可能性のある対戦相手は、同グループのインテル・ミラノ、フランスリーグのリヨン以外のグループリーグ首位のチームであり、チェルシー、リバプール、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナルと言うイングランドの4チーム、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、バレンシア(スペイン)と実績のあるチームが並んでいる。今回が初めての決勝トーナメント進出というリールにとってはいずれも重い相手である。
リールはこの中でマンチェスター・ユナイテッドと対戦することになった。リールとマンチェスター・ユナイテッドの対戦は2001-02シーズンと2005-06シーズンのグループリーグに続く3回目である。昨季は本連載第493回と第494回で紹介したとおり、リールがアウエーで引き分け、ホームで勝利している。リールとマンチェスター・ユナイテッドは勝ち点で並んだが、直接対決の成績でリールが上回り、マンチェスター・ユナイテッドは欧州の舞台から去っている。プレミアリーグで首位を走るマンチェスター・ユナイテッドに挑戦する若いリールの成長ぶりが楽しみである。(この項、終わり)