第687回 UEFAカップ決勝トーナメント1回戦(2) ギリシャ勢を破ったランスとパリサンジェルマン

■控えメンバー中心で勝利したアテネでの戦い

 前回の本連載ではUEFAカップ決勝トーナメントでのナンシーとボルドーの敗退を紹介したが、今回は残るフランス勢のパリサンジェルマンとランスについて紹介した。
 パリサンジェルマンもランスもギリシャ勢との対戦である。パリサンジェルマンは、欧州カップを獲得したことのある唯一のフランスのチームだが、2部降格の危機にある。ポール・ルグアン監督は国内リーグ重視路線を打ち出し、得意とするフランスカップでも本連載第685回で紹介したとおり、準々決勝でソショーに敗れている。
 パリサンジェルマンはこのUEFAカップ1回戦ではギリシャのAEKアテネと対戦するが、2月14日のアウエーでの第1戦、ルグアン監督は控えメンバー中心で戦うことを発表する。AEKアテネ戦の3日前と3日後には国内リーグの試合が控えており、12日間に6試合行うスケジュールであり、欧州カップしかもアウエーでの試合ではメンバー落ちはやむを得ない措置であろう。アテネ行きのメンバーの中には大量のリザーブのメンバーが含まれ、中にはまだプロとして試合に出場したことのない17歳のママドゥー・サコもいた。4万人のAEKアテネのファンで埋まったオリンピック・スタジアムの試合で、ルグアン監督は守備的な布陣で臨み、サコを左サイドバックとして先発メンバーに起用した。望みは薄いかと思われたが、通常は試合に出場していない若いメンバーが大活躍する。その筆頭はCBのサミー・トラオレであった。ルグアン監督が就任して以来一度も試合に出場していないトラオレは1月ぶりの試合出場である。そのトラオレは前半終了間際にCKからヘッドで先制点を決める。後半も終了間際にベルナール・メンデイが追加点を上げる。プロデビューのサコも無難に守り、AEKアテネ相手に無失点で押さえる。パリサンジェルマンは今季のUEFAカップで国外初勝利、国内に目を転じてもアウエーでの勝利は昨年9月以来のことである。

■3年前の勢いを取り戻したパリサンジェルマン

 控えメンバー中心でアウエーで勝利したパリサンジェルマンはホームに戻ってきた2月22日の第2戦も順調な試合運びをする。ホームで主力選手をずらりと並べたパリサンジェルマンは久しぶりにパリジャンを歓喜させた。前半終了間際にフロー、後半終了間際にPKでメンディが得点を上げ、この試合も2-0で勝利し、ベスト16進出を決める。そしてパリサンジェルマンはリーグ戦と通算すると4連勝となる。パリサンジェルマンの4連勝は2004年2月以来3年ぶりのことである。このシーズンはパリサンジェルマンは過去10年間で最高の2位に入っている。このUEFAカップの連勝でパリサンジェルマンはようやく目を覚ましたようである。

■ホームの第1戦で2点差で勝利したランス

 そしてランスの相手はパナシナイコスである。ランスはグループリーグで3位通過であったために、第2戦をアウエーで戦わなくてはならない。第2戦はアウエーで行われるため、第1戦で安全圏となる得点差で勝利することが望まれる。第1戦は血と黄金と言うニックネームのとおり、赤と黄色に染まったランスの本拠地フェリックス・ボラール競技場で2月15日に行われた。この本拠地での試合、12月に張り替えた芝生がうまく根付いておらず、グラウンドコンディションの悪い中で行われた。前半はこれといった見せ場もなく、両チーム無得点で45分が終わる。
 しかし、後半になって試合は動いた。ランスが攻勢に出て、50分にイッサム・ジェマが先制点をあげる。対するパナシナイコスも66分に同点に追いつく。71分にジェマが再びゴールを上げて勝ち越す。しかしパナシナイコスも同点のチャンスを何度もつかむ。アウエーでの第2戦を考えると次の1点が重要な意味を持つ。ロスタイムに入った91分、アルーナがパネルティエリアの中で倒される。倒されたアルーナ自身がPKを成功させ、2点差でアテネでの第2戦に臨むことになったのである。

■敵地の大観衆に負けず冷静な試合運びでランス16強入り

 第2戦は2月22日にオリンピック・スタジアムで行われた。ちょうど1週間前にパリサンジェルマンを迎えたスタジアムである。この日も4万人の観衆が集まったが、フランス勢相手にため息をつくことになる。この試合、2点差で負けなければいいランスは敵地での大観衆の声援に負けず、冷静な試合運びをし、スコアレスドローでランスは8強入りしたのである。
 ベスト8決定戦でパリサンジェルマンはベンフィカ(ポルトガル)、ランスはレバークーゼン(ドイツ)と対戦するのである。(この項、終わり)

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