第689回 チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦(2) リール連敗で1回戦敗退
■今季はランスでホームゲームを行うリール
マンチェスター・ユナイテッドを迎え撃つリールは本拠地の競技場が改装中であるため、昨季に続きリールで試合を行うことができない。昨季はスタッド・ド・フランスを使用したが、今季はランスの本拠地であるフェリックス・ボラールでホームゲームを行う。リールの新競技場建設の目途は立っていない。現在リーグ戦では首位リヨン、2位ランス、3位リールであることから、来年もランスとリールが欧州カップでこのフェリックス・ボラールを共用することが予想される。さらに秋にはラグビーのワールドカップもフェリックス・ボラールで行われることから過密スケジュールになることは必至である。リールはこの間借りしたランスでのチャンピオンズリーグでは1勝2分無敗を誇り、相性のいい競技場である。
■エースのカデル・ケイタ不在のリール、ホームで惜敗
リールが迎え撃つマンチェスター・ユナイテッドはプレミアリーグで目下首位である。2月になって勝ち星のリールに比べると、チームの勢いはマンチェスター・ユナイテッドにあるが、このところ赤い悪魔は国外ではよい成績を残していない。リールは昨季の再現を狙いたいところである。
リールはカデル・ケイタを累積警告による出場停止で欠く以外はベストの布陣であり、積極的に攻める。一方のマンチェスター・ユナイテッドもアウエーゲームとは思えない攻撃的な試合運びとなり、好ゲームとなる。両チームなかなか得点をあげることができなかったが、62分にリールが4万観衆を歓喜させる。ピーター・オデウィンギーのヘディングシュートがゴールネットを揺らしたが、主審の判定はファウルがあったということでノーゴールとなった。そして83分にマンチェスター・ユナイテッドのライアン・ギグスがFKのチャンスを得る。このFKをギグスが決めて決勝点となり、リールはホームでの第1戦で勝ち点をあげることができなかったのである。
■ケイタ復活で直前のリーグ戦で大勝
第1戦を落としたリールはその直後に行われたリーグ戦でもニースに敗れ、2月は1分4敗と散々な成績であった。そして、3月に入って最初の週末に行われたのがトロワ戦である。この試合をリールは4-0と大勝し、1月27日以来の勝利を飾ったのである。この大勝はマンチェスター・ユナイテッドとの第1戦を負傷のため欠場したケイタの2得点によるところが大きい。アウエーゲームとはいえ、リールにはケイタが復活してきた。一方のマンチェスター・ユナイテッドはフランス代表のルイ・サアを欠く陣容である。昨季のマンチェスター・ユナイテッドとの戦い、昨年暮れのACミランとの戦いの再現を期待するリールのファンは少なくないはずである。
■ルイ・サアの代役ヘンリック・ラーション、有終の美を飾る
しかし、オールドトラフォードでの戦いはマンチェスター・ユナイテッドが一方的に攻める展開となった。その攻撃の中心となったのがサアの代役のヘンリック・ラーションである。スウェーデン代表として数多くの国際試合で活躍してきたラーションは35歳、昨季はバルセロナの一員としてチャンピオンズリーグの決勝戦にも出場している。マンチェスター・ユナイテッドに3月間のレンタル中であり、スウェーデンのヘルシンボリに戻ることになる。サアの負傷のため、マンチェスターでの最後の試合となった。マンチェスター・ユナイテッドが攻めるが、リールもよく守り、両チーム無得点が続く。リールは1点取ればアウエーとはいえ、試合を振り出しに戻すことができる。逆にマンチェスター・ユナイテッドがゴールをあげれば決定的な得点となる。そして72分にラーションがヘディングでゴールネットを揺らし、有終の美を飾る。リールには同点、そして逆転をする力は残っていなかった。リールは第1戦に続き、0-1で連敗してしまい、ベスト8進出はならなかったのである。(続く)