第754回 予備戦を戦ったトゥールーズとランスはUEFAカップ本戦へ
■欧州カップの予備戦を戦ったトゥールーズとランス
前回までの本連載では9月から本格化する欧州選手権予選に向けて代表チームがスロバキアと親善試合を行ったことを紹介したが、クラブレベルで行われる欧州カップは、9月からの本戦に向けて、7月、8月と予備戦が行われた。欧州カップはチャンピオンズリーグ、UEFAカップの2つがあるが、チャンピオンズリーグについては昨季リーグ3位のトゥールーズ、UEFAカップについてはインタートトカップを勝ち抜いたランスが予備戦を戦うことになる。
■強豪リバプールと対戦したトゥールーズ
一足先に予備戦を戦ったのがチャンピオンズリーグに挑戦するトゥールーズである。古豪トゥールーズは実に20年ぶりの欧州カップ出場、そしてこの予備戦で勝利すれば初めてのチャンピオンズリーグへの出場となる。
そのトゥールーズの予備戦の相手はイングランドのリバプールである。2005年にはチャンピオンズリーグで優勝し、欧州カップ通算優勝5回と言う強豪チームであり、昨季はトゥールーズ同様リーグ3位として予備戦からの欧州の頂点へのチャレンジとなった。
トゥールーズは昨季3位になったが、その前年は17位であり、過去10年間で最高の成績は14位、久しぶりの一桁順位である。多くの選手はチャンピオンズリーグ初出場となるが、監督のエリー・ボーはボルドーの監督時代に出場経験がある。そしてリバプールの監督は名将ラファエル・ベニテス、実績も選手も監督も全てにおいてリバプールのほうが数段上という状況で第1戦を迎えた。
■格の違いを見せ付けられ、トゥールーズ連敗
第1戦はホームのトゥールーズ市営競技場に満員の観客を集めて行われた。国民の祝日に当たる8月15日ということもあり、キックオフは夕方の16時30分、非常に暑い気候の中でキックオフされた。リバプールが手堅い試合運びで前半終了間際の44分に上げた虎の子の1点を守りきり、トゥールーズはホームでの試合を落としてしまう。
第2戦は28日にリバプールの本拠地アンフィールドで行われた。2点以上得点をあげて勝利すれば逆転するトゥールーズであったが、19分に葉奪われたボールをゴールに持ち込まれ、先制点を許す。後半に入っても49分に追加点を奪われる。トゥールーズは逆転を狙うが、87分と90分にも失点を喫す。真紅のスタジアムは「You'll never walk alone」の大合唱となる。結局、0-4と言うスコアでトゥールーズは敗れ、2試合の合計スコアは0-5と完敗、レベルの違いを見せ付けられ、UEFAカップに転戦することになったのである。
■ジャン・ピエール・パパン新監督の現役時代を思い出させるゴールラッシュ
そして、ランスはUEFAカップの予備戦の2回戦からの登場である。この予備戦2回戦で勝利すれば本戦に出場できる。一方、敗れれば、欧州の舞台から降りなくてはならない。ランスの相手はスイスのヤングボーイズである。首都ベルンのチームであるが国内タイトルから遠ざかって20年経つ。トゥールーズがホームで惜敗した翌日の16日に来年の欧州選手権のメインスタジアムとなるスタッド・ド・スイスに乗り込んだ。試合は両チーム無得点が続き、終盤の70分にヤングボーイズがゴールを上げる。連日の最少得点での敗戦かと思われたが、72分にオリビエ・モンテルビオが値千金の同点ゴールを上げて、大きな希望を持って2週間後のホームでの戦いに臨むこととなったのである。
木曜日の30日にフェリックス・ボラールで第2戦が行われた。この試合の前に大きな動きがあった。それはランスの監督がギ・ルーからジャン・ピエール・パパンに代わったことである。名将から名ストライカーへ監督が代わり、パパンに取って初采配がUEFAカップ本戦のかかる試合となった。試合はフランスのファンにとってパパン新監督の現役時代を思い出させる展開となった。13分にアルーナが先制ゴール、16分にはカンガ・アカルが追加点。後半に入るとアルーナがこの日2得点目で3-0とリードを広げ、エリック・カリエールが4点目、そして終了間際にはシモン・フェインドゥーノがゴールネットを揺らし、5-0と大勝する。パパンが現役だったころ、チャンピオンズカップでルクセンブルグのウニオン・ルクセンブルグに5-0と連勝した黄金時代のマルセイユを思い出したフランスのファンも少なくなかったであろう。
予備戦で敗れたトゥールーズも勝ったランスもそろってUEFAカップの本戦に出場し、フランス勢はUEFAカップ本戦に5チーム出場となったのである。(この項、終わり)