第799回 レンヌの奇跡は起こらず、グループリーグで敗退
読者の皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
■3点差の勝利で奇跡が起こるレンヌ
欧州のサッカーシーンの折り返し点となる年末年始、欧州カップは年明けからが決勝トーナメントとなる。チャンピオンズリーグのグループリーグについてはリヨンがチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出し、グループリーグ3位に終わったマルセイユがUEFAカップの決勝トーナメントに回ったことを本連載で紹介した。一方のUEFAカップのグループリーグについては第4節までの戦いぶりを紹介し、ボルドーが第4節で決勝トーナメント進出を決め、トゥールーズは第3節で敗退、レンヌがかすかな望みを最終節につないだことを紹介した。
フランス勢としてリヨン、マルセイユ、ボルドーに次ぐ、4番目の決勝トーナメント進出チームとなるべく、レンヌは12月20日の最終戦に臨んだ。グループDの最終戦は1位のハンブルガーSV(ドイツ)と2位のバーゼル(スイス)、そして4位のディナモ・ザグレブ(クロアチア)と5位のレンヌと言う組み合わせである。ハンブルガーSVとバーゼルはすでに決勝トーナメント進出を決めており、ディナモ・ザグレブとレンヌはともに勝ち点1、そして3位のブラン・ベルゲン(ノルウェー)は全日程を終えて、勝ち点4である。したがってディナモ・ザグレブとレンヌの勝者はブラン・ベルゲンと勝ち点で並び、得失点差で決勝トーナメントに進出できる3位の座を争うことになる。ちなみに、この段階での得失点差はブラン・ベルゲンが-1、ディナモ・ザグレブが-3、レンヌが-4である。レンヌはディナモ・ザグレブに3点差で勝利すれば、総合得失点差でブラン・ベルゲンに並び、総得点で上回ることから32強に残ることができる。一方のディナモ・ザグレブは2点差の勝利で決勝トーナメント進出となる。
■ディナモ・ザグレブ相手に苦戦するレンヌ
レンヌはこの最終戦をホームで迎えることができる。これはここまで苦戦を続けてきたレンヌにとって大きなアドバンテージである。また、相手のディナモ・ザグレブはクロアチアリーグで首位を独走しているが、クロアチアリーグは長期間の冬休みに入り、コンディションは万全ではない。しかし、レンヌはなかなかディナモ・ザグレブのゴールネットを揺らすことができず、前半の35分過ぎには連続してCKを与え、守勢となって、前半を終える。引き分けに終われば両チームとも欧州の舞台から下りることになり、後半は是非とも得点が必要である。そして55分にレンヌのホーム、ルート・ド・ロリアン競技場は沈黙した。ディナモ・ザグレブが先制点、これでディナモ・ザグレブはあと1点で決勝トーナメント、そしてレンヌは4点が必要となった。
■遅すぎた同点ゴール、グループリーグで勝ち星なし
レンヌは先発のシルバン・ビルトールをベンチに下げる。ビルトールは今季初めまで王者リヨンに所属、そのリヨンを見返すためにもUEFAカップで活躍したいところであったが、ベンチへの足取りからは無念の表情がつかみ取れる。そして83分、レンヌにチャンスが訪れた。ミカエル・パジスへのペナルティエリア内でのファウルに対し、主審がペナルティスポットを指差す。ところがこのPKをシェイルーが外してしまう。これでレンヌの奇跡への希望は途絶えた。88分にようやくステファン・エムビアが同点ゴールを決めて、ホームでの敗戦は免れたものの、通算成績は2分2敗で最下位を脱出することはできず、決勝トーナメント進出を果たすことはできなかったのである。
■ボルドー以外は最下位に終わったフランス勢
レンヌ以外にUEFAカップに出場したフランス勢の最終成績は、ボルドーが4戦4勝で首位突破したが、トゥールーズは最終戦で初勝利をあげたものの最下位に終わり、3チーム中2チームが最下位に終わった。欧州の5大リーグからUEFAカップのグループリーグには13チーム(イングランド2、イタリア1、スペイン3、ドイツ4、フランス3)が出場したが、グループリーグで敗退したのはフランスのレンヌとトゥールーズだけである。なお、フランス勢の名誉のために付け加えると、グループリーグで4戦4勝を果たしたのはグループAのエバートン(イングランド)だけである。
この結果、フランス勢で年明けからの欧州カップの決勝トーナメントを戦うのはリヨン(チャンピオンズリーグ)、マルセイユ、ボルドー(以上UEFAカップ)の3チームだけとなり、さびしい新年を迎えることになったのである。(この項、終わり)