第873回 レンヌ、インタートトを勝ち抜き、UEFAカップに出場

■シーズン開幕前に行われるインタートト

 今年は偶数年ということでシーズンオフに欧州選手権が開催されたが、8月になればまた長いシーズンが始まる。そして、そのシーズン開幕前に行われる数少ない公式戦が欧州レベルではインタートト、そして国内では前年度のリーグ戦の覇者とフランスカップの勝者が争うチャンピオンズトロフィーの2つである。
 このうちインタートトカップはUEFAカップの予選としての地位を確立した。しかし、実際にはインタートトカップに出場するチームはシーズンオフが短くなり、チーム状態が万全でない段階で情報も少ない外国のチームと戦わなくてはならない。したがって、可能であるならば、リーグ戦での順位を少しでも上げてUEFAカップへの出場権を直接得たいと思うはずである。
 今年のインタートトカップに出場するのは昨季リーグ6位だったレンヌである。レンヌは最終節を迎える段階で7位であり、最終節を迎える段階で5位のリールが敗れたが、レンヌと同勝ち点で並んでいた6位のサンテエチエンヌも勝利したために、得失点差で涙を飲み、6位にとどまり、インタートトからの欧州挑戦となった。
 フランスから出場するレンヌはインタートト3回戦からの参戦となる。ホームアンドアウエー方式で行われるこの戦いで勝利すれば、UEFAカップへの出場権を得ることになる。

■ウクライナリーグの初代チャンピオンと対戦

 インタートト自体は6月21日に開幕し、6月21日および22日に1回戦の第1戦、28日および29日に第2戦、そして2回戦の第1戦は7月5日および6日、第2戦は12日および13日に行われ、勝てばUEFAカップ出場となる3回戦は7月19日および20日に第1戦、26日および27日に第2戦が行われる。このインタートトに出場するチームは中小規模のチームも少なくないため、参加クラブを南部(地中海)、中西部、北部の3つに分け、移動距離が少なくなるように工夫され、レンヌは中西部のブロックに入った。
 レンヌの相手はウクライナのタブリア・シンフェロポリ、クリミアのシンフェロポリにあるチームであり、ソ連が解体して生まれたウクライナリーグの初代チャンピオンである。昨季はリーグ5位となりインタートトカップの2回戦から参戦、モルドバのティラスポールを破ってUEFAカップ出場を狙う。

■第1戦、第2戦ともホームチームが1-0で勝利

 第1戦は7月20日、レンヌの本拠地、ロリアン通り競技場で行われる。レンヌはインタートトにこれが4回目の挑戦となる。フランス勢としてオセールと並ぶインタートト最多出場記録を持っているが、オセールが4回の出場のうち2回UEFAカップ出場を果たしているが、レンヌはこれまでの3回の挑戦はいずれも敗退している。地元での第1戦はこれまでのレンヌの苦戦振りを象徴するような戦いとなった。なかなか得点を奪うことができず、ようやく後半のロスタイムに入り、ロッド・ファンニがヘディングで勝ち越し点を奪い、先勝する。
 1週間後にウクライナに乗り込んだレンヌであるが、やはりホームでの1点差の勝利は心もとない。前半は無得点に押さえたが、後半の71分にゴールを許してしまう。これで両チームイーブンとなり、規定の90分を終えてもスコアは変わらず、延長戦に突入する。延長戦でも両チーム得点なく、第1戦とあわせて210分戦って1-1のタイスコア、PK戦でUEFAカップ出場を争うことになった。

■二巡目に突入したPK戦を制したレンヌ

 レンヌが先蹴となり、レンヌのジェローム・ルロワ、タブリア・シンフェロポリのイリア・ゴリウザの成功でPK戦が始まる。タブリア・シンフェロポリの5人目が成功すればタブリア・シンフェロポリの勝利と言うところであったが、失敗し、両チーム5人ずつが蹴ったところで3-3のタイスコア、PK戦も延長戦となる。そして6人目から10人目まで両チーム全員成功、11人目のキッカーとして両チームともGKが登場した。まずレンヌのニコラ・ドゥーシェが成功、そしてタブリア・シンフェロポリのGKも成功し、11人終わったところで両チーム9人が成功し、二巡目に突入する。レンヌのルロワは二巡目も成功する。しかし、タブリア・シンフェロポリのトップのゴリウザは失敗し、長い戦いに終止符が打たれ、レンヌは4回目の挑戦でUEFAカップの出場権を獲得したのである。(この項、終わり)

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