第894回 2008-09 欧州カップ本戦開幕(5) UEFAカップは4チームとも白星スタート

■サンテエチエンヌ、26年ぶりの欧州カップの初戦を飾る

 9月16日に開幕した欧州カップはまずチャンピオンズリーグから始まり、初日にボルドーとマルセイユが第1シードのイングランド勢に敗れたのは仕方がないが、2日目に登場した第1シードのリヨンがホームで第4シードのフィオレンチナ(イタリア)と引き分けてしまったのは、フランスのサッカーファンにとっては不満の残る結果となった。
 そして欧州カップの3日目にあたる9月18日にはUEFAカップの1回戦と言うことでフランスからはパリサンジェルマン、ナンシー、サンテエチエンヌ、レンヌの4チームが登場し、それぞれ違う時間にキックオフされた。この中で最初に登場したのはイスラエルのテルアビブで試合を行うサンテエチエンヌである。昨季リーグ5位になり、26年ぶりの欧州カップ戦への出場となったサンテエチエンヌであるが、今季のリーグ戦では出だしから不調で、1勝4敗の18位と言う成績でUEFAカップの開幕を迎える。ハポエル・テルアビブは、昨季はリーグ7位であり、国内カップ戦も準優勝であったが、ベイタル・エルサレムが国内リーグと国内カップの二冠を獲得したために、国内カップ準優勝チームとしてUEFAカップ出場のチャンスをつかみ、予備戦2回戦を勝ち抜いて本戦に進出した。本連載の読者の皆様ならばよくご存知の通り、2シーズン前のUEFAカップでパリサンジェルマンと対戦し、試合後にファンが亡くなるという悲しい事件が起こり、フランス勢との戦いには複雑な思いがあるはずである。
 試合はサンテエチエンヌが国内リーグでの不振を忘れさせるような見事な動きを見せる。7分にディミトリ・ペペが先制点をあげ、60分にはパスカル・フェインドゥーノが追加点を上げる。終了間際に1点を返されて、2-1というスコアになったが、欧州カップの本戦でフランス勢初勝利を上げたのは古豪の緑の軍団であった。

■パリサンジェルマン、ロスタイムに勝ち越し点

 サンテエチエンヌとともにアウエーで戦ったのが2年前のハポエル・テルアビブ戦で事件を起こしたパリサンジェルマンである。リーグカップの優勝チームということで出場権を得たが、そのリーグカップの決勝でも横断幕事件を起こしている。トルコのカイセリでカイセリスポルと対戦したパリサンジェルマンはリーグ開幕戦のモナコ戦こそ落としたものの、大型補強が功を奏し、その後持ち直してリーグ3位を走る。トルコリーグで3年連続5位のカイセルスポル相手にパリサンジェルマンは好調な立ち上がりを見せ、5分には新加入のセルビア代表マテジャ・ケズマンが先制点を決める。その後両者得点なく、このままかと思われたが、終了間際の88分、FKをパリサンジェルマンのGKミカエル・ランドローがパンチングした球を2003年のキリンカップで訪日しており日本の皆様もよくご存知のデリオ・トレドがゴールしてカイセリスポルが同点に追いつく。しかし、ロスタイムに入って91分、ランドローからのキックをつなぎ、ペギー・リュインデュラがゴール前まで持ち込んで、決勝点をあげる。パリサンジェルマンは敵地で得点を重ねて先勝したのである。

■ナンシー、ホームで逃げ切る

 ホームで第1戦を迎えるのがナンシーとレンヌである。ナンシーはスコットランドのマザーウェルとの対戦となった。昨季スコットランドリーグ3位のマザーウェルであるが、昨年12月29日のダンディー戦でフィル・オドネルを失うと言う悲しいシーズンであった。ここまでリーグ戦1勝3分1敗という成績のナンシーであるが、クラブ史上3回目の欧州カップ出場である。今季初めての国際試合でナンシーは42分にパスカル・ベラングーが前半終了間際の42分に上げたゴールを守り抜き、1-0と言う最少得点で逃げ切り、スコットランドでの第2戦を迎えるのである。

■国際試合5試合目のレンヌ、見事な逆転勝ち

 そしてフランス勢4チームのしんがりとして登場したのがインタートト、予備戦を勝ち抜いてきたレンヌである。リーグ戦での戦績は1勝3分1敗であるが、ここまで紹介した3チームが今季初めての国際試合であるのに対し、レンヌはこのトウェンテ(オランダ)戦が今季5試合目の国際試合である。一方のトウェンテはリーグ3位でチャンピオンズリーグの予備戦に臨み、アーセナル(イングランド)に敗れてUEFAカップに回ってきた。試合はトウェンテが13分に先行したが、これまでの4つの国際試合でタフな戦いを続けてきたレンヌがその経験を活かす。36分にステファン・エムビア、50分にカルロス・ボカネグラが得点を決めて逆転勝ちを収める。
 UEFAカップに出場したフランス勢は4チームとも白星でスタートしたのである。(この項、終わり)

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