第895回 姿を変えるUEFAカップ(1) 来季から誕生するヨーロッパリーグ

■UEFAカップからヨーロッパリーグに

 前回の本連載では9月18日に行われたUEFAカップの第1節でフランス勢4チームがそろって勝利したことを紹介したが、その翌週の26日に、UEFAカップが来季から大きく姿を変えるというニュースが飛び込んできた。
 これは26日に開催されたUEFAの理事会で決定されたもので、UEFAカップは来季からその名称を「UEFAヨーロッパリーグ」と変更するとともに、大会形式を大幅に変更することになった。

■本戦出場は48チーム、グループリーグがホームアンドアウエー方式に

 新しいヨーロッパリーグの概要であるが、チャンピオンズリーグに次ぐ第2のトーナメントというステータスは変わらないが、その色彩がより強くなった。ヨーロッパリーグの本戦に直接参戦できるのは前年度の優勝チームと、チャンピオンズリーグの予備戦で敗れた10チームだけである。それ以外に各国のカップウィナー、リーグ戦上位チームなどはチャンピオンズリーグの予備戦で早期に敗退したチームを交えて4回戦まである予備戦を戦い、37チームが本戦に出場する。合計48チームが参戦することになるが、4チームずつ12のグループリーグに分かれ、ホームアンドアウエー方式で戦い、各グループの上位2位に入った24チームとチャンピオンズリーグのグループリーグで3位に終わった8チームの合計32チームが、決勝トーナメントに進む。決勝トーナメントではホームアンドアウエー方式のノックアウト方式で準決勝まで行い、決勝のみは1試合制で行われる。
 従来のUEFAカップとの大きな違いは、まず本戦に直接参戦するチームは実質的に前年度の優勝チームだけであるということ、そして予備戦の段階からチャンピオンズリーグで敗れたチームが転戦してくるということ、そして本戦出場チームが64チームから48チームに減少するが、ノックアウト方式の1回戦がなくなり、グループリーグから始まる。そしてこのグループリーグ出場チームは32チームから48チームに拡大し、ホームアンドアウエー方式で行われるということである。UEFAカップでは強豪国のリーグ戦の上位チームやカップ戦の優勝チームは本戦に参加することができたが、これらのチームは予備戦を経由しなければ、ヨーロッパカップに出場することができなくなった。

■チャンピオンズリーグとの関係も変化

 また、チャンピオンズリーグとの関係も大きく変わった。これまではチャンピオンズリーグの予備戦3回戦で敗れた16チームがUEFAカップの本戦に出場していたが、来季からは予備戦3回戦は10試合となり、この試合で敗れた10チームがUEFAカップの本戦に出場する。来季からはこれに加えて、チャンピオンズリーグの予備戦2回戦で敗れた15チームもヨーロッパリーグの予備戦4回戦に回ることになった。これまではチャンピオンズリーグの予備戦2回戦で敗れたチームは欧州の舞台から去ることになったが、来季からはヨーロッパリーグで再チャレンジの機会が与えられるのである。これまでのチャンピオンズリーグとUEFAカップの関係と、来季からのチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの関係を比較すると、ヨーロッパリーグはチャンピオンズリーグの下位のトーナメントであるという色彩がより強くなった。

■チャンピオンズリーグとの格差が拡大、インタートトカップ廃止

 開催曜日についても、チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグには格差が広がった。火曜日と水曜日にチャンピオンズリーグの試合が行われ、木曜日にヨーロッパリーグの試合が行われることになる。決勝だけは水曜日に行われるが、テレビ中継や観客動員においてヨーロッパリーグにした場合がチャンピオンズリーグに出場した場合に比べて不利になるのは否定できない。
 そしてこのヨーロッパカップの予備戦は6月の中旬から始まることになり、これでインタートトカップは消滅することになる。このように、ヨーロッパリーグはUEFAカップが名称や大会方式を変えただけではなく、上位のチャンピオンズリーグとの関係、UEFAカップの予選に当たるインタートトの廃止という、大きな変更の一部なのである。(続く)

このページのTOPへ