第916回 チャンピオンズリーグ、決勝トーナメントへの道(4) ボルドー、ASローマに敗れUEFAカップへ

■三者三様の目的を持つフランス勢

 チャンピオンズリーグの第5節までの戦いについて、第913回ではリヨン、第914回ではマルセイユ、第915回ではボルドーを紹介してきた。最終戦となる第6節ではフランスから出場している3チームにそれぞれ異なった目標がある。
 まずはグループFのリヨンはすでに決勝トーナメント進出を決めているが、最終戦はリヨンとともに決勝トーナメント進出を手中にしているバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)との直接対決である。この結果でグループの1位と2位が決まる。グループ1位になれば、決勝トーナメントの1回戦で第2戦をホームで戦うと言うアドバンテージが与えられる。グループDのマルセイユはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントを逃してしまったが、グループ3位に入ればUEFAカップの決勝トーナメントに出場することができる。そしてボルドーの所属するグループAは混戦となり、ボルドーを含む3チームに決勝トーナメント進出のチャンスが残されている。
 最終節は12月9日と10日に行われ、グループAのボルドーとグループDのマルセイユが9日に、グループFのリヨンが10日に最終戦を迎えた。

■決勝トーナメント進出のために勝利が必要なボルドー

 グループAは混戦となった。最終戦を迎える段階で、決勝トーナメント進出チームが1チームも確定していないのは8グループの中でこのグループだけである。1位のASローマ(イタリア)は勝ち点9、2位チェルシー(イングランド)は勝ち点8、そして3位ボルドーが勝ち点7、4位はCFRクルージュ(ルーマニア)で勝ち点4である。最終節はASローマ-ボルドー戦とチェルシー-CFRクルージュが行われ、上位チームが下位チームを迎える形になった。
 3位ボルドーは、ASローマに勝てば、勝ち点でASローマを上回りチャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出が確定する。一方、引き分け以下の場合は、ボルドーのチャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出は不可能となる。たしかに、ボルドーが引き分け、チェルシーがCFRクルージュに敗れれば、ボルドーとチェルシーは勝ち点8で並ぶが、直接対決でチェルシーが1勝1分と勝ち越しているため、ボルドーは3位にとどまってしまう。したがってボルドーにとってはチャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出のためには勝ち点3が必要である。

■引き分け以下でもUEFAカップの決勝トーナメントに進むボルドー

 逆にボルドーはASローマ戦で勝てなかった場合でもUEFAカップの決勝トーナメントが待っている。なぜならばボルドーが敗れ、4位のCFRクルージュが勝利した場合、両チームは勝ち点7で並ぶ。しかし、第3節と第4節の直接対決でボルドーが連勝しているため、ボルドーは最悪の結果となってもCFRクルージュよりも上の順位となり、UEFAカップを目指すことができるのである。
 したがってボルドーは目の前の敵に神経を集中すればよく、たとえボルドーの勝利とともにチェルシーが勝利しても、それはグループリーグの結果が1位か2位かの違いであり、決勝トーナメントに進出できるかどうかと言うことよりははるかに影響の少ない問題である。

■カウンター狙いのボルドー、後半に2失点

 勝利の欲しいボルドーの攻撃陣は1トップである。ローラン・ブラン監督は、直前のリーグ戦でチームを勝利に導いたアルゼンチン代表のフェルナンド・カベナギではなく、モロッコ代表のマルアヌ・シャマフを起用する。翌々日にスーブニールで行われるパーティーのメニューを事前に察知してのブラン監督の選手起用であろう。またGKには負傷していたウルリッヒ・ラメを復活させる。
 試合が始まったが、ボルドーは明らかにカウンター狙いである。ASローマの本拠地、オリンピックスタジアムで、ボルドーはイタリア人のお株を奪う1-0の勝利を狙う。ボルドーはほとんど攻撃をすることのないまま、前半を終えるが、ゴールも許さず、残り45分にかける。
 そして58分、ブラン監督はヨアン・グフランに代えてカベナギを投入し、カベナギとシャマフという攻撃態勢に入る。しかしながら、無情にもその直後の61分に、ボルドーの正GKのラメがゴールを割られてしまう。さらに79分にもフランチェスコ・トッティの追加点を許す。ボルドーは0-2で敗れ、UEFAカップへその目標を変えたのである。(続く)

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