第928回 UEFAカップ、決勝トーナメントへの道(3) 明暗が分かれたサンテエチエンヌとパリサンジェルマン

■第3節に試合を行ったサンテエチエンヌとパリサンジェルマン

 前回までの本連載ではUEFAカップのグループリーグの序盤戦となる第1節と第2節の対戦を紹介し、サンテエチエンヌが連勝、ナンシーは1勝1分、パリサンジェルマンは1勝(第2節は試合なし)という状況をお伝えした。
 第3節は11月27日に行われ、サンテエチエンヌとパリサンジェルマンは試合があり、ナンシーは試合がなかった。連勝したサンテエチエンヌは決勝トーナメント進出を早く決めて国内リーグに集中したいであろうし、1試合しか消化していないとはいえ、勝ち点ゼロのパリサンジェルマンも焦りがないはずはない。
 サンテエチエンヌはアウエーでクラブ・ブルージュ(ベルギー)、パリサンジェルマンはホームでラシン・サンタンドール(スペイン)と対戦した。

■勝利の欲しいクラブ・ブルージュ

 他の3チームが勝ち点1しか上げていない中で、唯一勝ち点6をあげているサンテエチエンヌは引き分け以上ならば決勝トーナメント進出が決まる。相手のクラブ・ブルージュはベルギーリーグで首位を走り、リーグ戦の成績についてはサンテエチエンヌとは好対照である。サンテエチエンヌは、日本の松井大輔が所属していることから、日本では注目を集めているが、クラブ・ブルージュも訪日経験もあることから日本の皆様でご存知の方も多いであろう。さらに青と黒の縦縞のユニフォームの胸にはベルギーを代表するデクシア銀行がスポンサーとしてロゴを入れている。同日にロベール・ヴェルディエがカンファレンスを開いていることから、クラブ・ブルージュは地元のファンのためだけではなく、大スポンサーのためにも勝利しなくてはならない。

■アウエーで引き分けて決勝トーナメントを確定したサンテエチエンヌ

 この試合、サンテエチエンヌのアラン・ペラン監督はバフェタンビ・ゴミではなく松井を起用する。この松井が前半終了間際の44分に得点の起点となり、サンテエチエンヌはダビッド・ジグリオッティの先制点でリードして折り返す。一方のクラブ・ブルージュも勝ち点1のままで第3節を終えるわけにはいかない。クラブ・ブルー時は後半開始早々の50分に同点ゴールを決める。引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まるサンテエチエンヌは無理をせず、引き分けに持ち込み、2節残して決勝トーナメントへのチケットを確保したのである。

■2点のゴールを守りきれなかったパリサンジェルマン

 勝ち点ゼロで最下位のパリサンジェルマンであるが、相手のラシン・サンタンドールは第1節でシャルケ04(ドイツ)と引き分け、第2節はトウェンテ(オランダ)に敗れ、2試合を消化して勝ち点1しか獲得しておらず、スペインリーグでも中位にとどまっており、チーム状態は決してよくない。パルク・で・プランスには2万5000人の観衆が集まった。その観衆の期待に応え、パリサンジェルマンは5分にセルビア代表のマテジャ・ケズマンが先制点をあげる。さらに32分にはペギー・リュインデュラが追加点を上げて2-0とリードする。ホームの国際試合で2点のリードは、かつてはセーフティリードであったが、現在は決してそうではない。39分の自陣前での相手FKに対し、マリ代表のDFサミー・トラオレがヘッドでCKに逃れようとしたが、これが誤ってミカエル・ランドローの守るゴールに入ってしまう。フランス代表の名GKのランドローもさすがにこの失点を防ぐことができず、パリサンジェルマンは追い上げられてしまう。
 パリサンジェルマンは前半は1点のリードで折り返したが、後半に入って56分、ついにラシン・サンタンドールに追いつかれてしまう。勝ち点3を獲得したいパリサンジェルマンは同点に追いつかれてからベテランのクロード・マケレレ、若手の注目株ギヨーム・オラオを投入するがゴールは遠い。3分間のロスタイムも果敢に攻めたが、勝ち越しゴールを奪うことができず、失意の引き分けに終わってしまう。パリsなジェルマンは2試合消化して勝ち点は1にとどまる。
 第3節を終了した段階でパリサンジェルマンの所属するグループAは、1位はイングランドのマンチェスター・シティ(勝ち点6)、2位シャルケ04(4)、3位トウェンテ(3)、4位ラシン・サンタンドール(2)となる。勝ち点1のパリサンジェルマンは最下位から脱出することができず、残る2試合に望みを託すことになったのである。(続く)

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