第929回 UEFAカップ、決勝トーナメントへの道(4) 足踏みをしたパリサンジェルマンとナンシー
■市内で同時に2試合が行われるマンチェスター
UEFAカップの第4節は第3節の翌週の12月3日と4日に行われた。フランス勢はパリサンジェルマンとナンシーが試合を行い、すでに決勝トーナメント進出を決めたサンテエチエンヌは試合がなしとなった。
まず、火曜日の3日に試合を行ったパリサンジェルマンは前回の本連載で紹介したとおり、第3節のホームゲームで2点のリードを守りきれず、ドローに終わり、最下位から脱出できないままで師走を迎えることになった。
パリサンジェルマンの第4節の試合はマンチェスター・シティ(イングランド)とのアウエーゲームである。勝ち点6のマンチェスター・シティはすでに決勝トーナメント進出を確定しているが、地元ファンの前で勝利を飾りたいところである。マンチェスター・シティの本拠地は2000年の夏季五輪開催を想定して建造されたシティ・オブ・マンチェスター競技場である。同日の同時刻にはマンチェスター・ユナイテッドも本拠地のオールドトラフォード競技場でブラックバーンを迎えてリーグカップの試合を戦う。マンチェスター市内の2チームが同日の同時刻にホームゲームを開催することは極めて珍しいことである。
■競技場に姿を現したニコラ・アネルカ
市内でもう1つの試合が開催されていることもあり、前売りチケットの売れ行きは芳しくなく、マンチェスター・シティは試合の前日にチケットの料金を20ポンドから15ポンドへと値下げしたが、シティ・オブ・マンチェスター競技場には収容人数の半分以下の2万2000人しか集まらなかった。換算とした競技場の中にはパリサンジェルマンでプロにデビューし、2002年から3年間マンチェスター・シティに在籍したニコラ・アネルカの姿もあった。アネルカは、元フランス代表で現在チェルシー(イングランド)に所属しているが、パリサンジェルマンで通算4年間、マンチェスター・シティでは3年間を過ごしている。パリサンジェルマン、マンチェスター・シティ在籍中はクラブでのタイトルに縁のなかったアネルカであるが、意味深い試合観戦となった。
■スコアレスドローで最下位のまま最終戦を迎えるパリサンジェルマン
アウエーゲームとはいえ勝ち点3が欲しいパリサンジェルマンであるが、これまでイングランドでは3試合をしているが、1分2敗、得点ゼロと言うかこの数字が気になる。前半はマンチェスター・シティが一方的に試合を支配する。パリサンジェルマンの初シュートは前半終了間際の45分と言う具合である。しかしながら、パリサンジェルマンは無失点で前半を切り抜ける。後半になるとパリサンジェルマンは盛り返し、攻勢を強めるが、結局両チーム無得点、アネルカの前で仲良くドローとなったのである。
グループAのもう1つの試合はトウェンテ(オランダ)が、シャルケ04(ドイツ)を下す。この結果、グループAは1位のマンチェスター・シティ(勝ち点7)と2位のトウェンテ(7)が決勝トーナメント進出を確定している。そして3位シャルケ04(4)、4位ラシン・サンタンドール(2、得失点差-1)となり、パリサンジェルマンは勝ち点2、得失点差-2で最下位のまま最終戦を迎えることになった。
■得点の取り合いの末敗れたナンシー
もう1つのフランス勢がグループHのナンシーである。相手のCSKAモスクワは3連勝ですでに決勝トーナメント進出を決めている。ナンシーは勝てば決勝トーナメント進出、そして引き分けてももう1つの試合でレフ・ポズナン(ポーランド)がデポルティーボ・ラ・コローニャ(スペイン)とのホームゲームを落とせば決勝トーナメント進出となる。ナンシーでの試合は壮絶な点の取り合いとなった。
まず、5分にナンシーがモンセフ・ゼルカのゴールで先制するが、国内リーグでも2位と好調のCSKAモスクワは前半に2点を奪い逆転する。後半に入って62分にCSKAモスクワは3-1とリードを広げる。ナンシーは71分にジュリアン・フェレ、79分にバジル・カメルランがゴールを決めて同点に追いつく。この段階でレフ・ポズナン-デポルティーボ・ラ・コローニャは同点である。ナンシーかデポルティーボ・ラ・コローニャが勝ち越し点を上げればナンシーにチケットが届くはずであったが、88分にCSKAモスクワが決勝点をあげる。ナンシーの決勝トーナメント進出はお預けとなってしまった。
すでに決勝トーナメントを決めている相手との対戦となった第4節のフランス勢であるが、苦い結果に終わってしまったのである。(続く)