第941回 UEFAカップ、決勝トーナメント1回戦(1) サンテエチエンヌ、ベスト16入り
■チャンピオンズリーグよりも先に日程消化されるUEFAカップ
前回までの本連載では今年になって初めての国際試合であるフランスとアルゼンチンの代表の試合について紹介してきたが、ようやくクラブにも国際試合の機会がめぐってきた。
チャンピオンズリーグとUEFAカップは年末まではグループリーグを行い、年が明けて決勝トーナメントにステージを移して再開するが、決勝トーナメント進出チームの数はチャンピオンズリーグが16であるのに対し、UEFAカップは32、しかも決勝戦を先に行うのはUEFAカップということで、UEFAカップの日程を早めなくてはならない。したがって、決勝トーナメントはまずUEFAカップから始まり、ベスト16決定戦が2月18日と26日に行われ、チャンピオンズリーグのベスト16決定戦は2月24日と3月10日に行われる。
UEFAカップの決勝トーナメントを戦うフランス勢は本連載第926回から第930回で紹介したとおり、サンテエチエンヌ、パリサンジェルマン、ボルドー、マルセイユの4チームである。
■恵まれた組み合わせになったフランス勢
本連載第931回で紹介したとおり、グループリーグを1位で通過したサンテエチエンヌはグループリーグを3位で通過したオリンピアコス(ギリシャ)、グループリーグを3位で通過したパリサンジェルマンはグループリーグを1位で通過したボルフスブルク(ドイツ)と対戦することになる。また、チャンピオンズリーグのグループリーグで3位だったマルセイユはグループリーグを3位で通過したトウェンテ(オランダ)、同じ条件のボルドーはガラタサライ(トルコ)との対戦となり、比較的恵まれた結果になった。
フランス勢4チームのうち、サンテエチエンヌ、パリサンジェルマン、ボルドーの3チームは18日に試合を行い、マルセイユが19日に試合を行った。さらにこの中で一番早くキックオフを迎えたのがアテネでオリンピアコスと対戦するサンテエチエンヌであった。グループリーグを1位で通過したためアウエーで第1戦を迎える。サンテエチエンヌはグループリーグでもブラジル人のイランの活躍により早々に決勝トーナメント進出を決めて無敗の首位突破、振り返ってみれば1982年以来欧州カップでは負けなしである。
■アウエーで完勝したサンテエチエンヌ
そのサンテエチエンヌは欧州カップでギリシャのチームとは実に30年ぶりの対戦である。30年前はミッシェル・プラティニを擁し、アリス・テッサロニキに1勝1分で倒している。
サンテエチエンヌはアウエーの戦いを苦にせず、この日も会心の試合運びであった。12分にイランが先制点をあげ、今季のUEFAカップで通算4点目となる。前半終了間際の43分にはジョフレイ・デルニスが追加点を上げて2-0とリードを広げる。後半に入り、64分にPKで1点を失うが試合運びは危なげなく、ロスタイムの91分にバフェタンビ・ゴミスがゴールを上げてサンテエチエンヌはアウエーで3-1と勝利したのである。
アウエーでの2点差の勝利により、ほぼベスト16入りを確実にしたサンテエチエンヌのファンの試合後の注目はパリサンジェルマンやボルドーの試合ではない。UEFAカップの組み合わせはベスト16決定戦だけではなくベスト8決定戦まで決定しており、サンテエチエンヌはベルダー・ブレーメン(ドイツ)とACミラン(イタリア)の勝者と対戦することになっている。この試合はパリやボルドーと同じ時間にキックオフされ、アウエーのACミランがフィリッポ・インザーギのゴールで先制したが、終盤にベルダー・ブレーメンが追いついている。
■心理的優位に立つサンテエチエンヌが連勝
そして第2戦は2月26日にサンテエチエンヌで行われた。リーグの順位は18位と振るわないサンテエチエンヌであるがギリシャ王者に対して心理的に優位に立つサンテエチエンヌは前半終了間際にディミトリ・ペイエが先制点を上げて安全圏に入る。さらに後半に入って58分にイランが追加点を上げる。オリンピアコスの反撃を1点に抑えて、サンテエチエンヌは連勝でベスト16入りを決めたのである。
なお、同時間帯に行われたACミラン-ベルダー・ブレーメン戦はACミランが2点を先制しながら追いつかれ、アウエーゲーム2倍ルールによってサンテエチエンヌのベスト8決定戦の相手はベルダー・ブレーメンになったのである。(続く)