第942回 UEFAカップ、決勝トーナメント1回戦(2) パリサンジェルマン以外は苦しいホーム第1戦
■パリの日本人が期待したボルフスブルクの来仏
前回の本連載で紹介したサンテエチエンヌ以外のパリサンジェルマン、ボルドー、マルセイユの3チームはホームで第1戦を迎えた。サンテエチエンヌはアウエーの第1戦もホームの第2戦も勝利したが、ホームで第1戦を迎えたフランス勢3チームのうち、第1戦を勝利で飾ったのは、パリサンジェルマンだけであった。
パリサンジェルマンはグループリーグをようやく通過し、3位にとどまったためホームで第1戦を迎えた。パリサンジェルマンは、アテネでのサンテエチエンヌの勝利の後にキックオフを迎えたが、ボルフスブルク(ドイツ)との対戦である。ボルフスブルクはグループリーグを首位で突破しただけではなく、日本人コンビの大久保嘉人と長谷部誠が在籍していることから日本のファンの皆様の注目は並々ならぬものであろう。約2万人と言われるパリの日本人社会の中でも日本人コンビを擁するチームがパリを訪問するということで多くの日本人ファンがパルク・デ・プランスのゲートをくぐった。
■19歳トリッピー・マコンダ、見事なデビュー
長谷部は先発出場、大久保はベンチスタートで後半63分からの交代出場となったが、長谷部がパルク・デ・プランスで、日本人ファンの期待を裏切るような結果になってしまった。正確に言うと長谷部とマッチアップしたパリサンジェルマンの左サイドのMFのトリッピー・マコンダの出来があまりにも良すぎた。マコンダは19歳、クラブの大先輩であるクロード・マケレレ、ペギー・リュインデュラと同じコンゴ民主共和国の出自である。パリ近郊で生まれ育ち、12歳でパリサンジェルマン入り、現在19歳である。これまでトップチームでは国内のリーグ戦、カップ戦にも出場したことがなかったが、この日が初めてのトップチームでの試合出場であった。このマコンダを国際試合でデビューさせることにファンは驚いたが、こういう大舞台で見事にデビューするところがパリジャンである。左サイドで長谷部を何度も置いてきぼりにして攻撃の起点となり、得点には結びつかなかったが、万雷の拍手とともに64分にベンチに下がる。
この若武者の活躍に応えたのがギヨーム・オラオである。80分にジェローム・ロタンからのFKをゴールにたたきこみ、パリサンジェルマンがようやく先制する。ホームアンドアウエー方式のホームの第1戦としては1ゴールでは心もとないとパリのファンは追加点を望む。今度はそのファンの期待に応え、85分にはCKを相手GKに競り勝ってヘディングで2点目をマークする。パリサンジェルマンはほぼ安全圏と言える2-0というスコアで第1戦を終えたのである。
■ボルドー、貧弱な攻めでホームでスコアレスドロー
パリサンジェルマンと同時刻にホームで試合を行ったボルドーは、ガラタサライ(トルコ)相手に苦しい第1戦となった。フランス代表として活躍するヨアン・グルクフを攻撃の中心とするボルドーは、ボール支配率こそ上回ったものの、得点の予感が感じられない。11本のシュートは精度を欠き、枠内に飛んだシュートはわずか2本にとどまった。一方、ガラタサライも豪州代表の右サイドMFのハリー・キューウェルが鋭い攻撃の起点となるが、シュート数は7本、そして枠内シュートはわずか1本。
結局両チームともノーゴールに終わり、第2戦を迎えることになったが、ホームで引き分けに終わったボルドーにとっては厳しい展開となった。
■ベロドロームの国際試合で連敗したフランス勢
さらに厳しい結果になったのがマルセイユである。トウェンテ(オランダ)を20日にベロドロームに迎える。トウェンテは今季のUEFAカップでは予備戦でレンヌに、そしてグループリーグでパリサンジェルマンにフランスで連敗しており、フランスでの試合を苦手にしている。攻撃陣を大幅に欠くものの、マルセイユ有利という試合前の予想であったが、マルセイユの攻撃陣にとってゴールは遠かった。
逆に不利が予想されたトウェンテは22分にオーストリア人のマルコ・アルノービッチがゴールをあげて、アウエーで1-0と勝利をあげる。9日前にはこのベロドロームでフランス代表がアルゼンチン代表に敗れている。今年になってベロドロームで行われた国際試合でフランス勢は連敗したのである。(続く)