第945回 リヨン、バルセロナと対戦(2) リヨン大敗、3年連続で1回戦敗退
■悲観論と楽観論が交錯する第2戦
リヨンは、2月22日にホームで行われたチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦の第1戦で引き分けてしまった。敵地バルセロナでの第2戦に向けて悲観論と楽観論が交錯した。
悲観論の根拠はリヨンのバルセロナとの相性である。これまでの連載でリヨンのバルセロナに対する相性の悪さを紹介してきた。一方の楽観論の根拠はバルセロナのフランス勢との意外な対戦成績である。実はバルセロナは、これまでの欧州カップでフランス勢を苦手としているのである。本連載の読者の皆様は、チャンピオンズリーグでのリヨンとの対戦成績(昨季までバルセロナの3勝1分)や、1997年のカップウィナーズカップ決勝でパリサンジェルマンを1-0と下したことをご存知であることから、意外に思われるかもしれない。
しかし、リヨンとはグループリーグの対戦であり、直接リヨンを下したわけではない。また、パリサンジェルマンに対する勝利は中立地(オランダ、ロッテルダム)におけるものである。
■ホームアンドアウエー方式でフランス勢を苦手とするバルセロナ
一方、ホームアンドアウエー方式のノックアウトシステムについては、バルセロナはフランス勢と3回対戦している。まず、1973-74シーズンのUEFAカップ、バルセロナはニースと対戦し、ニースで0-3で敗れ、バルセロナでは2-0で勝利したが、通算ゴールの差でニースに敗れている。続いて1984-85シーズンのカップウィナーズカップ、バルセロナはアウエーの第1戦を4-2と圧倒したが、地元に戻ってきて1-4と大敗し、1回戦で姿を消している。そしてバルセロナは1994-95シーズンのチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦(準々決勝に相当)でパリサンジェルマンと対戦する。この時はまずバルセロナのホームゲームで1-1のドロー、そしてパルク・デ・プランスでの第2戦でパリサンジェルマンが2-1と勝利し、バルセロナはホームアンドアウエー方式のトーナメントでフランス勢と3度対戦し、3度とも敗れているのである。
さらに歴史をさかのぼれば、UEFAカップの前身である欧州フェアーズカップにおいても3回戦(ベスト8決定戦)でストラスブールと対戦し、ホームで0-0、アウエーで2-2となり、アウエーゴール2倍ルールでストラスブールに敗れている。
■ティエリー・アンリの活躍でバルセロナが大量リード
このような過去の戦績に加え、リヨンでの第1戦で同点に追いつかれるまでのリヨンの堂々たる戦いぶりを考えれば、敵地とはいえノウカンプで勝利することは決して困難なことではないとフランスのサッカーファンは思ったはずである。
しかし、そのフランスのサッカーファンの願いはもろくも崩れてしまった。25分にバルセロナはティエリー・アンリが先制点をあげる。第1戦同様、得点を奪われるとリヨンは一気にパワーダウンしてしまう。その2分後の27分にフリーとなったアンリにパスがつながり、アンリが連続ゴールをあげる。この段階でリヨンは3点が必要になる。その後も、バルセロナは40分にリオネル・メッシがゴール、さらに43分にはアンリのパスをサミュエル・エトーが決めて4-0と大差がついてしまう。
大量得点差をつけられたリヨンは前半終了間際の44分にジュニーニョのCKからつかんだチャンスをジャン・マクーンが決めてかすかな望みをつないでハーフタイムを迎える。
■リヨン、反撃も実らず、3年連続でベスト16止まり
後半開始早々にリヨンは反撃を開始する。48分にセザール・デルガドのセンタリングをバルセロナの選手ガ処理ミスし、ジュニーニョガゴールに叩き込み、リヨンは2点差に追い上げる。アウエーゴール2倍ルールによりリヨンは残された時間で2点をあげればベスト8入りすることができる。しかし、重い2点差となった。バルセロナはリードを奪っていても守りに入ることはなく攻め続ける。リヨンもチャンスをつかむが得点には至らず、ロスタイムには得点源のジュニーニョがこの試合2回目の警告を受け、退場してしまう。94分にはバルセロナのセイドゥ・ケイタがゴールを決め、バルセロナは5-2と大勝したのである。
フランスリーグを代表するチームであるリヨンは、これで3年連続してチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦で姿を消したのである。(この項、終わり)