第959回 フランス勢の望み、UEFAカップ(2) マルセイユとパリサンジェルマンが準々決勝進出
■アウエーに乗り込むマルセイユとパリサンジェルマン
前回の本連載ではUEFAカップのベスト8決定戦に出場しているフランス勢のうち、第1戦の直後に国内リーグ戦に対決することになるパリサンジェルマンとマルセイユの第1戦の戦いとリーグ戦での模様を紹介した。
ホームでの第1戦で勝利し、リーグ戦でも勝利し勢いに乗るマルセイユ、一方のパリサンジェルマンはホームでの第1戦をスコアレスドロー、そしてマルセイユとのクラシコはホームゲームでありながら、1-3と完敗している。そして両チームはアウエーで第2戦を迎える。
マルセイユは3月17日にオランダのアムステルダムでアヤックスと対戦した。ホームの第1戦を2-1とリードして迎えるアウエーの第2戦は微妙である。ホームチームに先制点を奪われ、守りきられた場合、2試合通算得点ではイーブンとなるが、アウエーゴール2倍ルールで敗退となる。
■先制点を許したが、延長戦で勝ち抜きを決めたマルセイユ
マルセイユの監督、エリック・ゲレツは特別な感慨を持ってアヤックスとのアウエーゲームに臨む。というのもゲレツはベルギー人であり、アヤックスのライバルであるPSVアイントホーヘンの選手、監督として大活躍をしている。現役時代のライバルと、再び戦うゲレツ監督の心配は先制点を奪われることである。
そしてその不安は的中してしまった。試合開始からボールの支配は圧倒的にアヤックス、33分にアヤックスのカメルーン人選手のエヨング・エノーが均衡を破る。しかし、ここでマルセイユはあわてなかった。35分にセネガル代表のマルセイユのママドゥ・ニアンが同点ゴール、これでマルセイユは優位に立つ。試合展開は攻めるアヤックス、守るマルセイユ、この日創立109周年を迎えるアヤックスは74分にセルビア代表のミラレム・スレイマニがゴールを決めて、これで両チームはイーブンとなる。
試合は90分を過ぎ、延長に入る。延長に入ってもなかなか試合は動かず、PK戦か、と思われた延長後半の109分、マルセイユは英国生まれのジャマイカ代表のタイロン・ミアーズがゴールを決める。結局、2試合合計の成績でマルセイユが8強入りを果たしたのである。
■美しいブラガ市営競技場で勝利したパリサンジェルマン
さて、その翌日はパリサンジェルマンがポルトガルのブラガに乗り込んだ。ブラガの本拠地の市営競技場は2004年の欧州選手権のために建造された新しいスタジアムであるが、非常に特徴的なスタジアムである。通常サッカーのスタジアムはメインスタンド、バックスタンド、両サイドのゴール裏という四面があるが、このスタジアムは、山の斜面に造られ、ゴール裏が両サイドともなく、メインスタンドとバックスタンドという2つのスタンドしかない。それでいて収容人員は3万人、世界でも有数の美しいスタジアムである。
このスタジアムでパリサンジェルマンには勝利、もしくは得点をあげて引き分けることが必要となる。ブラガはインタートトカップを勝ち抜いてきた11チームのうちで唯一、年を越しており、国内リーグでも4位と上位をキープしている。地元のファンの期待も高い。
ブラガはファンの期待に応え、序盤から優勢に試合を進める。しかし、パリサンジェルマンもよく守り、両チーム無得点でハーフタイムを迎える。このまま時計の針が90分を過ぎれば、前夜のアムステルダムの試合同様、延長戦に入る。延長戦になればアウエーのパリサンジェルマンは不利になる。パリサンジェルマンのポール・ルグアン監督は後半に入って選手交代を立てつづけに行い、77分にギヨーム・オアロを投入する。この選手交代が功を奏し、81分にFKをブラガのGKがこぼしたところをシュート、貴重なゴールとなったのである。パリサンジェルマンは1-0と勝利し、8強入りした。
■第2戦の終盤の猛攻も実らず、サンテエチエンヌ敗退
そしてフランス勢としてもう1チーム出場していたサンテエチエンヌはブレーメン(ドイツ)と対戦、アウエーの第1戦では0-1と敗れ、ホームの第2戦に望みを託したが、2点を先制され、後半に入り猛攻を仕掛け、同点に追いついたが、引き分けに終わり、ベスト8入りはならなかった。
この結果、フランス勢はマルセイユとパリサンジェルマンというライバル関係にある2チームが準々決勝に進出し、準々決勝以降の抽選では感嘆の声が上がったのである。(続く)