第999回 チャンピオンズリーグ・プレーオフ(2) リヨン、10季連続の本戦出場へ

■リーグ開幕前は調子の上がらなかったリヨン

 リヨンはフランス勢に対して相性のいいベルギーの名門アンデルレヒトと対戦することになった。リヨンはカリム・ベンゼマなどの流出もあり、シーズン前に行われたピースカップで早々に敗退してしまった。さらに、その他の試合でも勝つことができず、最初の親善試合となった7月11日のニース戦で勝利して以来、一度も勝つことなくリーグ開幕を迎えた。リーグ戦でも開幕戦はルマンと2-2の引き分け、そして第2節でバランシエンヌに1-0で勝利し、1月ぶりの勝利をあげ て、アンデルレヒトとの試合に臨むことになった。
 久しぶりのビッグゲームと言うことでジェルラン競技場は3万7000人の観客で埋まった。試合前は満員にはならないのではないかと予想されており、地元ファンがそれだけ今季のリヨンを心配していたことを象徴している。

■ジュニーニョの不在を埋めたミラレム・ピアニッチ

 しかし、そのファンの心配が杞憂であることをリヨンのイレブンは示したのである。
 10分、リヨンは相手選手のハンドでゴール前20メートルと言う好位置でFKのチャンスを得る。昨季までならばここでジュニーニョ登場であろう。しかしFKの名手はカタールのアル・ガラファへ移籍してしまう。そしてジュニーニョの代わりにボールを置くのは背番号8、ボスニア代表のミラレム・ピアニッチである。リヨンにメッスから移籍してきて2年目の背番号8が見事にゴールネットを揺らす。この先制点でリヨンの攻撃は点火した。15分には新加入のアルゼンチン代表のリサンドロ・ロペスがPKを決めて2点目、39分にはリールから移籍してきたブラジル人のミッシェル・バストスが3点目を決める。さらに42分にはロペスか らのセンタリングをバフェタンビ・ゴミスがゴールに叩き込む。

■第1戦はリヨンが大勝

 後半に入ってもリヨンが一方的に攻める構図は変わらない。アンデルレヒトは58分に1点を返すが、リヨンはバストスからのパスを受けたゴミスが62分にこの日2点目を決めて5-1として再び4点差をつける。試合は圧倒的にリヨンが支配し、シュートのシャワーをアンデルレヒトのゴールに浴びせ、5-1と勝利し、10年連続のチャンピオンズリーグ本戦出場に向けて大きく前進した。リヨンがチャンピオンズリーグに出場するようになったころは弱小国のチームとは対戦する可能性が低くなったが、2004-05年のベルダーブレーメン(ドイツ)戦(7-2)、スパルターク・プラハ(チェコ)戦(5-0)、2002-03シーズンのローゼンボリ (ノルウェー)戦(5-0)などに次ぐ大差の試合となった。

■第2戦も連勝、新戦力が大量得点を決める

 この大勝でリヨンはようやくチームが始動する。アンデルレヒト戦勝利の3日後に行われたリーグ戦のオセール戦ではアウエーでの戦いでありながらリヨンは3-0と勝利して順位を2位に上げる。上り調子のリヨンは8月25日に勇んで敵地ブリュッセルに乗り込む。4点のビハインドのアンデルレヒトは大逆転を狙い、序盤から積極的に攻め込む。一方のリヨンも守りに入ることなく、攻撃的な試合運びをする。そして、この試合でCFのロペスが大活躍をした。26分には相手守備陣の不用意なパスをシュートし、先制点をあげる。31分にはアントニー・レベイエールのセンタリングをきれいにあわせて2点目、さらに41分にもロペスは得点をあげ、わずか15分の間にハットトリックを決めたのである。アンデルレヒトは後半に1点を返すのが精一杯で、リヨンは10期連続のチャンピオンズリーグ本戦 出場を決めた。
 この2試合の8得点はいずれも今季あるいは昨季にリヨンに加わった選手、つまりリヨンのリーグ優勝を知らない選手たちによって記録されたことは特筆すべきである。そしてリヨンのリーグ優勝を知らないと言うことは、チャンピオンズリーグで負け続けていたリヨンも知らないと言うことであり、新戦力で国内外の タイトルを目指す今季のリヨンから目が離せない。(この項、終わり)

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