第1008回 チャンピオンズリーグ本戦開幕(2) フランス勢の対戦相手との過去の戦績

■グループリーグで対戦する9チームのフランス勢との対戦成績

 チャンピオンズリーグとは言いながら、リーグチャンピオンとして出場するチームは少ないが、出場32チームは実力派がそろっている。
 フランス勢3チームと対戦するのは9チームであるが、9チームすべてが欧州カップでフランス勢との対戦経験がある。これまでのフランス勢との対戦成績を見ると、ボルドーと対戦するバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)は11勝5分7敗、ユベントス(イタリア)は11勝3分4敗、マッカビ・ハイファ(イスラエル)は2勝1分であり、いずれもフランス勢に対して勝ち越している。そして、リヨンと同じグループのリバプール(イングランド)は14勝1分7敗、フィオレンチーナ(イタリア)は4勝5分3敗、デブレツェニ(ハンガリー)は1勝1敗である。そしてマルセイユと対戦するACミラン(イタリア)は10勝4分8敗、第2シードからレアル・マドリッド(スペイン)は9勝3分6敗、FCチューリヒ(スイス)は1勝とすべて勝ち越している。つまり、フランス勢とグループリーグで対戦する9チームのうち、チャンピオンズリーグ本戦初出場となるデブレツェニの対戦成績が五分である以外は、すべてフランス勢に対して勝ち越しているのである。

■昨年のグループリーグでも対戦したリヨン-フィオレンチーナ

 このように強敵ぞろいのチームと対戦することになったが、これまでに欧州カップで直接対戦したことがあるのは、リヨン-フィオレンチーナ、ボルドー-ユベントス、マルセイユ-ACミランの3カードである。
 リヨンはフィオレンチーナと昨年のチャンピオンズリーグのグループリーグで対戦している。第1節にリヨンで行われた試合は2-2のドローであったが、第5節にフィレンツェで行われた試合でリヨンは2-1と勝利し、決勝トーナメントに進出している。

■世界一になるユベントスにあと1点及ばなかったボルドー

 また、ボルドーがユベントスと対戦したのは1984-85シーズンのチャンピオンズリーグ準決勝でのことである。トリノでの第1戦はユベントスの誇るポーランド代表のズビグニェフ・ボニエク、フランス代表のミッシェル・プラティニなどが得点をあげて3-0と完勝する。そしてボルドーに舞台を移した第2戦ではボルドーが意地を見せる。西ドイツ代表のディーター・ミュラー、フランス代表のパトリック・バチストンがゴールをあげるが、あと1点が追加できず、合計得点3-2でユベントスが決勝に進出、決勝でリバプールを倒し、年末のインターコンチネンタルカップでも勝利する。ちなみに両チームが対戦した1985年に最初に訪日したチームがボルドーであり、最後に訪日したチームがユベントスである。ボルドーは1月に神戸と東京で試合を行い1勝1敗、そしてユベントスは年末のインターコンチネンタルカップでアルヘンチノス・ジュニアーズ(アルゼンチン)を下し世界一になっている。

■ACミランに通算成績2勝1分と勝ち越しているマルセイユ

 マルセイユと初戦で対戦するACミランは1990年代初めに3回対戦している。当時両チームは欧州を代表するビッグクラブであり、ベルナール・タピとシルビオ・ベルルスコーニという大物会長が君臨し、大型補強により欧州の頂点を争った。最初の対戦は1990-91シーズンのチャンピオンズカップ準々決勝でのことである。ミラノでの第1戦は1-1のドロー、続くマルセイユでの第2戦は終盤までマルセイユが1-0とリードしていたところでベロドローム競技場の照明が停電する。ここで審判団は試合の打ち切り、マルセイユの勝利を宣言した。そして3回目の対戦は1992-93シーズンのチャンピオンズリーグの決勝である。ミュンヘンのオリンピックスタジアムで行われた試合はバジル・ボリのヘディングシュートでマルセイユが1-0と勝利している。
 このように2勝1分とマルセイユはACミランに勝ち越しているが、最初の勝利は停電による途中中断であり、抗議したACミランはUEFAの制裁を受けて翌年の欧州カップ出場停止、2回目の勝利はその後八百長疑惑でタイトル剥奪と後味のよくないものになっている。今度こそきちんとした勝利で胸のうちを晴らし、幻となったチャンピオンズリーグのタイトルを獲得したいマルセイユである。
 そしてこの3カードの合計の戦績はフランス勢が4勝2分1敗と勝ち越しており、直接対決の成績はいいのである。(続く)

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