第1045回 チャンピオンズリーグ、グループリーグ終盤戦(5) マルセイユ、最終戦に敗れヨーロッパリーグへ

■3チームで争うグループC

 マルセイユの所属するチャンピオンズリーグのグループCはグループリーグの第5節を終えた段階でチャンピオンズリーグ並びにヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出チームが決まっていない。最終節を迎える段階の順位並びに勝ち点を紹介すると、首位はレアル・マドリッド(スペイン、3勝1分1敗、勝ち点10、得失点差+6)、2位ACミラン(イタリア、2勝2分1敗、8、+1)、3位マルセイユ(2勝1分2敗、7、+2)、4位FCチューリッヒ(スイス、1勝4敗、3、-9)となり、FCチューリッヒ以外の3チームの争いである。

■レアル・マドリッドを上回るために3-0以上の勝利が必要なマルセイユ

 最終節は12月8日に行われるが、3位のマルセイユは首位のレアル・マドリッドを迎え、FCチューリッヒもACミランを迎え、下位チームが上位チームを迎え撃つ形になった。
 肝心のチャンピオンズリーグのチケットの行方であるが、このように混戦であると複雑である。マルセイユはレアル・マドリッドとのベロドロームでの直接対決で勝利すれば勝ち点10で並ぶが、同勝ち点で並んだ場合は当該チーム間の成績で決まる。マルセイユとレアル・マドリッドの場合、9月30日の試合でレアル・マドリッドが3-0と勝利している。したがって、マルセイユは最終節に勝利しても3-0で勝利してようやくレアル・マドリッドと並ぶことになり、全試合を通じての得失点差の勝負となる。この場合マルセイユが上回るわけであり、マルセイユがレアル・マドリッドを上回るためには3-0あるいは4点差以上の勝利が必要となる。

■序盤戦での出遅れがのしかかるマルセイユ

 また、マルセイユはレアル・マドリッドを上回らなくてもACミランを上回れば決勝トーナメント進出が決まる。マルセイユとACミランの勝ち点差は1、したがってマルセイユが勝利し、ACミランが引き分け以下の場合があてはまる。
 マルセイユが引き分けでACミランが負けた場合は勝ち点8で両チームが並ぶが、直接対決でACミランが1勝1分と勝ち越しているため、この場合、マルセイユは決勝トーナメントに出場できない。
 マルセイユにとっては序盤戦での出遅れが大きくのしかかり、最終節を迎える。これらの3チームの中で一番精神的に優位に立っているのがマルセイユと対戦するレアル・マドリッドであろう。敵地とはいえ0-3という大差で負けなければ、決勝トーナメントに出場できる。またACミランはすでに敗退が決まっているFCチューリッヒ相手に勝利すればよい。

■沈黙から始まった試合に敗れ、グループ3位に終わる

 大量得点での勝利を課せられたマルセイユであるが、立ち上がりの5分に沈黙がスタジアムを襲う。クリスチャン・ロナウドが30メートルのFKを直接ゴールに決める。レアル・マドリッドがベロドロームで試合を行うのは6年ぶりのことであるがその時もデビッド・ベッカムの一撃がベロドロームを沈黙させた。
 マルセイユもすぐさま反撃を試み、ブランドンは9分に勢い余って警告を受けるが、この意気込みが得点につながる。11分にはブランドンのヘディングのこぼれ球をルーチョ・ゴンザレスが2試合連続となる得点を決め、試合は振り出しに戻る。29分にはチューリッヒの試合でFCチューリッヒが先制点、すなわちチューリッヒの試合に動きがなければ、マルセイユは勝ち越し点を奪えば欧州の夢をつなぐことができる。
 ハーフタイムを迎えるまで双方の試合に動きはなかったが、後半に入ってマルセイユは勝ち越し点を奪うことができなかった。後半に入るとマルセイユは防戦一方となりスティーブ・マンダンダの活躍が目立つようになる。好セーブを連発したマンダンダであったが、60分にラウール・アルビオルのシュートを防ぐことができず、勝ち越し点を献上する。そして一方のチューリッヒでの試合もACミランのロナウジーニョのPKが決まり、いよいよマルセイユには大量得点の勝利しか道はなくなった。しかしながら、レアル・マドリッドの追加点を許し、1-3と敗れる。結局グループ3位に終わり、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントに転戦することになったのである。
 1990年代初めに欧州を震撼させたマルセイユであるが、今世紀に入ってからはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントから遠ざかっているのである。(この項、終わり)

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