第1094回 リヨン、初めての準決勝(4) 主将クリス退場、リヨン連敗、準決勝で敗退

■2試合連続してバイエルン・ミュンヘンと戦うリヨン

 4月21日にミュンヘンで行われたチャンピオンズリーグ準決勝のバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)戦で0-1と敗れたリヨン、第2戦は27日に地元ジェルラン競技場での戦いとなる。リヨンは今季のチャンピオンズリーグ、プレーオフ、グループリーグ決勝トーナメントと戦ってきたが、これまで5勝1分と卓越した成績を誇る。また、24日に予定されていたフランスリーグ第34節のモナコ戦は5月12日に延期されることになり、リヨンは2試合続けてバイエルン・ミュンヘンと戦うことになった。
 一方のバイエルン・ミュンヘンは国内リーグでは首位であったが、24日に行われたボルシア・メンヘングランドバッハとのアウエーでの試合は相手に先行される苦しい展開となった。ミロスラフ・クローゼの同点ゴールで追いついたものの、勝ち点1しか奪うことができず、国内リーグでは勝ち点でシャルケ04に追いつかれてしまった。そしてリヨンとの試合ではこのクローゼが体調不良により先発から外れ、攻撃の中心であるフランク・リベリーもミュンヘンでの試合で後方からのタックルで一発退場となっており、リヨンでの試合は出場停止となる。

■46年前のカップウィナーズカップ準決勝で敗れたリヨン

 リヨンはチャンピオンズリーグでは初めての準決勝であるが、カップウィナーズカップでは1963-64シーズンに準決勝に進出している。この時の相手はポルトガルのスポルティング・リスボン、第1戦はリヨンで0-0のドロー、第2戦はリスボンで1-1のドローであった。現在の規定であればアウエーゴール2倍ルールにより、リヨンが決勝に進出するはずであったが、当時は2試合合計スコアが同じ場合は中立地での再戦となった。マドリッドで行われた試合でリヨンは0-1と敗れてしまう。そしてスポルティング・リスボンは、決勝でMTKブダペスト(ハンガリー)とベルギーのブリュッセルで戦い、延長でも決着がつかず、舞台をアントワープに移して再試合が行われ、優勝している。
 もし、大会規定が現行のものであったならばフランスのサッカーの歴史は変わっていたかもしれない。そしてそのリヨンの敗戦の地マドリッドは今季のチャンピオンズリーグ決勝の地である。現在のリヨンが今度は歴史を変える番なのである。

■万全のはずの守備陣が不安定に、先制点を許す

 そしてこの歴史を変える場面を見ようとリヨンのジェルラン・競技場は3万8000人の大観衆で膨れ上がった。リヨンはリベリー同様第1戦で退場処分となったジェレミー・トゥーラランを出場停止で欠くものの、ジャン・アラン・ブームソンが復帰してきた。また体調不調が伝えられた主将のクリスも上向きになり、先発メンバーに名を連ね、クリス-ブームソンという最高のストッパーのコンビが守備陣の中心となる。
 ところが立ち上がりからリヨンの守備陣は不安定であり、バイエルン・ミュンヘンの攻撃陣がウーゴ・ロリスの守るゴールに襲いかかる。バイエルン・ミュンヘンの攻撃に貢献したのは第1戦を欠場していた主将のマルク・ファン・ボメルである。そして26分にアリエン・ロッベン、フランク・ミューラーとつなぎ、最後はイビチャ・オリッチがシュートを決める。これでリヨンは3点が必要になってしまい、窮地に追い込まれた。

■クリス退場、イビチャ・オリッチがハットトリック

 後半開始時に3点を取りに行くリヨンは左サイドDFのアリ・シソッコに代えてバフェタンビ・ゴミスを投入、攻撃重視の布陣となる。しかしながら、59分にクリスがオリッチに危険なタックルでイエローカードを提示されてしまう。このイエローカードでクリスは累積警告により決勝に進出したとしても出場停止となる。クリスは激高し、主審に反論するが、スイス人の主審は2枚目のイエローカード、すなわちリヨンは主将を欠く10人での戦いとなった。リヨンは実にこれで4試合連続での退場者となる。
 この時点でリヨンが歴史を変えることはできなくなった。オリッチは67分、78分と難なくゴールを決め、ハットトリックを記録する。
 2試合通算0-4というスコアでリヨンは欧州の舞台から去る。11年連続の挑戦でリヨンは過去最高の成績を残したが、準決勝で敗退する。フランス勢最後の夢も消えたのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ