第1155回 2010-11欧州カップ開幕 (2) マッカビ・テルアビブに競り勝ったパリサンジェルマン
■欧州カップ出場を逃したボルドー
ヨーロッパリーグを目指すフランス勢の中でリールとともにプレーオフから参戦したのがフランスカップの優勝チームであるパリサンジェルマンである。フランスからはフランスカップの勝者にヨーロッパリーグの出場権が与えられる。昨季のリーグカップの勝者はリーグ優勝したマルセイユであり、マルセイユはチャンピオンズリーグに出場する。フランスカップの場合は優勝チームがリーグ戦上位でチャンピオンズリーグに出場する場合には準優勝チームにその権利が与えられるが、リーグカップの場合はこのルールが適応されず、リーグ5位のチームにその出場権が与えられた。ちなみにリーグ5位は前回の本連載で紹介したモンペリエであり、リーグカップの準優勝チームはリーグ戦で6位に終わったボルドーである。昨季のボルドーはチャンピオンズリーグでも活躍しながら結局は今季の欧州カップ出場を逃している。
■イスラエルを苦手とするパリサンジェルマン
パリサンジェルマンは前回の本連載で紹介したリール同様、8月19日にプレーオフの第1戦を戦った。パリサンジェルマンの相手はイスラエルのマッカビ・テルアビブである。パリサンジェルマンにとって欧州カップでイスラエルのチームと対戦するのはこれが3回目である。最初は1998-99シーズンのカップウィナーズカップでマッカビ・ハイファと対戦し、1分1敗でパリサンジェルマンは敗れている。
また、記憶に新しいのが2006年11月のUEFAカップでのグループリーグでのハポエル・テルアビブとの対戦である。本連載第646回と第647回で紹介しているように、この時の試合はハポエル・テルアビブが4-2で勝利しているが、試合終了後、警官がユダヤ人のパリサンジェルマンのファンに発砲し、死傷者が出るという痛ましい事件が起こっている。このようにパリサンジェルマンはイスラエルのクラブを苦手としているようである。
さらに、パリサンジェルマンの本拠地であるパルク・デ・プランスではイスラエル代表が1度だけ試合をしたことがあり、この1993年10月13日の試合ではフランス代表を3-2と下している。
■閑散としたスタジアムでパリサンジェルマンがイスラエル勢に初勝利
第1戦はパリサンジェルマンのホームゲームであり、パルク・デ・プランスにマッカビ・テルアビブを迎える。4年前の発砲事件の忌まわしい記憶が残っているのか、パルク・デ・プランスにはわずか1万人の観衆しか集まらない。パリサンジェルマンは今季は開幕前から好調であり、プレシーズンの親善試合でも好成績を残し、開幕したばかりのリーグ戦では1勝1分と幸先良いスタートを切っているが、観客はこのイスラエル勢を迎えた試合を回避しているようである。8月の中旬の平日の夕方とはいえあまりにも少ない観衆に両チームのイレブンは驚いているようである。
しかし、この日の1万人の観衆は幸福であった。まず開始早々の3分にペギー・リュインデュラが相手のミスから先制点をあげる。リュインデュラと2トップを組むのはフランス代表入りしたギヨーム・オラオである。そのオラオは後半の60分、右サイドのルドビック・ジュリーのパスから追加点をあげる。パリサンジェルマンは終始主導権を握り、2-0と勝利し、イスラエル勢に対して初勝利をあげたのである。
■テルアビブでの第2戦は壮絶な点の奪い合い、パリサンジェルマンが勝ち抜く
第1戦ホームでの2点差の勝利を受けて1週間後の26日にパリサンジェルマンはテルアビブで試合を行う。この試合は点の取り合いになった。まず先制点は39分にオラオがPKを決め、セーフティーリードで折り返したかと思いきや、48分にマッカビ・テルアビブは追いつく。63分にジュリーが勝ち越し点を奪うが、67分に追いつかれ、83分にはPKを献上し、この試合初めてのリードを許す。このままロスタイムに突入し、93分にパリサンジェルマンはPKで同点に追いつくが、95分にマッカビ・テルアビブの勝ち越し点を許してしまう。テルアビブでの試合は敗れたが、2試合合計得点で、パリサンジェルマンは2年ぶりの欧州カップの本戦出場権を得たのである。(続く)